01
ボトル、詰め替え用パウチ、梱包用段ボール。
「容器」のすべてを検査し、改善を重ねる。
私が所属している容器グループでは、新商品が企画されるたびに、容器に関するさまざまな検査を行っています。壊れやすくないか、倒れやすくないか、内容物の影響で変質しないか。エンドユーザーの使い勝手はもちろん、工場や店頭での扱いやすさも大事なポイントになります。私が現在担当しているのはスキンケア商品全般。商品開発担当者や外部のデザイナー、容器メーカーともやりとりを重ねます。
年間の販売計画に沿った研究とは別の研究開発も行っています。新たな素材、新たな機能を持った容器を中長期的な視座に立って検討する。マーケットインの仕事と並行して、技術発信、プロダクトアウトの発想でものづくりの種を探しているわけです。
02
かつて営業現場で経験したこと、
そして研究員の視点。
自分にしか提案できない、機能と美が
融合したデザイン。
当社では、「シーズ発表会」という社内イベントを年に1度開催しているのですが、2015年に私は、所属グループとはまた別のプレゼンをしました。それは、『ココンシュペール』というシャンプーボトルのデザイン提案。大学でプロダクトデザインを専攻していた私が、研究員という立場で、どんな価値が生み出せるのか模索していた中で出てきた発想でした。
研究所に配属される前、私は名古屋で営業として店舗を回っており、その際に『ココンシュペール』を棚に並べる機会もありました。エレガントな形状が人気で、バスルームに置いた時にはオブジェのような存在感がある。けれど、店頭での陳列時など多数のボトルを動かす時には比較的倒れやすいボトルだと感じていました。エンドユーザーだけでなく、卸店の担当者、各店舗の店員さんもまたクラシエの大事なお客様です。携わるすべての人が「美しさ」と同時に「扱いやすさ」をより味わえるデザインに変更すべきだと私なりに結論づけました。
03
分析、リサーチ、デザインのアウトプット。
根拠をしっかりと示し、
プロセス全体をデザインし直す。
『ココンシュペール』は「金のまゆアミノ美容液」を配合した高価格帯商品です。私は、「まゆからのドレスアップ」というコンセプトで、研究所で何度も検証した上で、倒れにくい形状のボトルデザインをプレゼンしました。シルクのドレスを身にまとった女性のようなフォルムです。ちょうど商品リニューアルを控えた時期でもあったため、マーケティングチームから「これでいきたい!」という連絡をもらい採用が決まりました。外部デザイナーではなく社内でデザイン開発をした初事例で、幸運なことに日本パッケージングコンテストで受賞もしました。
ただ、私はプロダクトデザインというアウトプットそのものが「デザイン」のすべてであるとは思っていません。使用シーンのイメージ、マーケットの分析、それらを土台にした機能や美の創出。そうした行程すべてが「デザイン」だと思っています。白衣を着て働くことになるなんて、もちろん想像もしていませんでしたが、デザイナーと研究者は実はとても近しい存在だと思うようになりました。これからも職種にとらわれず、良い商品を追求していきたいと思っています。
社員インタビュー