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ホルモンバランスが乱れるとどうなる?
整えるためのポイントも解説
知っておきたい ホルモンバランスと女性のからだについて
女性ホルモンとは?
体には100種類以上のホルモンが分泌されていることがわかっています。女性の体に大きな影響を与える女性ホルモンもそのうちのひとつです。一生のうちに分泌される量は、わずかティースプーン1杯といわれています。女性ホルモンには2種類あり、卵胞ホルモンの「エストロゲン」と、黄体ホルモン「プロゲステロン」です。
卵胞ホルモン「エストロゲン」
乳房の発育や丸みのある体を作り、コラーゲンの産生を促して、美肌を保ちます。血管や骨、関節などを健康に保つほか、自律神経の安定、子宮内膜を厚くして妊娠に備えるという働きもあります。
黄体ホルモン「プロゲステロン」
体温を上げたり、食欲を増進させる作用があるほか、体に水分や栄養を溜め込みやすくします。エストロゲンの働きによって、厚くなった子宮内膜をやわらかく維持し、妊娠しやすい状態にする働きもあります。
女性の体は、特に、これら女性ホルモンによって大きく変化します。
まず、胎児の時に「第一次性徴」を迎え、子宮や卵巣といった臓器が形成されます。9歳頃からエストロゲンが分泌しはじめ「第二次性徴」を迎えます。
思春期と呼ばれる時期に、乳房・乳腺の発達、皮下脂肪の増加、骨盤の発育などが起こり、体重が増加して丸みのある体になります。そして、12歳前後でさらにエストロゲンの分泌が増え、初潮を迎えるのです。この思春期は、女性ホルモンが活発に分泌されるため、ホルモンバランスが崩れやすく、心身ともに不安定な状態になりがち。急に怒ったり、イライラしたりするのもその影響です。
エストロゲンは、30代中頃まで活発に分泌されます。月経がはじまったばかりの思春期には、月経不順や月経困難症などの症状があらわれますが、20代〜30代に性成熟期になると、子宮筋腫や子宮内膜症の疾患が起こることも。
30歳を超えるとエストロゲンの分泌は下降線となりますが、その後、45歳前後からエストロゲンの分泌量は特に減少しはじめ、50歳前後で閉経を迎えます。閉経前後の10年間はエストロゲンが急激に減少することで、体に不調があらわれやすくなります。しかし、人それぞれの閉経年齢によりますので、必ずしも45〜55歳が更年期にあたるとはかぎりません。
女性ホルモンは、脳の視床下部を司令の中枢部として卵巣から分泌されますが、更年期になると卵巣の働きが低下して分泌量が減少。脳が指令を出しているにも関わらず、分泌されないので脳が混乱します。
指令を出す視床下部は、自律神経のコントロールも担っているため、体温調整や消化機能、呼吸や心臓の動悸などに影響が出るのです。これが、更年期障害が発生するメカニズムです。自律神経は体のさまざまな機能をコントロールしているため、その影響から更年期障害の症状も多岐にわたります。
更年期が過ぎると、エスロトゲンの分泌はほぼなくなり、更年期症状もおさまります。55歳以降は老年期と呼ばれ、今度はエストロゲンに守られてきた器官の病気のリスクが高くなります。肝臓、血管、骨、皮膚などにその症状は現れ、相対的に男性ホルモンが優位になるため、男性に多い生活習慣病にもかかりやすくなるのです。
こういった女性の体の変化を知っておくと、不快な症状や病気のリスクが高まったとき、「ああ、今はこういうことが体の中で起こっているんだな」と理解でき、慌てずに対応することができます。
ホルモンバランスのリズムとは?
女性の体は、エストロゲンとプロゲステロンの絶妙なバランスで保たれています。月経周期は、約28日間。その間に、エストロゲンとプロゲステロンは分泌量のバランスを変えながら女性の体を整えています。
体のリズムは、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つに分けられます。
月経がはじまってから約2週間後が排卵期。月経後から排卵期になるまでが、卵胞期です。この時期はエストロゲンが多く分泌されるため、肌や髪のつやがよくなり、心身ともに安定します。月経期のむくみも取れて、体が軽くなるのでダイエットに最適な期間です。
排卵前後3〜4日程度の排卵期を終えると、今度は黄体期が訪れます。エストロゲンの分泌が落ち着き、プロゲステロンの分泌が活発になるため、水分や栄養を溜め込み、体がむくみがちになり、気持ちも不安定になりがちです。イライラしたり、食欲が増したりするのもこの時期です。
女性ホルモンをコントロールする方法
女性の体は非常にデリケートなため、ちょっとした食生活の乱れや人間関係などのストレスであっても、女性ホルモンのバランスは乱れてしまいます。女性ホルモンが乱れにくくなるように、食事や生活習慣でできるコントロールする方法をご紹介します。
バランスの良い食事を心がける
偏った食事は、女性ホルモンのバランスが乱れる原因のひとつ。和食を中心とした、野菜たっぷりの食事がおすすめです。肉や魚のほか、大豆製品なども積極的に取り入れて、たんぱく質も毎食摂るようにしましょう。お味噌汁は、野菜がたっぷり食べられるのに加え、体を温めてくれるのでおすすめです。
睡眠時間は十分に確保する
12時前にはベッドに入り、毎日7時間以上は眠るように睡眠時間を確保しましょう。人により、必要な睡眠時間は異なりますが、翌朝スッキリ起きられることを質の良い睡眠を取ったかどうかの目安にしてみてください。
前日の疲れが残っていたり、朝から体がだるい場合は、睡眠時間が不十分で、睡眠の質も低いと考えられます。
寝つきが悪い人は、39〜40度くらいのぬるめのお湯に20分程度つかり、半身浴をすると自律神経の副交感神経が優位になり、眠りやすくなるはずです。入眠するには、脳や内臓が少し冷えることが必要ですので、睡眠の1時間以上前に入浴を終えましょう。PCやスマホのブルーライトは脳を活性化するので、寝る1時間前から使用をストップしたり、寝室に持ち込まないようにしましょう。
ストレッチで体をほぐす
ガチガチに凝り固まった体では、女性ホルモンのバランスにも悪影響が。特に肩や腰など、コリやすい部分は入念にほぐして、全身の血流をよくしましょう。血流のよい体は、冷えにくく、疲れもたまりにくくなります。入浴後や就寝前のストレッチや、ヨガで体をほぐすのもおすすめ。運動が好きな人なら、習慣的にエクササイズをするのもよいでしょう。しかし、運動が苦手な人が激しいエクササイズをするとストレスになる場合もあるので、負担なく好みのものを取り入れるように心がけて。
ストレス解消の時間をつくる
女性の体はストレスに弱く、自律神経が乱れると女性ホルモンのバランスにも大きな影響を与えます。女性はストレスが溜まると暴飲暴食など、食に走りがちです。
ウォーキングやカラオケ、読書、音楽鑑賞など、趣味に没頭するなどして、自分のために気分転換する時間を設けましょう。1日10分程度でも取り入れると、気持ちがスッキリします。
漢方を取り入れる
女性ホルモンの乱れによる生理前後の悩み、更年期の悩みなどに、漢方薬を取り入れてみるのも手です。
例えば、足腰の冷えやむくみ、月経痛などに効果的なのが「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。体のめぐりをよくして、むくみを改善し、冷えにくい体を作るのが得意技です。比較的虚弱なタイプに用いられます。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」のタイプ:むくみと冷え症、両方持っているタイプ。冷えがあると水分代謝が悪くなり、体内に水分をため込んでしまいます。さらには、血管外の余分な水分は血管を圧迫し、血行を悪くしてしまうため、より冷えやすくなり…このタイプは、むくみと冷えの悪循環に陥ってしまっています。特に冷えやすい手足と顔にむくみが出やすくなります。
また、更年期にイライラなどの神経症状があり、脂質代謝が低下して太ってしまう悩みに「大柴胡湯(だいさいことう)」がおすすめです。自律神経を整えながら、脂質代謝を上げることで、更年期太りに効果的です。
「大柴胡湯(だいさいことう)」のタイプ:年を重ねることやストレスなどでホルモンバランスが乱れ、脂質代謝が低下し、上半身を中心に、筋肉の少ない二の腕・脇腹に溜まりやすいタイプ。また、このタイプは食生活が乱れやすく、便秘にもなりがちです。
その他にも様々な漢方薬がありますが、漢方薬は、自分の体質(証)に合わないと効果が出ません。ドラッグストアなどでも購入できますが、初めて購入する、自分の体質がわからないなどの不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
生涯を通じて、女性ホルモンの影響を大きく受ける女性の体。気分が落ち込んだり、体調がすぐれない場合もありますが、できるだけ穏やかな日々を過ごすために、自分のホルモン状態を知ることから始めませんか? 現在では、PMSや月経痛のほか、更年期障害の症状改善にもさまざまな改善方法が選択できるようになりました。まずは、生活習慣を整えて、女性ホルモンのバランスをくずさないように心がけましょう。
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