
ヨガ・アーユルヴェーダ講師としてイベントやレッスンをする傍ら、雑誌の連載執筆や企業のコンサルティングなど、さまざまな分野で活躍する磯沙緒里さん。Fun to Meでは2024年1月に磯さんとのコラボヨガイベントを開催し、心身を整えるヨガレッスンをレクチャーしていただきました。
今回、心と体をいたわる暮らしを実践している磯さんに、温かいお茶との付き合い方やお茶がもたらす心と身体へのよい影響についてお聞きしました。
心と体に向き合いながら、お茶を選ぶ

ーーアーユルヴェーダの考え方やご自身の経験をもとに、食材や食事のしかたにもこだわりのある磯さん。普段はどのようなものを飲んでいるのでしょうか?
基本的に、朝起きて1杯の白湯を飲んだ後は、ずっと温かいお茶を飲んでいますね。これは大人になってからではなく、物心がついた時からの習慣です。
祖母が健康意識の高い人で、小さい頃から「女の子は体を冷やしてはダメよ」と言われ続けてきたんですね。なので、その当時は理由はよくわからないながらに「体は冷やさない方がいいんだ」と言う考えが頭にインプットされて、自然と温かいお茶を好んで飲んでいました。
さらに大人になってから、アーユルヴェーダやヨガを通して色々な知識がついてくると、理論的にも温かいお茶を飲む大切さが実感できるようになりました。例えば、アーユルヴェーダでは冷たいものは極力避けた方がいいという考えがあるのですが、そもそも「冷たい」とは「体温より低いもの」ととらえられています。だったら温かいお茶を飲んでおけば間違いないな、と思ったんですね。
そういうひとつひとつの積み重ねで考え方が固まってきて、温かいお茶を飲むことが当たり前になりました。
ーー「おばあちゃんの知恵」を受け継いだことから始まったんですね!1日中温かいお茶を飲んでいらっしゃるということですが、どんな風に飲んでいるのでしょうか?

家にいるときは、大きなマグカップに入れて、何杯もおかわりしています。
体調は1日の中の時間帯によっても変わるので、朝から夜にかけて、その時の体の調子や気持ちに合わせて、都度飲むお茶は変えています。暑さや寒さを感じたらお洋服を着替えるのと同じ感覚ですね。
外出の時は、マイボトルにお茶を入れて持ち運んでいます。ヨガのレッスンにももちろん持っていきますよ。
旅行する時も、お気に入りのお茶のティーバッグは忘れずに持って行きます。カフェインを控えたいと思う時に、自分で持って行ったティーバッグがあれば安心ですし、旅先でも自分のお気に入りのお茶を飲みたいですよね。あと、ホテルの部屋の中は乾燥するので、乾燥対策のためにも。やはり、その時の体調や気分に合わせて、味や香りを選んで持って行きます。
ーー磯さんには6歳の息子さんがいらっしゃいますね。子どもだと、冷たい飲み物やジュースを飲みたがる場合も多いと思うのですが、息子さんもお茶を飲んでいるのですか?

うちの子は、大人と同じようにお茶を飲んでいます。
我が家では大人がいつも温かいお茶を飲んでいるので、子どもも「のどが乾いたら飲むものはお茶」と自然に身についたみたいです。
子ども用のボトルに温かいお茶を入れておいて、自然に冷ました常温のものを用意しておけば、やけどを気にせずに安心して飲ませられます。
無理やり飲ませるのは難しいけど、親がおいしそうに飲んでいれば、子どもも抵抗なく飲んでくれるようになると思いますよ。
お茶でほっと一息、がもたらす好循環

ーーまさに磯さんがお祖母様から受け継いだお茶を飲む習慣が、息子さんにも引き継がれたんですね。磯さんにとって、温かいお茶を飲むことのよさは、どんなところなのでしょうか?
身体面では、手軽に体を温められるところが女性の体にとてもいいことだと思っています。寒い冬はもちろん、夏でも冷房冷えするので、お茶を飲んで内臓から温めることで、お腹がはってつらいとか、下痢に悩まされることは減るのではと思います。
メンタル面では、お茶があると気分転換がしやすくなるところがいいですね。リフレッシュしたいときは特によく飲んでいます。
仕事や子育てで毎日やることがいっぱいあると、休憩しようと思ってもなかなか頭が切り替わらず、ずっとバタバタしてしまいがちだったんですね。
でも、休憩の時に温かいお茶を飲むようにしたら、お茶の香りを嗅いで癒されたり、温かさを感じたりしてほっとできるので、気持ちが落ち着いて上手に休憩ができるようになりました。温かいお茶のおかげで、忙しい時間から休息時間への気持ちの切り替えがうまくいくようになり、ちゃんとリラックスできるようになっています。
ーー定期的なヨガレッスン以外に、SNSから情報発信をしたり、これからの時期はナイトヨガのイベント講師をやったりと多忙な毎日を過ごしている磯さん。休憩するタイミングは取れるものですか?

1時間とか長い休憩は取れないので、5分くらいの短い休憩を小刻みに取っていますね。
すきま時間も大切な休憩時間と考えて、座ってお茶を飲む休息タイムにしています。
あと、寝る前にもリラックスタイムを設けるようにしています。
前は、息子が寝たら「チャンス!」と思ってもう一仕事していたんですね。ベッドに入るまで休むことなくずっと動き続けていて。そうすると、家族も落ち着かないみたいでみんなでソワソワしていたように思います。
でも最近、リビングにソファを置いてくつろげるスペースを作ったんです。そこでノンカフェインのお茶を飲んでリラックスしてからふとんに入ることを習慣づけたら、睡眠の質がよくなり、より1日を元気に過ごせるようになりました。これまでは、寝る直前までエンジン全開でいたために、寝起きに疲れが残ってしまっていたようです。
寝る前にリラックスする時間を持つことが良質な睡眠につながり、良質な睡眠のおかげで朝起きてから日中の活動時間にはつらつと動けるようになり、動くと食事も美味しくいただけて、と、上手にリラックスすることが食事、睡眠、運動に連鎖して健康的な体作りにつながっていくことを実感しましたね。
休憩時間は、スマホではなくティーカップを

ーー更年期の女性には、特に休息やリラックスが大切。年齢によるゆらぎを感じるようになった「おとな女性」に向けて、おすすめの心と体のいたわり方を教えてください。
更年期になりイライラしたり心が不安定になったら、短い時間でも構わないので、一旦座って落ち着く時間を作ってほしいなと思っています。アーユルヴェーダでは一旦座る、ということをすごく大切にしています。身体が「座る」という動作をするだけで、心は「今は休憩タイムなんだ」と感じてくれて、実際に体が休息できるんです。「座る」動作が、脳に「休憩しているよ」と信号を送って、体に作用するんですね。
心が落ち着かないと、つい立ったまま食べたり飲んだりしてしまうこともあるかと思います。でも、心が不安定なときこそ「座る」ことを積極的に心がけてほしいと思います。でも、ただ座っているだけだと、手持ち無沙汰になってソワソワしたり、頭の中ではせわしなく考え事をしてしまうと思うので、そこで温かいお茶の出番なんです。香りを感じながら温かいお茶を飲むことで、頭の中もリセット。心身ともに本当の休息を叶えることができます。
心や体の不調が気になるな、と思ったら、「座る+温かいお茶」をセットにした休憩タイムを、3分でもいいので意識的に作ってほしいです。「私の休憩時間は、ここに座って、お茶を飲むこと」と心にインプットして継続すれば、だんだん体が覚えてくれて、そこに座ってお茶を飲み始めると自動的に休憩のスイッチが入って、自然に体が休息できるようになります。
最近は、休憩時間にスマホを見る方も多いかと思うのですが、実はこれでは休息にはなっていないんですよ。スマホを見ている間、頭は休めていないので、リラックスできていないんです。だから、スマホの代わりに、お茶を持とう!ということを私はおすすめしています。
お茶を飲むことで、自分の心と体をメンテナンス

ーーお茶を選ぶときのポイントはありますか?
まずは、自分の体質を知ってもらうことが大切です。
私の生徒さんでも、意外に自分の体質をわかっていない方が多くて、自分の体質に合うお茶を飲んでもらうと、みんなおいしいと言ってたくさん飲んでくれるんですね。体質に合ったお茶は、やっぱり身体が欲しているものなんだなと実感します。
例えばFun to Meのお茶でいうと、私は乾燥しやすい体質なので、「燥」タイプを一番よく飲んでいます。ヨガのレッスンでも声を使うのでのどが乾燥しやすくて、レッスンの時も飲んでいます。もともとジャスミンが好きなので味や香りが好みで、それ以外の素材も好きなので、ないと困るくらい愛飲しています。秋冬や旅先の乾燥対策の一つとしても活用していますね。
また、暑がりでもあるので、暑い時は「熱」を選んでいます。夏だけでなく、冬でも部屋の中は暖房で暖かくて顔から上がほてってしまうので、そんな時は一旦「熱」を飲んで落ち着かせるようにしています。
あとは、梅雨の時期や雨の日などむくみやすい時は水分バランスを整えてくれる「湿」をチョイス。撮影前などむくみが気になる時にも飲んでいます。
でも「自分の体に合ったお茶を選ぼう」と思っても、どんなお茶が自分に合っているか、なかなかわからないこともありますよね。そんなとき、Fun to Meのお茶は、バランス状態チェックで自分のバランス状態がわかって、そのバランスタイプに合わせて素材がブレンドされているので、お茶選びに迷うことがなく安心ですよ。
ーー最後に、心と体をいたわる暮らしを実践している磯さんから、お茶のある暮らしに興味を持っている方へ、メッセージをお願いします!

健康のためだからといって、食べたいものを我慢したり、辛いことをするのはストレスですよね。私は、無理や我慢をしなくてもいいように、日頃から少しずつ体にいいことをしておこうと考えていて、そのいいことのひとつが温かいお茶を飲む習慣です。
日常的に温かいお茶を飲むことは、常に心と体のメンテナンスを行っているのと同じこと。お茶を飲む時間を心と体の健康作りに役立てて、健やかな毎日を過ごしてくださいね。

磯 沙緒里(いそ さおり) @saoriiso
ヨガ講師・アーユルヴェーダアドバイザー
幼少期よりバレエやマラソンに親しんできた経験から、早くから心身を整えることに関心を寄せる。
長期的にみた体調管理方法を模索していたところ、2002年にヨガに出合う。
会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガに触れ、アーユルヴェーダの叡智を学ぶ。
年齢やヨガ経験に関わらず、それぞれの暮らしに寄り添い、日常に取り入れやすいヨガを伝える。
ひとりひとりの身体に沿った指導法は、不調や身体の固さなどの不安を抱えている方からも支持されている。
