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のど(喉)が痛いとき、
どうすればいい?
原因と痛みを和らげる方法 最終更新日 2024年09月13日

毎年、冬とともに流行シーズンがやってくるインフルエンザ。一度かかってしまうと、大人でもつらい症状に見舞われてしまいます。そうならないためには、何よりも予防が大切。ここでは、予防接種や日常生活における対策など、具体的な予防法について解説します。

のど(喉)が痛い…こんな時どうする?

風邪の時、のどが痛くなった経験はありませんか?
「のどが痛い」というのは、風邪のサインとして感じられる代表的な症状。
ここでは、のどが痛くなる原因や、のどの痛みを和らげる方法を紹介します。

のどの構造と役割

まずは、のどの構造と各部位の役割について解説していきます。
のどは、鼻の奥の鼻腔(びくう)から口の奥を通って食道や気管までの部位のことで、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)からなっています。咽頭は鼻腔側から、上咽頭、中咽頭、下咽頭と呼び、食道へとつながる食べ物や飲み物の通り道で、嚥下の機能を担っています。
一方、喉頭は下咽頭の手前側、のどぼとけの付近にあり、咽頭から分かれて気管につながる空気の通り道で、呼吸の機能を担っています。喉頭には、食べ物が通る時に蓋の役目をする喉頭蓋(こうとうがい)があり、空気の通り道を確保し、食べ物が気管の方に間違って入らない仕組みになっています。また、声を出す器官である声帯があり、発声の機能を担っています。つまり、のどは、鼻と口から気管と食道までの通り道のような構造で、呼吸と嚥下と発声という3つの役割があります。

のどの機能

のどの機能

のどの痛み、原因は?

ではここから、のどが痛くなる原因について具体的にみていきましょう。

のどが痛くなる原因

ウイルス・細菌感染

のどが痛くなる原因の多くは、ウイルスや細菌の感染症です。飛沫を鼻から吸い込んだり、手や食物から口に入ったりして起こります。鼻や肺など、のど以外に感染症が進行すると、鼻水や咳、痰、頭痛、発熱、関節痛など、さまざまな症状をともなう、いわゆる風邪ということになります。
のどの奥の扁桃に存在するさまざまな免疫細胞がウイルスや細菌などの外敵を取り込むと、免疫を発動して炎症反応が起こります。それにともない扁桃が赤く腫れて大きくなり、のどが痛くなるのです。
のどが痛くなる場合、多くはウイルス感染によるもので、細菌感染は成人の場合約10%程度と いわれています。感染源のウイルスや細菌の種類によって症状や重症度が異なりますので、水分や食事も摂れないほど強い痛みがある場合には注意が必要です。

のどの乾燥

咽頭や喉頭の表面は薄い粘膜に覆われているため、うるおっていれば粘膜が傷つきにくく、外敵の侵入を防ぐことができます。しかしのどが乾燥するとウイルスや細菌などが付着しやすくなり、炎症が起きて、のどの痛みや違和感の原因になることがあります。乾燥によるのどの痛みは一時的な場合もありますが、免疫が低下していると咽頭炎や扁桃炎に進むこともあります。

のどへの強い刺激、酷使

煙草に含まれる有害物質やアルコール、からい食べ物や熱い飲み物など、強い刺激にのどがさらされると、のどの粘膜に炎症が起きて痛みの原因になります。また、何時間も歌ったり、スポーツ観戦やライブ鑑賞などで長時間大きな声で声援を送ったりするなど、のどの酷使も痛みの原因になります。

のどの痛みを引き起こす病気

のどの痛みを引き起こす病気の代表は、ウイルスや細菌などの感染による、いわゆる「かぜ」です。
鼻水や発熱、痰や咳をともなうこともありますが、一般的には数日で回復します。
かぜといっても診断としては、腫れや炎症の起きている部位や程度によって、のどの粘膜が腫れた「咽頭炎」、扁桃が腫れて大きくなった「扁桃炎」、扁桃に膿がたまっていれば「扁桃周囲膿瘍」、喉頭が腫れた「喉頭炎」、喉頭蓋が腫れた「喉頭蓋炎」などがあります。
のどの強い痛みに加えて、水や唾液を飲み込むだけでも強い痛みがあったり、のどの腫れが強く呼吸が苦しくなったりする場合などもあります。

のどの痛みを和らげるには?

のどの痛みはつらいものです。ここでは、のどの痛みをやわらげる方法を紹介します。

HOW TO CARE

のどを刺激しない、
負荷をかけない

のどが痛い時には、禁煙はもちろんアルコールや刺激物、熱い飲み物などの摂取は控え、のどに負荷をかけないようにすることが大切です。のどの通りがよく、熱すぎたり冷たすぎたりすることがない適温の食べ物を、ゆっくり少しずつ摂るようにしましょう。

保湿する、乾燥させない

のどが痛い時には、外側からも内側からも保湿することが大切です。部屋を加湿して湿度を上げたり、マスクをしたりして保湿しましょう。湿度の低い冬の外出時などは、口元を覆うようにストールをまくのもおすすめです。
内側からの保湿としては、常温の水やぬるま湯を、少しずつこまめに飲むようにします。お茶やコーヒーなどカフェインが入った飲み物は利尿作用があり体内の水分が減る可能性があるので、避けた方が良いでしょう。また、のどあめやガムも唾液の量が増えるため、のどを潤すことができます。

内服薬、外用薬を使う

のどの痛みが強い時には、消炎鎮痛作用のある内服薬を服用するのも良いでしょう。痛み止めを飲むのは対症療法ですが、のどの痛みが強いと、水分や食べ物も摂ることができなくなり、脱水や体力によって、症状が悪化することもあるからです。
頭痛や発熱の時に使う解熱鎮痛剤や市販の風邪薬にも消炎鎮痛作用のある成分が配合されているので、用法用量に従って服用しましょう。

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ここでいう外用薬というのは、トローチやうがい薬などのことです。
最近では、のどに塗るタイプスプレーするタイプもあります。
いずれも、のどの粘膜を保護する作用炎症をやわらげる作用のある成分が配合されている物が多く、のどの痛みをやわらげることができます。
いずれも使用方法に従って使うようにしましょう。

漢方薬を活用する

のどが痛い時は、漢方薬を活用するのもおすすめです。
のどの痛みは「侵入してきた外敵に対して生体防御機能が働いて炎症や腫れがおきている状態」であり、漢方薬は体質に合わせて使うことで体本来の持つ力を高めます。
のどが痛い時におすすめの処方は次の通りです。

処方名 成分 効き方
銀翹散(ぎんぎょうさん) 薄荷、牛蒡子、淡豆鼓、金銀花、連翹、淡竹葉、荊芥、桔梗、甘草 のどや体内の熱を鎮めることで、かぜによるのどの痛みを改善
麦門冬湯(ばくもんどうとう) 麦門冬、粳米、大棗、半夏、人参 、甘草 気道液に含まれる漿液などの分泌を促し、のどの乾燥をやわらげる
甘草湯(かんぞうとう) 甘草 甘草の消炎作用で、のどの粘膜をうるおして、のどの痛みをやわらげる

医療機関で医師の診察を受ける

高熱がある、のどの痛みが強く水分や食べ物の摂取ができない、のどがふさがるほど腫れて息が苦しい、ひどい咳や痰が多い、その他関節痛、頭痛、強い倦怠感などの症状がある場合には、医療機関で医師の診察を受けましょう。
中咽頭は口を開けてみることができますが、上咽頭、下咽頭、喉頭は内視鏡を使って診察します。かかりつけの内科で相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

まとめ

のどの構造や機能、のどが痛くなる原因を知ることで、のどが痛くなった時の対処や普段ののどのケアにつなげることができます。ただし早期診断や早期治療が必要な場合もあるので、必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。

小谷敦子

薬剤師免許取得後、病院薬剤師として就職。ライフステージの変化にともない、調剤薬局の薬剤師とメディカルライターとしての実績を積んできた。東洋医学専門診療科のある大学病院の門前薬局では、漢方薬の処方に対する数多くの服薬指導を経験。

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