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新緑が美しい5月も終わり、紫陽花が見頃を迎える6月。
更年期の女性にとって、春は気温や湿度の変化の影響を受けて不調を感じていた方も多いと思いますが、引き続き油断ができない梅雨がやってきます。
梅雨のダルさは、なぜ起こる?
梅雨の時期に頭痛・めまい・肩こり・冷え・むくみといった不調とともに、気持ちも落ち込むと言う方もいらっしゃいます。これはいわゆる「梅雨ダル」の状態で気象病のひとつとも言われます。
気象病とは?
気象病は、気象・天候の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称。
症状は頭痛、食欲不振、気分の落ち込み、めまい、メニエール病、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、蕁麻疹、吐き気など様々であり、鬱や喘息などの持病が悪化したり、「気象関連痛」という「天気が悪いと古傷がうずく」などの痛みなども含む。
(気象病 ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典)
梅雨ダルは、雨が降り続いている日や湿度が高く蒸し暑い日に起こりやすく、そのメカニズムは天気が原因です。
梅雨の時期は梅雨前線が停滞して気圧が不規則に動きます。気圧が下がると体を押す圧力が弱まり、脳に信号を送る耳の奥の「内耳」が膨張します。この内耳にあるセンサーが“異変”を感知し、前庭神経が過剰に興奮することで脳を経由し、全身に張り巡らされた自律神経に伝わります。
自律神経のバランスが乱れて副交感神経が優位になると 、日中も体がリラックス(休憩)モードになってしまい、「だるい」「やる気が出ない」「眠い」と感じてしまい、肩こりや偏頭痛といった症状にも繋がります。
また逆に交感神経優位になると、めまいや片頭痛、関節痛の悪化が起こります。
自律神経バランスの乱れ以外にも、気圧の低下により脳内の血管が拡張して周りの神経を圧迫することにより、片頭痛を発生させることもあります。
寒暖差・湿度・日照時間も自律神経に影響
梅雨の時期は、気温や湿度も変化します。雨で気温が下がったり、翌日には真夏のような暑さになったりと、気温や湿度の高低差がある日が繰り返されるのも梅雨時期の特徴です。
温度や湿度を感じるセンサーは、皮膚や粘膜、中枢神経や内臓にも存在し、これらのセンサーが温度や湿度の変化を敏感に感じ取り、その刺激が自律神経のバランスを乱すため、不調につながりやすくなります。気温の変化では肩こりや頭痛、関節痛が悪化しやすくなり、湿度の変化ではこれらの症状に加えてめまいや倦怠感、むくみなどが悪化しやすくなります。
また人間の体は、寒冷順化・暑熱順化といって、自然の暑さや寒さに順化する働きがあります。
順化は1週間から10日かかり、これは早めることはできません。
しかし近年の住宅環境のお陰で、一年中適温で過ごすことができるようになったり、在宅ワークなどが増えたことにより外出の機会が減り、体を動かさなくなったことなどが影響して、気温に順化できない人が増えています。
その結果、気候変化による急な温度の変化に対応できず、梅雨時期に不調を感じたり、ひどいときには熱中症を引き起こすこともあります。
その他にも梅雨時期には、雨や曇のため日照不足になり暗い環境にいる時間が長くなり、自律神経が乱れる原因にもなります。
このように梅雨の時期は、自律神経がより乱れやすい条件が重なり、更年期のホルモンの減少によって自律神経が乱れたところに追い打ちをかけ、「梅雨ダル」を引き起こしやすい状態となります。
梅雨ダルは、身体だけでなくメンタルにも影響
「梅雨ダル」の主な症状は、
- だるさ、肩こり、目の疲れがひどい
- 顔や手足がむくみやすい
- いつもより頭痛やめまいを感じることが多い
- 身体の冷えを感じることが多く、冷えがとれにくい
- 仕事やプライベートでいつもは頑張れることも、なんとなくやる気が起こらない
といったものが挙げられます。
これらは、更年期の症状と重なる点が多く、また身体の不調だけでなくメンタルにも影響する点も共通しています。
その他にもブレインフォグといって、頭の中にもやがかかったようにぼんやりして物事が思い出せない状態になるとも言われています。やる気が出ない、気分が落ち込む、いつもやっている仕事ができなくなる、物忘れがひどくなるという、いつもとは違う自分の症状に悩み、その悩みがストレスになることで自律神経をさらに乱れさせ、より悪化してしまうこともあります。
こういった心身の健康の問題を抱えつつも仕事を行っている状態を、プレゼンティーイズム、さらに病欠や休職している状態をアブセンティーイズムとWHOが定義(WHO-HPQ)し注目を集めています。
梅雨ダルの最新の対処法を知ろう
梅雨ダルは、自律神経の乱れと深い関係にあるため、一般的には以下のような方法が挙げられます。
- 朝食をしっかりとる
- 朝起きてすぐに日光を浴びる
- 朝に散歩をする
- 定期的に運動をする
- 睡眠の質を上げる
- ストレスをためすぎない
- 腸内環境を整える
- 夜寝る1〜2時間前に入浴する
まずは、自分自身の生活と照らし合わせ無理なく、楽しんで続けられる項目を増やしていくことから始めます。
朝食を食べることは、副交感神経優位から交感神経優位へとスムーズに切り替わるようになります。
午前中にカーテンを開ける、散歩する、ベランダに出て洗濯物を干すといったことで最低15分日光を浴びると、体内にセロトニンができ、14時間後には眠気を促すホルモン「メラトニン」へと変換されます。
日光浴がしづらい梅雨の時期にセロトニンを増やすには、ウォーキング・スクワットといったリズミカルな一定の動きをする運動や、必須アミノ酸の「トリプトファン」を摂取したり、気心のしれた人との会話や食事・ペットとのスキンシップといった「グルーミング効果」も効果があります。
気象病対策アプリを活用する
最近さまざまな気象病対策アプリが提供されています。アプリを見ると不調になりやすい時間帯を事前に知っておくことができるため、心構えができます。大切な約束を調整したり、前日は睡眠時間を十分に確保したりと、ポジティブに活用するのがオススメです。
体調が悪かった日は、答え合わせのようにアプリで確認できると、自分自身の不調の原因がわかり、安心に繋がります。
Menotech Lifeが提案する更年期の「梅雨ダル」対処法
更年期の女性は、仕事・育児、人によっては介護といった、自分自身のことだけでなく周りの環境にも左右されやすいものです。ご自身の体力は低下しているのに、やらなければならない家事や仕事が増え、責任も伴い、気持ちがあせり疲労感がつのる「頑張り屋さん」になってはいませんか?
「梅雨ダル」は更年期の悩みに輪をかけてしまう状態に。
Menotech Lifeが提案する対処法をご紹介します。
思い切って休む
更年期や梅雨時期の不調は、多くの人にあることなので、我慢せずに、不調が辛い時は思い切って休むことも大切です。特に更年期は、閉経を挟んだ前後5年の10年間に渡り、長く付き合っていく必要があるからこそ、頑張りすぎずに自分のペースで過ごすことも大切。
周りの人を気遣い、家事に育児にと自分のルールを持っている方は、時に自分を苦しめてしまいます。自分ルールがだめなのではなく、自分ルールが有ることを理解し、疲れているときは自分が楽になる選択肢を取れるようになるといいのではないでしょうか。
自分がリフレッシュできる方法を見つけておく
家族・職場以外の自分の居場所“サード・プレイス”を見つけたり、悩んでいることを打ち明けやすい普段の生活と切り離した相談相手を見つけたり、新しい趣味や習い事・推し活をするのも気持ちが明るくなります。
気持ちが落ち込んだりイライラしたり、いつもと違うと感じるときはハーブを使ったアロマの香りを嗅ぐこともオススメです。香りは鼻腔に入り嗅覚経路を介してダイレクトに脳に働きかけ、”心地よいと感じる香り”のアロマで“愛情ホルモン”と呼ばれる「オキシトシン」を増加させるといわれています。
香りの信号は0.2秒で脳に到達するため、即効性がありメンタルケアにも良いとされています。
温かいハーブティーを常備しておく
梅雨時期は、気圧が下がり、血管が収縮して血流が悪くなりやすいため、余分な水分が体内に溜まり、日頃からむくみやすい人はよりむくみやすくなります。
また更年期の自律神経の乱れは、血液循環との関係性が深いため、むくまないように日頃から整えておくほうがよいと考えられています。
むくみの原因である体内のナトリウムを排出するには、こまめに温かい水分を摂取することと、カリウムを積極的に摂ることが効果的と言われています。
お気に入りのハーブティーを見つけ常備しておくと、アロマ効果と温かい水分摂取、カリウム摂取が叶います。
カリウムを含んだハーブティーの原料になるものには、以下のようなものがあります。
カリウムを含んだハーブティーの原料
みかんの皮・スイカズラ・しょうが・たんぽぽ根・菊花・ビワ葉・ハトムギ
梅雨の時期に疲労がたまると、暑さが厳しい夏の時期に疲れをそのままひきずってしまいます。
食事、運動、休息といった日常生活でコツコツとできることから改善し、自分にあった方法を見つけ、「梅雨ダル」を解消し、梅雨の憂鬱な時期を乗り切りましょう。
【判定】あなたの「バランスタイプ」は?
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