目次
真夏の暑さも落ち着いて徐々に秋らしさを感じられる季節になってきました。過ごしやすく絶好の行楽シーズンですが、せっかくの予定に水を差す台風は誰にとっても厄介な存在ですよね。
また台風の発生に伴って体調不良を感じた、という経験をした人も多いのではないでしょうか。特に最近メディアでも取り上げられるようになった「気象病」は、気圧や温度、湿度の変化によって引き起こされると言われており、台風という自然現象もその一つであると考えられます。
今年は既に13個の台風が発生して、そのうち全国への接近数は6個、上陸した台風は2個、(2024年9月12日現在、気象庁発表)となっています。今後の予測によると2024年9月〜12月はラニーニャ現象が発生する割合が高く、日本に比較的近い南海上で台風が発生する傾向があるため、台風発生から短期間で日本に接近する可能性が高くなると言われています。
つまり、2024年秋ごろに発生する台風は時間をあまり置かずに、私たちの心身に不調をもたらすリスクが高まっていると考えられるかもしれません。
台風が発生すると、なぜしんどいと感じるの?
台風とは、北太平洋南西域の熱帯地方で発生した低気圧が発達したものを指します。
熱帯や亜熱帯の海水温は高く、熱帯低気圧が発達するエネルギー源となる水蒸気を多く含んでいるため、それらを含む空気を吸込みながら強い勢力をもった熱帯低気圧へと発達していきます。
そして最大風速が17.2m/s以上になったものを「台風」と呼んでいます。
台風が発生すると、気圧、気温、湿度などに大きな変化が起こり、これらの変化をストレスと感じて抵抗しようとすることで、体の不調を引き起こしてしまいます。
その要素の中でも、気圧とは空気の重さによる圧力のことで、特にこの気圧の変化が大きな影響を与えるのです。
気圧の変化による自律神経の乱れ
気圧の変化は、耳の鼓膜の奥にある「内耳」という器官で感知されます。内耳はセンサーのような役割をもっており、気圧の変化を感知するとその情報を脳へ伝達し、自律神経を活性化させます。自律神経は交感神経と副交感神経で構成され、両者がバランス良く機能することによって体の状態を良いコンディションに保っていますが、そのバランスが崩れてしまうと体に不調を感じるようになります。
内耳が気圧の変化に過剰に興奮してしまうと、自律神経のバランスが乱れて、交感神経が過剰に働くと頭痛やめまい、関節痛などの症状が生じやすくなり、副交感神経が過剰に働くと心身の活動力が低下して眠気や倦怠感など症状が生じやすくなります。
特に台風のような急激な気圧の変化が起こる場合、自律神経の乱れが顕著になり、日頃から抱えているウィークポイントに対して、より強く不調を感じやすくなると考えられます。
わずかな気圧の変化でも、頭痛が出やすい人、慢性的に腰痛や関節痛などの症状を持っている人、心の不調(気持ちの落ち込み、イライラなど)を抱えている場合は、気圧の変化の影響を受けやすいでしょう。
気圧の変化による水分バランスの乱れ
台風が発生すると、平常時の大気圧は1,013hPa(ヘクトパスカル)位であるのに対して、仮に台風の中心気圧が910hPaほどになった場合、気圧は約100hPaも低くなります。ちなみに気圧が1hPa(ヘクトパスカル)低くなると海面は1cm上昇することから、この場合、台風の中心では海面が相対的に約1m上昇することになります。
人間の体の約60%は水分でできています。
急激に気圧が低下する台風が接近すると、血液中の水分が血管の外に押し出されて、体内の水分が必要以上に滞ってしまうので、体内の正常な水の循環が乱れてしまいます。また、外部の気圧が下がると体内の圧力が相対的に高くなり、血管が拡張しやすくなります。
例えば脳内の血管が拡張すると、周辺の神経を刺激して、頭痛や片頭痛を引き起こすことがあります。全身に渡って水分の停滞が起こると倦怠感を覚えたり、関節付近へ水分が偏れば関節痛を引き起こしてしまいます。
気圧の急激な変化を感じやすいのは、どんな人?
特にホルモンバランスが乱れやすい更年期の女性や、体の冷えや水分不足、運動不足、またデスクワークで長時間座った状態が続く人は血流が悪くなるため、不調を感じやすい傾向があります。また、乗り物酔いをしやすい人は内耳に問題があるため注意が必要です。
更年期、プレ更年期の女性
更年期の女性は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減り、自律神経のバランスが乱れることによって、ホットフラッシュ、冷え、頭痛、むくみ、いらいら、肩こりなどの症状を抱えています。
そこに台風のような急激な気圧の変化が加わることで、自律神経のバランスを更に乱す要因となり、更年期症状が悪化しやすくなります。
プレ更年期の女性も、程度はさほど強くなくても更年期に感じやすい症状が出始めたら、気圧の変化からくる不調の可能性もあるので注意が必要です。
血行が悪くなりがちな人
デスクワークが多く長時間座った状態が続く人は、足の筋力や筋肉量が落ちることによって代謝機能が低下しやすく、血行が悪くなりむくみやすい傾向があります。
特に「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの活動量が低下すると、下半身に溜まった血液を心臓に押し戻すポンプ機能が低下して、血流が滞る原因になります。
また、運動不足の人も凝り固まった体をほぐしたり動かす機会が少ないため、筋力が低下して、血行が悪くなりやすいでしょう。
特に女性は、血行が悪いことが原因で冷えを感じやすいことも多いです。ストレスを感じていたり、不規則な生活が続くことによって体温調節を司る自律神経が上手く機能できなくなったり、締め付ける服装(下着・靴など)も、血流が悪くなる原因になります。
また気圧が下がって体内の水分バランスが乱れることにより、自律神経の乱れを引き起こすことがあります。適切な水分補給は体の機能を維持し、体内の水分バランスが保ち、余分な水分を排泄しやすくします。
Menotechlifeが考える、「つらさ」とうまく付き合うコツ
基本は、規則正しい生活を
自律神経を整えるには、まずは規則正しい生活を心がけることが大切です。
- 朝起きたら、陽の光を浴びる
- 朝食をきちんと摂る
- 適度な運動をする
- ゆるめの温度(38〜40℃)で入浴する
- 良質な睡眠をとる
運動不足が気になる人は、近所を散歩するなど無理なくできることから始めてみましょう。初めは短時間でも構いません。負担に感じず、気分転換できてリフレッシュできると前向きな気持ちで、継続していくことが大切です。
またゆるめの温度での入浴は、ゆったりと浸かり汗をかくことで体温調節しやすい体づくりにもつながるので、自律神経の負担が軽減されやすくなります。
その他、血流改善には血行促進作用があるにんにく、ニラ、ねぎなどアリシンを含む食材や、発汗を促す作用がある生姜など、手軽に作れるスープなどから取り入れてみましょう。
カンタン耳揉みで自律神経を整える
耳には、自律神経に関係する「ツボ」が集中していると言われています。特に、耳の上部の「神門」は自律神経の中枢である視床下部に作用するツボです。
- 親指と人差し指で耳の上部をつまみ、ななめ上に3秒ほど引っ張る。これを3回繰り返す。
- 耳の中央をつまみ横に3秒ほど引っ張る。これを3回繰り返す。
- 耳たぶをつまみ下に3秒ほど引っ張る。これを3回繰り返す。
- 耳を横に引っ張りながら後ろに5回ほどゆっくりと回す。
- 耳をたたむように塞ぎ、折り曲げて5秒間そのままキープ。
- 耳の裏側に親指を置き人差し指で神門のツボを押す。神門の周辺を中指と人差し指で丁寧にこするようにマッサージする。
- 最後に手のひらで両耳を覆い前から後ろにゆっくりと回す。
マッサージのタイミングは、血行が良くなって効果が出やすい入浴後がオススメです。また就寝前のマッサージは、リラックス効果があるため良質な睡眠にもつながるでしょう。
一人でもカンタンにできるマッサージなので、是非取り入れてみてください。
事前の気圧変化チェックで、ストレスを軽減
天気が悪いと、それだけで気持ちも沈みがちになります。
台風や冬場の爆弾低気圧だけでなく低気圧が接近している時は「今日は天気が良くないから、体調にも影響出るかもしれない」と予め心構えしているだけでも、気持ちも軽くなりやすいでしょう。
最近は気圧の変化をこまめにチェックできるアプリもあるので、天気予報と合わせてチェックしてみるのも良いかもしれません。
また、天気が悪くなりそうな時は普段よりも意識して早めに就寝し、睡眠時間を十分にとることを心がけるようにしましょう。
自分なりのリラックス方法を見つける
嫌なことやつらいことがあった時と同様に、自分なりのストレス解消法やリラックスできる方法があると、それだけで心強いものです。
お気に入りのアロマや御香を嗅ぐ、音楽を聴く、温かいハーブ入りのお茶を飲む、映画や読書にふけるなど、自分が喜ぶことを積極的に取り入れましょう。
水分を溜め込んでむくみがちな人は、「カリウム」を含むジャスミン茶やルイボスティーなど温かいハーブ入りのお茶がおすすめです。
【判定】あなたのバランスタイプは?
心身のバランスが乱れる原因を知ることができれば、むやみに不安になったり恐れることも少なくなります。
どうすれば心身のバランスを整えることができるのか、まずはあなたのバランス状態をチェックすることから始めてみませんか?