著者 : クラシエ編集部
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「MenotechLife(メノテックライフ)」は、クラシエ編集部が発信する更年期のためのサポート・メディアです。長年の研究やアンケート結果を基に、更年期の身近でリアルな情報を発信し、みなさまが自分らしく前向きに過ごすサポートができれば嬉しいです。

寒い季節が終わって、暖かさを感じ始めると気持ちが浮き立つ春。
ぱっと想像すると、秋と同様過ごしやすいイメージがありますが、実は更年期の方にとっては注意が必要な季節です。

春は、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ころ)までを指し、天文学上は春分(2024年は3月20日)から夏至(2024年は6月21日)気象学場は陽暦の3・4・5月を指します。
特に春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じとなり、この日を境に昼間の時間が長くなります。暖かい日はありますが、続かず寒の戻りもあり、花冷えとなる日もあるのが春の特徴です。

季節の変わり目による気温・湿度の変化

春は高気圧に覆われておだやかに晴れると日差しが暖かく感じられますが、朝は夜間の放射冷却により気温が下がって冷え込むことがあり、昼夜の気温差が大きくなります。

また、年によっては3月中旬以降に南海上に前線が停滞して曇りや雨のぐずついた天気が続くこともあり、この雨は菜種梅雨と言われます。

更年期の女性はホルモンバランスの変化によって体温調節がうまくいかなくなり、体感温度に影響を及ぼします。春の気温の急激な変化は、更年期の女性にとって体調不良の原因となる可能性があると言われています。
例えば、暖かい日と寒い日が繰り返されることで、体の不快感や倦怠感が増すことがあったり、気温の変化が睡眠にも影響を与え、睡眠障害を悪化させることがあります。

次に、春は気温の他に湿度にも注意が必要です
都市部や南西の地方では、年間を通してみると冬から春にかけてが湿度が低くなるのですが、降雪地帯では春が一番湿度が低くなる傾向があります

これは、春は大陸の高気圧が移動性となって日本付近を度々覆うようになるためです。この大陸で育った高気圧は、乾いた空気を持っているため、日本海側も広く晴れて、乾燥する日が多くなってきます。

また、冬との違いとして日差しが強くなることも湿度に影響します
春の日差しは暖かく、暖かい空気は冷たい空気よりもたくさんの水分を含むことができます。同じ水分の量では気温が高いほど湿度が低くなるのです。太平洋側で乾いた北風が吹くことがなくなっても乾燥する日が多いのはこのためです。

湿度の変化は皮膚や粘膜の乾燥を引き起こすことがあります
更年期の女性はホルモンバランスの変化によって皮膚や粘膜の乾燥が起こりやすくなり、春先は湿度が低い日が続くことで、不快な症状を引き起こすことがあります。
特に、乾燥した空気が粘膜を刺激し、喉の渇きや痛みを感じることがあります。

頭痛やめまいを引き起こす、春の気圧変動

春は気温の上昇とともに、温暖な日中と寒冷な夜間の温度差が大きくなることで、大気の動きが活発化し、大気の密度や圧力が変化します。
人間を含め、あらゆる物体は全方位からの気圧の変化を日常的に受けていますが、受けている気圧を同じ力で身体の内側から押し返すことで気圧を打ち消し合っています。
この体の中から押し返す力をその都度コントロールしていく必要があるのですが、人間はその気圧の変化を内耳(ないじ)という耳の奥の器官でセンサーのように受取り、脳の中枢にある自律神経に伝えています

気圧が下がると身体の外側から加わる圧力が低下するため、血管が膨張します。自律神経がきちんと機能していると、交感神経が働き血管を収縮させて、逆に気圧が上がっているときは、副交感神経が働き血管を拡張させることにより正常状態が維持されます

私たちの体は常に気圧変化というストレスを受けています。春は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わるため、自律神経の1つである交感神経優位が続き、エネルギー消費が増え、また血管の膨張で、疲れやだるさ、人によっては頭痛を感じやすくなります。

気圧の変化から起こる、春の強風

春は古来から東風(こち)・春一番(はるいちばん)・春嵐(はるあらし/しゅんらい)・花風(はなかぜ)といった名称の強風が吹きます。
盆地で地面の温度が上がると地面付近の空気も暖められるため、膨らんで(膨張)軽くなりそこの空気は上昇します。 それを補うように周りからは空気が吹き込んで来ますし、強い風で上空の空気がかき混ぜられて地上に降りて来ます。 午後に風の強くなる地域があるのはこのためです。
また日本では南北の気温差も大きくなり、上空の寒気の流入が強いほど風が強くなります。
近年では台風級の風が吹き荒れたことを、記憶している方も多いのではないでしょうか。

春の強風は、乾燥をもたらすことがあります
更年期の女性はホルモンの変化により、皮膚の乾燥が起こりやすく、強風は乾燥をさらに強める可能性があります。
また強風や突風の音や風にあたることで、身体的なストレスを感じ、精神的にも外出の不安を感じてしまいます。

花粉に黄砂 目に見えない飛来物

春は、一斉に新芽や花粉といった植物の芽吹きによって、空気中に細かい植物の飛来物が含まれます。
また年間を通して日本列島に飛来する黄砂は、タクラマカン砂漠・ゴビ砂漠などの乾燥地域で、風によって数千メートルまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って、日本に飛来してきます。特に2月から増加し始め、3〜5月にピークを迎えます

更年期の女性は、自律神経の乱れとともに免疫系の働きも一緒に乱れて、アレルギー反応も強く出てしまうことがあります。またアレルギー症状が更年期症状と重なることで、不快感がより強く感じてしまう場合もあります。
アレルギー症状は、睡眠中にも感じやすく、結果睡眠不足につながってしまう場合もあります。

温かな日差しの変化も、刺激に

春になると日照時間が長くなり、日の入り・日の出の時間がズレるため、体内時計もずれやすくなります。体内時計と自律神経は相互関係があるため、体内時計のズレにより自律神経のバランスも乱れ、結果として睡眠の質が悪くなる可能性があります。

また、春の日差しは紫外線の強さが増し、敏感な更年期の女性にはダメージが大きくなります。さらに春の日差しによる明るい雰囲気は気分を高揚させる一方で、過剰な刺激となってストレスを増すこともあります。

ライフスタイルや環境の変化

3月・4月は新年度の切り替えの時期で、新しい生活環境やライフスタイルの変化がある場合もあります。
例えば、新年度に伴って仕事では部署異動や新入社員が入ってきます。その他にも卒業・入学やクラス替えでまわりの環境が変わることがあります。
また伴って引っ越しをすることで物理的な環境が変わったり、家族の中の誰かが環境が変わることで、心理的な変化を感じることもあります。

このような変化は更年期の女性にとってストレスの要因となり得るため、適切なリフレッシュやストレス管理が必要です。

春は体調を崩す要因がいっぱいの“春バテ”状態!その対応策

一部では「乾燥・強風・黄砂・寒暖差・花粉」の頭文字をとって、春の5Kと呼んだり、夏バテならぬ春バテと表現することも。
更年期の女性に有効な対策を6つご紹介します。

温かい飲み物と、不要な熱をとる食材を

冷たい飲み物は体温を下げてくれるイメージがありますが、良くない影響も多いもの。
一番は血行が悪くなることで、胃腸の消化・免疫が落ちることです。人間の体は消化酵素を分泌し、デンプンを糖に変えますが、この消化酵素が働きやすい温度は37℃前後。冷たい飲み物は消化器官を冷やすことで、消化機能が低下します。

また温かい飲み物で、こまめに水分補給することで喉の粘膜を乾燥から守り、ウイルスへの防御を高めることも期待されます。

さらに温かい飲み物は内臓を温め、身体に汗をかくように促します。汗をかくことで体温が下がる効果が期待でき、春以降も温かい飲み物を飲むことがオススメです
(ただし、湿度が高い環境下や脱水状態では温かい飲み物は推奨されません。)

不要な熱を取る豆腐や、トマト海藻がおすすめです。白きくらげはコラーゲンも豊富で血圧調整作用があります。
また、春には山菜などの苦みがある食材を摂るのもオススメです。
山菜は食物繊維も豊富で、解毒作用もあります。

眠たくなる春 十分な睡眠を

「春眠暁を覚えず」これは中国唐代の詩人である孟浩然(もう・こうねん)の「春暁(しゅんぎょう)」という漢詩の冒頭部分です。
ここからも、春は自律神経が乱れることで、日中も眠気を感じてしまうことが、古来からも分かっている事と言うのがわかります。
しっかりと睡眠時間を確保し、早寝早起きの習慣をつけましょう。

目覚めたらカーテンを開けて朝日の光を浴びることで、体内時計からの信号でメラトニンの分泌が止まります。
無理せず、早めに就寝をする習慣を春から身につけましょう。

アプリを使って気圧をチェック

更年期の女性は気圧の変化で体調の変化を感じやすいともいわれています。近年はアプリで気圧の変化を教えてくれるものも増えています。
天気予報と同様に、事前に今日の気圧を知っておければ、その時間に大切な用事を避けることもできます。
無料のものもあるので、利用してみるのもオススメです。

マスクをして、保湿 / 体温調整しやすい服装を

マスクは空気中の浮遊物を体内に入れないようにしてくれるだけでなく、自分の息で喉や鼻の湿度を高くすることができます
また体温調整しやすいように、ストールや脱ぎ履きしやすいレッグウォーマーを活用してみてもよい対策になります。

耳周りをマッサージと呼吸法

耳の周りをマッサージで血流をよくすることで、気圧の変化に対応できます。

内耳の血流を促し、耳の周囲の血流アップ 耳ストレッチ
両方の耳たぶを軽く横に引っ張り、5~10秒位したら離す×2回
両方の耳たぶを前後斜めに回す×3回

自律神経と姿勢を整える!12秒呼吸法
胸式呼吸は交感神経を優位に、腹式呼吸は副交感神経を優位にする効果があります。集中したい時は胸式、リラックスしたい時は腹式というように呼吸を使い分けるのも手です。

春は、寒↔熱、湿↔燥のバランス状態に影響が出る季節。

まずは自分のバランス状態を知って、セルフケアをしましょう。

暖かくなり、お出かけの季節も多くなる楽しい季節を迎えましょう。



メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。3軸のバランス状態を組み合わせた虚寒湿や実熱湿など8タイプの中から、今の自分の状態を判定できます。

今まさに更年期の真っ只中にいる方は、自分のバランス状態を知ることで、更年期と上手くつきあっていく第一歩を踏み出してみませんか?