著者 : クラシエ編集部
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「MenotechLife(メノテックライフ)」は、クラシエ編集部が発信する更年期のためのサポート・メディアです。長年の研究やアンケート結果を基に、更年期の身近でリアルな情報を発信し、みなさまが自分らしく前向きに過ごすサポートができれば嬉しいです。

花粉の季節がようやく終わり初夏を迎える頃、過ごしやすくお出かけの機会が増える人も多いですよね。そのような時に欠かせないのが“紫外線対策”です。

気象庁のデータ(観測地点:つくば、2023年)によると、紫外線は3月頃から急激に強くなり始め、真夏前の5月〜7月頃にかけてピークを迎え、9月頃まで強い状態が継続しています。

出典:気象庁 「日積算UV-B量の月平均値」を加工して作成

また、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを分かりやすく示すために、1日の紫外線の強さを指標化した「UVインデックス」を用いた紫外線情報が公開されています。
そのうち1日の時刻別の紫外線の強さを比較すると、10時〜14時までの間は紫外線が強い「UVインデックス6」以上となっており、特にピーク時には屋外への外出もできるだけ控えることが好ましいとされていることから、この時間帯の紫外線対策は特に重要です。

出典:気象庁「時刻別UVインデックスの月最大値の累年(1997年〜2008年)平均値(7月)」を加工して作成

※UVインデックスとは、紫外線の波長ごとに異なる人体への影響の度合いを総合的に評価する指標であるため、国際的にも広く用いられています。

一般的に「紫外線対策をする理由は?」と聞かれると、「肌のシミ・しわ防止、日焼け防止のために」と答える方が多いと思いますが、「疲労感の軽減のため」と答える方は少数派かもしれません。実は、紫外線は網膜を通して自律神経を乱し、更年期の疲労感の原因になるのです。

この記事では、特に更年期に紫外線が与える影響や対策について考えてみたいと思います。

紫外線を浴びると、自律神経を乱す原因に

紫外線の性質

太陽光には、目に見える光(可視光線)以外に、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。波長の長さ順(長い→短い)に並べると、赤外線>可視光線>紫外線となり、紫外線は地表に届く光の中で最も波長が短い光になります。

紫外線は、波長の領域とその性質によって、3つに分類することができます。

出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」

  • UV-C…大気層(オゾンなど)で吸収され、地表には到達しない。
  • UV-B…ほとんどは大気層(オゾンなど)で吸収され、太陽から届く紫外線の約1割が到達し、肌表面の表皮細胞や眼に有害で生体への影響が大きい。
    日焼けを起こしたり、皮膚がんの原因となる。
  • UV-A…UV-Bほど有害ではないものの、太陽から届く紫外線の約9割を占めていることから、長時間浴びた場合の健康影響が懸念されている。

紫外線は可視光線と同じように、建物や衣類などによって大部分を遮断することができますが、曇りや日陰で直射日光を避けても、大気中で光が散乱して完全に遮断できないことが分かっています。特に、人体に有害だとされるUV-Bは散乱光の占める割合が高いと言われているので、「曇りや日陰だから紫外線対策をしなくても大丈夫」と油断しないようにしましょう。

紫外線は「目の日焼け」だけでなく、自律神経の乱れを引き起こす

皆さんが良く知っている紫外線の影響といえば、シミやたるみ、日焼けといった視覚的に分かる肌の状態に関するものばかりが注目されがちですが、目から浴びた紫外線が身体に与える影響についてはあまり知られていないのではないでしょうか。

目は常に外界にさらされ無防備な状態になりやすく、直接ダメージを受けやすい部位なので、紫外線による影響は少なくありません。
例えば、長時間屋外で過ごしていた時に、目が充血したり痛みを感じた経験をした人もいるのではないでしょうか。

紫外線が目から入ると、網膜を通してすぐに脳に伝わり、脳にストレスがかかります。ストレスを感じると脳で活性酸素が生成され、自律神経などの細胞が活性酸素によって酸化されてダメージを受け、その情報が大脳に伝わり疲労感を引き起こしてしまいます
目に強い紫外線が入ると、それを察知した脳は体内にメラニン色素を作るように命令を出すため、肌のシミやそばかすの一因になるとも言われています。

また更年期の時期は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が目の粘膜や涙腺に影響し、涙の分泌量が減ったり蒸発が早まったりすることで、「ドライアイ」の症状が出やすくなります。
同時に更年期のストレスや不安感、睡眠不足などによってもドライアイの症状は悪化し、目は紫外線の影響を受けやすい状態になります。その結果、強い紫外線を浴びることによって自律神経が乱れて疲労感が出てしまう可能性が考えられます。

意外と思われるかもしれませんが、網膜は脳の一部なのです。網膜に紫外線ができるだけ到達しないようにして脳を守ることが、自律神経の乱れを防ぐことにつながります。そのために目を守ることが大切です。

紫外線による自律神経の乱れ、疲労感を防ぐために

① 日傘・帽子、サングラスを使用する

日焼け止めクリームは肌に塗ることはできますが、目を紫外線から守ることは難しいため、日傘やつばの広い帽子、サングラスを着用することでより目を守ることが期待できるでしょう。

サングラスの選び方

● レンズの濃度(可視光線透過率)をチェック
人の目で見ることができる光(可視光線:波長領域380nm〜780nm)をどの程度透過することができるかを数値化した「可視光線透過率」を確認するようにしましょう。

※日本産業規格(JIS規格)の一部では、運転時のサングラスの可視光線透過率について以下の定めがあります。
・昼間の運転では8%以下、薄暮れや夜間の運転では75%未満は使用禁止

使用する用途にもよりますが、サングラスの色は濃いものではなく薄いものを選ぶようにします。
人は暗いところでは瞳孔が開くようにできているため、濃い色のサングラス(可視光線透過率が低い)だと瞳孔がより開いてしまうため、紫外線が網膜まで到達しやすくなってしまいます。瞳孔が開きすぎないよう、少し眩しさを感じる程度の薄い色のサングラス(可視光線透過率が高い)を選ぶと良いでしょう。
目安としては、強い日差しがある日中かつ屋外で使用する場合は20〜30%程度、眩しさを軽減したり普段使いのしやすさを優先する場合は45〜50%程度を参考にしてみてください。

● 紫外線遮蔽効果が高いサングラスを選ぶ
「紫外線がどの程度サングラスを通過するか」を数値化した紫外線透過率にも注意が必要です。紫外線透過率の数値が低いほど、紫外線を遮蔽する効果は高まります。
サングラスには必ず表示されていますので、「紫外線カット率99.9%以上」、すなわち「紫外線透過率0.1%以下」の紫外線遮蔽効果が高いサングラスを選ぶようにしましょう。

② イミダペプチド・ビタミンC・ルテインが豊富な食材を摂ろう

紫外線を浴びると活性酸素が大量に発生し、自律神経のバランスが乱れてしまうため、自律神経を整える食材を摂取するように心がけましょう。

  • イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)
    過剰に発生した活性酸素の除去や、細胞の酸化防止には「抗酸化作用」を持つ成分が有効です。
    イミダペプチドには抗酸化作用があり、酸化ストレスから引き起こされる疲労を軽くする効果が期待できます。
    鶏むね肉、マグロやカツオといった回遊魚に多く含まれています。
    (鶏むね肉100gに対して、イミダペプチド200mgを含有)
  • ビタミンC
    ビタミンCも抗酸化成分です。イミダゾールとビタミンCを合わせて摂取することによって、抗酸化作用をよりアップさせることが期待できます。
  • ルテイン
    ルテインは「天然のサングラス」とも呼ばれており、活性酸素を取り除く効果を持っています。ルテインは目の中の水晶体や黄斑部などにもともと存在していますが、紫外線によるダメージや酷使による疲れにより減少してしまいます。ルテインは体内では作られないので、ルテインを多く含む緑黄色野菜や果物を積極的に摂りましょう

③ 紫外線による疲労感改善には「カリウム」が有効

紫外線による疲労感を引き起こす原因は、先に述べた通り自律神経の乱れにあるため、自律神経を整える食材はもちろんのこと、体を冷やさないように温かいスープやお茶を飲むことで血行を良くすることも大切です。

自律神経の観点からミネラルバランスを調整するカリウムの摂取が推奨されます。ミネラルバランスが崩れると、脳に電気信号がうまく運ばれなくなるため、どこも異常がないにも関わらずなんとなく体調が悪いという症状が起こることがあります。

カリウムには、水分を溜め込む原因となるナトリウムを排出し、ミネラルバランスを調整する働きがあり、ほうれん草やブロッコリー、里芋などの根菜類、ひじきなどの海藻、アボカドやバナナなどに多く含まれています。またカリウムは水に溶けやすい特徴があるため、生のまま食べるだけでなくスープにして食べるとより効率的に摂取することができます。

④ 冷たい飲み物を摂りすぎない

紫外線が強い時期は5月〜10月で、気温も高く湿気も多いため、ついつい冷たい飲み物を摂取したくなりがちです。冷たい飲み物ばかり摂取していると、胃腸に負担がかかってしまい、自律神経のバランスが乱れる原因になるため、摂り過ぎには気をつけましょう。

【タイプ別】更年期に自律神経の乱れ、疲労感の影響を受けやすい人の特徴

バランス状態チェック 実熱湿虚寒燥

メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。

3軸のバランス状態を組み合わせた虚寒湿や実熱湿など8タイプの中から、今の自分の状態を判定することができます。

【CHECK】あなたの「バランスタイプは」?

更年期に疲労感が出やすい「湿」「虚」タイプの特徴

バランス状態チェック 湿

□ 水のめぐりが良くないタイプで、水分バランスが過剰
□ むくみやすい
□ 湿気が多い梅雨から・夏に症状が出やすい

バランス状態チェック 虚

□ 常に疲れやすく、気力がでないことが多い
□ 胃腸が弱く、食欲不振になることが多い
□ 夏バテしやすい

自分のタイプを知り、紫外線からの影響を軽減する対策を

更年期の不調は自律神経の乱れによって引き起こされるため、その要因となる紫外線による影響をできるだけ小さくすることが大切です。
特に5月〜10月の紫外線が強い時期は、外出する機会も増えるため、より注意が必要です。目や肌を無防備に露出しすぎないように、日差しが弱い日も紫外線から守るようにしていきましょう。

今まさに更年期の真っ只中にいる方はもちろん、最近ドライアイや疲労感などの不調を感じている方も、プレ更年期に差し掛かっている可能性もあります。
自分のバランス状態を知ることで、更年期・プレ更年期に受ける紫外線からの影響を軽減しながら、上手くつきあっていく第一歩を踏み出してみませんか?