朝晩の寒暖差が段々と少なくなってくると、いよいよ夏の訪れを感じます。

近年は地球温暖化や気候変動の影響もあり、最高気温が35度を超える猛暑や40度近くになる酷暑の日が増えており、特に都心部ではヒートアイランド現象によって、夜間の気温も下がりづらくなってきています。
そのため、局地的な集中豪雨や威力の強い台風も増えていますし、熱中症に関するニュースも多く聞くようになりました。

このような体に強いダメージを与える夏に、更年期の女性が気をつけるポイントに関して見ていきたいと思います。

ホットフラッシュはなぜおこる!?
メカニズムと拍車をかけるトリガーについて

女性ホルモン(エストロゲン)は脳の視床下部からの指令によって卵巣から分泌されますが、更年期になるとこの分泌が急激に減少していきます。
急激に減少すると聞くと、坂道のような下降をイメージする方も多いと思いますが、実際はそうではなく、1日の中でも分泌量は急激なアップダウンを繰り返し、波打つようにしながら下降線を描いて減少していきます。

そして、この女性ホルモンが減少することによって自律神経のバランスが乱れます

本来自動的に機能する自律神経ですが、バランスが乱れることで、心身に様々な不調があらわれます。その一つがホットフラッシュで、暑かったり運動したりしたわけではないのに、顔や体が暑くなり、汗が吹き出る症状のことを言います。
また発汗まではいかなくても急に顏や体がほてったり、上半身はほてっているのに手足が冷えたり、突然激しい動悸を感じたり、就寝中に大量に汗をかくという方もいて、自律神経の乱れで体温調整がうまくできていない状態があてはまります。

ホットフラッシュはずっと起きるわけではなく、2-4分間持続することが多く、長いと1時間程度続く場合もあったり、一日に何度も症状を感じることもあります。

また、ホットフラッシュは自律神経の乱れやストレス、疲れといった「トリガー」が加わることで、さらに症状が強く出ることがあります。

例えば電車など人の多いところに行く、苦手な人に会うなど、普段あまり意識をしていないようなちょっとした苦手なことや、嫌なことだけでなく、布団に入るといった何気ない行動でも引き金になり、のぼせや発汗の症状が出ることで、心も身体も疲れてしまい、食事や睡眠などの生活習慣が乱れてしまうと、自律神経のバランスの乱れに拍車をかけてしまうこともあることがわかっています。

夏こそ感じやすいホットフラッシュの場面

夏の季節は、冷房の効いた室内と、炎天下の屋外との温度差が10度以上になることもめずらしくありません。

更年期の年代の女性は、家族や地域、職場から頼りにされていて、外出機会も多く、多忙に過ごされている方も多いです。
また生活の中でも、洗濯物を干したり買い物に行ったりと、温度差のある環境を1日の中で行ったりきたりします。この温度差からくるストレスや疲れが自律神経のバランスの乱れを助長することにつながります。

また、夏はホットフラッシュでなくとも、暑さで体調を崩してしまうことが珍しくありません。のぼせ、ほてり、多汗、ホットフラッシュだけでなく、倦怠感や食欲不振、睡眠不足など、夏バテの症状も加わって、さらにつらい思いをすることもあります。

なかでも更年期の睡眠トラブルとして、「寝汗による中途覚醒」に悩まされている女性は少なくありません。
夏の寝苦しさのストレスがきっかけでホットフラッシュが起こり、寝ている間にも主に首や頭など胸から上に発汗があり、その不快感で目覚めてしまいます。

夜中に目が覚めてしまい寝直せずにいると、結果として中途覚醒が起こります。結果、寝不足の状態が日中の集中力を落とし、メンタルの不調にもつながっていくのです。

夏の暑さとホットフラッシュ、どちらも合わせた対処法

通気性の良い素材・重ね着をして調整

ホットフラッシュで大切なのは、急激な体温上昇を抑え、防ぐことです。

通気性の良い素材や、接触冷感のものなど着ることで涼しく感じるものを選びましょう。

首周りがすっきりとしたデザインだと暑さを和らげますが、涼しい環境では冷えてしまうことも。首周りをカバーできるようなストールなどを一枚用意し調整しましょう。

抗菌防臭加工が施されている服や肌着、抗菌防臭をうたっている洗濯洗剤を利用して気になる臭いケアも。

食事と飲み物で調整

ホットフラッシュでは体が急に熱くなると同時に大量の汗をかくので、その水分を補うために水分補給が必要で、水分補給は体の内部から熱を冷ますので効果的です。
しかし、暑いからといって冷たい飲み物ばかりを摂っていると胃腸が冷えてしまい、代謝が低下し内側が冷えることでのぼせを助長しホットフラッシュを誘発してしまいます。
特に朝起きてすぐや、冷房が効いた環境では常温以上の温かい飲み物を選ぶようにしましょう。

また、冷たい食べ物よりも体の熱を冷ます食材を取り入れることで胃腸の冷え過ぎを防ぎ、不要な熱を取り除いてくれます。

ゴーヤ・スイカ・冬瓜などのウリ科の野菜、トマト、ナス、セロリ、豆腐、小豆、わかめ・もずく・ひじきなどの海藻類など

カフェイン、アルコールや辛いものは刺激が強く、ホットフラッシュを誘発することもあるため控えめに。

ストレス管理

人間関係のストレスや仕事のプレッシャー、寝不足などの不規則な生活リズム、慢性的な疲れなど、日々の中で感じるストレスも自律神経の乱れにつながりホットフラッシュを助長することになります。

不安や緊張が強くなると、呼吸が浅く早くなり胸式呼吸になりがちです。意識をして深い呼吸をしてみましょう
背筋を伸ばし軽く目を閉じ、お腹に手を当てながら、頭の中で3秒数えながらゆっくりと口から息を吐き出し、同じように3秒数えながら鼻から息を吸い込みます。5〜10分くらい繰り返しましょう。

ゆっくりとぬるめのお風呂(夏は38℃程度)に入ったり、好きな音楽を聴くなど、気楽にできることをやってみましょう。

お酒を飲んでストレスを紛らわせようとすると、睡眠の質が低下しこころも不安定になることがあるので気を付けましょう。

適度な運動習慣

散歩やストレッチなどの軽い運動は、血行をよくして自律神経のバランスを整えることができます。定期的に運動することでホットフラッシュの症状の緩和を目指せます。

運動習慣のない方は、まずは簡単なストレッチから始めるなど、無理なく続けられる運動から始めてみましょう。

補助療法

食べ物や生活習慣の見直しでも症状がつらい場合は、補助療法の検討をしてみてもいいかもしれません。

ホルモン補充療法漢方薬プラセンタ療法などの方法がありますが、いずれも体調、体質によってできること、できないことがありますので、お医者様と良くご相談の上検討してみてください。



更年期症状の中でも比較的頻度の高いホットフラッシュですが、ちょっと熱く感じる方から、びしょびしょになるくらい発汗する方まで程度は様々です。

特に暑い夏の時期は気になることが多くなると思いますが、自分自身に向き合い普段の生活の見直しや対処法でこの症状の時期をうまく乗り越えましょう

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