季節の変わり目は、身体も心もゆらぎやすい時期。

3月某日、産婦人科医・高尾美穂先生Instagram Live『温かいお茶を飲みながら 女性のゆらぎを、知ろう』を開催しました。
産婦人科医でもあり、ヨガ指導者でもあり、婦人科スポーツドクターでもある高尾先生は、女性のからだの悩みに向き合い、多くの書籍も発売されています。
おとな女性の養生食『Fun to Me(ファントゥーミー)』ブランド開発者であるクラシエ株式会社 フロンティアBC メノテック事業推進グループ長の飯田美穂が、女性のゆらぎと自律神経の関係や、セルフケアについて高尾先生に質問させていただき、心に染み入る素敵なお話を伺いました。
多くの方にご視聴いただき、またたくさんの質問もいただきましたので、その一部を抜粋しお伝えします。

高尾美穂先生のプロフィール

産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター

女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長


「私のライフワークというか…どうしたら調子良く毎日を過ごせるか?その毎日の積み重ねが人生になっていくので、大変なこともあれば嬉しいこともあるし、しんどい時や元気な時も。皆さんいろいろあると思いますが、そんな中で、自分がなんとなく調子いいなとか、なんとなくご機嫌だなとか、そんな時間を皆さんが少しでも増やせるといいな、なんていうことをいつも思っています」

飯田美穂のプロフィール

Fun to Me メノテック事業推進グループ長
2004年入社後、「いち髪」「ナイーブ」等のマーケティング・商品企画を担当。2021年クラシエ初となる新規事業開発プログラムの審査を通過し、第1号として2023年10月メノテック事業『Fun to Me(ファントゥーミー)』をローンチ。
更年期のためのサポートメディア「メノテックライフ」も運営。

「本日は、温かいお茶をのみながら、女性のゆらぎを知ろうというテーマでお話していきたいと思います。」

『女性のゆらぎと自律神経の関係』

飯田: 先生、意外にこの女性のゆらぎと自律神経の関係性を知らない方が多いように思います。

高尾先生(以下敬称略): 私たちの体の内側は、ほぼ自律神経が調整してくれているといっても過言ではありませんが、正直、簡単に説明しきれるものでもないんですね。
この自律神経を調整する場所と、女性特有のホルモン分泌を調整する場所が同じということもあり、うまく機能しなくなると、自律神経の調子も良くなくなるし女性ホルモンの分泌も不安定になってきて、不調も起こりやすくなるよね…ということが女性特有のゆらぎに通ずるものなのかもしれません。例えば、女性ホルモンであれば生理周期の変化などがわかりやすいですね。
自律神経に関しては、わかりやすいサインで言うなら、元々お通じの良い方が便秘になる・お腹を下すなどの“腸の状態”や、汗をかきやすいとか口が乾きやすいとか、そういったことも、ひとつのサインとして捉えることはできるかもしれません。そこに私たちが簡単に手出しができるかというと、難しいものもありますが…。
まあ、でも、自律神経の働きを崩さないように生活するというのが、私たちの心がけたいことではありますよね。

『女性のゆらぎはこころと関係もしている?』

飯田: イライラして強く人に当たってしまったり、クヨクヨ落ち込みやすくなったり…女性のゆらぎは身体だけではなく精神面にも影響が出ると言われていますが…。身体の不調と心の関係についても知りたいです。

高尾: 身体のゆらぎ…体調が悪いというのは、わりと把握しやすい不調ですよね。お肌の調子が悪いとか眩暈がするとか。女性の場合は生理周期や気圧の変化によっても、影響を受けやすい方もいますね。そして、調子が悪いと、どうなるかというと、不安になるわけです。まず未来が不安、そして、例えばですけれど、ちょっとした焦りも感じやすくなる…明日は大事な仕事があるのに、明日も調子が悪くなったらどうしよう、みたいなね。今起こっているわけではないけれど、少し先の未来が不安になるというのは、何かしらの身体の不調によって、心も不安定になるというのは皆さんイメージされる通りだと思います。

飯田: 心が不安定になる要素に、人と比べてしまうことや、周りの目線が気になってしまうという声も上がっています。

高尾: まあ、正直、他の人がどう思っているかとかどうでも良くない?とか、私は本気で思っているタイプ(笑)自分が例えば、“今日のインスタライブで何を着ようかな?可愛いセーターにしようかな?ロゴセーターにすると文字が反転しちゃうからくまちゃんかな?”こう選んでいる過程の中に他の人の目線はまず入らないわけですよ。でも、世の中の皆さんの中には自分をシュッと見せたい、素敵にみてもらいたいという気持ちはきっとありますよね。でもそこに自分じゃない誰かを登場させて、その誰かと自分を比べることで、自分の気持ちを保てるとか、逆に自分でわざと自分を落としちゃうとか‥。その比較に意味があるのか?ですよね。
学生時代のテストの点数での評価だったり、スポーツの世界における競争だったり、そういったときにはライバルの存在も必要ですし、自分を成長させてくれるきっかけになるのかもしれません。でももう、私たちの実社会においては、そういった比較は…特に落ち込んじゃうようなものは必要ないんじゃないかしら?

飯田: 以前伺った先生のお話の中で『自分でコントロールすることが大事』という言葉を思い出しました!本当にそうですよね。

『ちょっと調子が悪いときの手軽にできるケアは?』

飯田: ここまで、自律神経の不調や女性ホルモン分泌の乱れによるゆらぎについてお話し頂きましたが、そういう、自分がちょっと調子悪いな、とか、なんとなくちょっと今までと変わってきたな、とか思うときに日常的に手軽にできるセルフケアを教えてください。

高尾: そうですね、ホルモンにも自律神経にも大きく影響を及ぼすのは、やはり、“生活習慣の中でどれだけ自分にとって望ましいリズムを作れているか”ではないかと思うんです。
24時間というサイクルの中で、元気に活動したら良い時間と、逆にゆったりと休んだら良い時間のメリハリをつけること。でも、そんなにメリハリのある24時間を送られていない方も少なくないように思うんですね。つまり、昼間そんなに活動もしないし、夜もそんなに休まっていないというような。もしそのようなリズムのときに調子が良くないと感じるのでしたら、まずそのリズムを意識的に変化させてみるのは一つの解決策になるかもしれません。
昼間あえて意識的に、汗ばむくらいとか心拍数が上がるくらいとか動いてみて、夜という時間帯は、逆にしっかりと身体もだけれど心を休める…自分を労ったり自分の身体を眺めたり、そういう時間をしっかりと取る。ホルモンや自律神経といった、私たちがあまり手出ししにくい部分に対しても、良い影響を生むことができるのでは?と思います。

飯田: 意識して休むこと、疲れた時こそ動いてスッキリしようと思うこと、私にもあります。

高尾: いまの世の中の女子のほとんどは本当に頑張っているよね。本当にみんな真面目、時間や期限も守るし言われたことをちゃんとやって…。でも、その一方、自分の楽しみやゆっくりする時間、あと身体が本当だったら望んでいることに気づかないふりをして頑張っているというケースも少なくないように思うんです。
そして、体調面の変化に気づいていても気づいていなかったとしてもそれが続けられるうちは頑張り続けられるわけですが、自分のリミットを超えてしまうと、例えばですけれど、燃え尽きた感覚とか、おやすみの日に寝ているだけで何もしたくないとか…そういった状態になることも。そうなる前に、意識的にリズムを作るといいと思います。1日の中の活動する時間やゆったりと自分を労る時間にテーマを作って過ごすのもありですよね。こういうふうにお茶を飲むのも良いよね

『生活習慣の悩みは尽きない・・肥満・不眠』

高尾: 更年期外来をやっていると、“太るんです”という相談も多いですね。年齢が高い女性がみんな太っているか?と言われたらそうでもないでしょ?やはり生活の中でのいろんな要素が影響していることは間違いないことで、そういう方からお話を伺うと、多くがバリバリ働いていて帰宅も遅くそこからご飯を食べて…という生活リズム。
帰宅が遅いのは仕事なので変えられないのであれば、晩御飯の時間を前倒しにすることを考えてみても?メインは早めに済ませておき、帰宅してなんとなく満たされない気持ちであれば、その時間帯にスープなどを飲んで体を温め、できるだけ早く休んでしまうというのが、本当はいいことなのでしょうねえ。

飯田: 睡眠のお悩みも聞きます。先生はよく眠れていると伺いますが、何か気をつけていることはありますか?

高尾: 小学校の頃を思い出したらいいと思うのだけれど、夏に海水浴に行った日なんて本当にどっぷりと眠れていたじゃない?やはり、昼間の時間帯にいかに体を使って疲れているか?なんですよね。
私たちの生活だと頭や神経を使って疲れることのほうが多いですよね。可能であれば、そこに体も使って、しっかり疲れて夜ぐっすり休めるという状態を意識的に作るのがひとつ
あとは夜だっていう意識を持ちながら夜を過ごすことかな?私はあまり飲めないのだけれど、夜の時間帯にアルコールを飲む人たちの話を聞いていると、遅めの時間帯にお酒を飲みすぎてしまうと、せっかく夜寝てもトイレに起きてしまって眠れなくなってしまう話や、馬力をいれて終わらせなきゃいけない仕事のときにエナジードリンクなどカフェインの多く入ったものを飲んで目が冴えて眠れなくなる話は聞きますが、私の選択肢には入っていないですよね。だから、より良い睡眠を得るというよりは、よくない状態にならないようにすることにフォーカスすることが、生活の中でさほど意識しなくてもできることなのではないかな?と思いますね。

『皆さんからの質問コーナー』

飯田: 先生ありがとうございました。さてここからは質問コーナーです。

『更年期にヨガはいいですか?』

高尾: ヨガはね、なんにでもいいです(笑)。人生そのものにいいと思います。

なぜいいのか?というと、身体面では、肩が凝るや腰が痛いといった不調を訴える方の多くは、その部位を動かしていないからこその不調だったりもするので、エクササイズとしてヨガを捉えた時に肩関節や股関節を動かすポーズでしっかり動かすことは良いですよね。
また、ヨガの動きの一つ一つに息を吸ったり吐いたりの指示があって、この呼吸というものは、私たちの体の内側に自分の意志を届ける方法にもなるんです。この呼吸を続けているだけでも心拍数は落ち着いていきますし、気持ちが落ち着いていきます。まあ、いわゆる自律神経のリラックスした状態を呼吸で作ることができるので、気持ちの面でも良いですよね。

『トイレのお悩み…頻尿や夜中のトイレについて』

高尾: 頻尿はトイレに行く回数が多いという意味ですが、1回で出る尿の量がしっかりした量であれば適正な回数ですし、トイレに行きたいと思って行ってみてもそんなに量が出ない場合は、一度泌尿器科を受診しましょう。
夜中のトイレもお悩みの方は多いですよね。まず夜の時間帯の水分量を減らすのが大事。お酒を飲む方は夜の時間帯に飲むことが多いように思いますが、ちょうどアルコールの利尿作用が出るのが夜中の時間帯で夜中のトイレが引き起こされるという考えもあります。夜のアルコールを控えてみるのも良いかもしれませんね。
皆さんもしかしたら、トイレで起きてスッキリして戻るまでは良いけれど、もう一度眠れなくなってしまうのが悩みの一つだとも思うんです。私の場合は、夜中にトイレで起きた時、「もう一回絶対寝るぞ」という意気込みでトイレに行きます。電気を煌々とつけるのではなく、なるべく暗い中で作業をして速やかに寝るんです。皆さん、夜中起きた時に何をしているか振り返ってみてください。まず携帯を見て「あ、夜中の3時だ」なんて時間を確認していませんか?この時間を知っても何も良いことはないですし、携帯の光は大抵、目から脳へ“明るい昼です”という信号を与え、脳にとっては“もう起きていのかな?”と迷いを与えてしまいます。なので、携帯を絶対見ないという心意気も必要です。

『何かにつけてすぐにイライラ…この気持ちを抑える方法はありますか?』

高尾: なんでイライラしちゃうんだろうね。何にイライラするのか、自分なりに言葉にして書き出してみて、それを俯瞰しながら、イライラする原因を減らしていくのが建設的ですかね。
例えば自分が家事をしているのにパートナーがそこでゴロっと転がって携帯をいじっているとかだと、おそらくイライラするわけですね。そういう時には、「ちょっと私コレをやっているから、アレやってくれる?」みたいに、洗濯物を頼むとか、そのイライラっとする原因をとりあえず減らす、これがまず一つ。そして、頭にカーっと血が上った時に、それを抑えるためによく言われている対策方法は、“何秒間か黙る”。言葉にして出してしまうと、人を傷つけてることもあるし、その言葉は自分にも聞こえる言葉だから(あんなこと言ってしまった)という気持ちになることも。そういう言葉を生み出さないという選択で、まあ、何秒間か黙っていると少し落ち着いたりもします。『雄弁は銀、沈黙は金』ってよく言いますけれども、カッとしちゃった時はとにかく黙る、(私、偉い!)などと思いながら黙る(笑)。一回試してみてください。

『腰痛と、安眠におすすめのヨガポーズを教えてください』

高尾: 腰が痛いという方は、背中をギュッと丸めてみます。横から見てひらがなの『つ』の字にして腰を思いっきり後ろに押し出すような形。一度腰をそらせて伸ばしてから、もう一度『つ』の字にするのを繰り返します。体を左右に振るのもおすすめですね。
自分の腰の痛い場所を触ってみたときに、骨盤よりも上の柔らかいところが痛い場合には大抵、その部分の縦に走っている筋肉が痛い状態で、骨盤が痛い場合には、可能性としては仙腸関節というお尻のところの骨、その左右のつなぎ目のところが若干詰まっているなどが考えられるのかな?
眠れないときには、“緊張を手放す”ことが大事だと思うので、“わざと体を緊張させて5秒くらいして力を抜く”これをいろんな身体の部位で行うと良いかもしれません。例えば、首と肩をギュッと縮めたり、握り拳だったり、お尻周りにギュッと力を込めたり。力を緩めたらもう眠れそう(笑)ぜひやってみてね。

温かいお茶を飲みながら、身体も心も温かくなる、そして最後には心地よい眠りにまで誘われる素敵なインスタライブ。

ライブ中に先生にお飲みいただいたお茶とスープにもたくさんの質問をお寄せいただきました。お茶はジャスミン茶、ラフマ、カモミール、月桃葉、コラーゲンペプチドが入っていて水分不足乾燥状態喉が渇きやすい方におすすめの『燥』 typeと、ハトムギ、ラフマ、カリン、ビワ葉、ウイキョウが入っていてむくみを感じやすいなど水の巡りがよくない、水分バランスが過剰な方におすすめしたい『湿』 typeの2種類を。スープは、ゆらぎ期に寄せられるお悩みの一つであるホットフラッシュなどを感じやすく、暑がり、冬でも冷たいものが好きな方におすすめしたい、冬瓜、豆腐、トマト、白きくらげ、ひじきが入っている『熱』typeを。先生にたくさんおかわりをしていただき、「美味しい」の言葉に、スタッフ全員胸がおどる時間を過ごしました。

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