夏のピークは過ぎたとはいえ、9月もまだまだ厳しい暑さが続きます。うだるような日差しの中、ふと鏡をのぞくと、「あれ?こんなところにシミ?」と気づくことはありませんか?
とくに40代後半から50代の女性は、ホルモンバランスの変化によって肌の状態が大きく変わる時期。なかでも「シミ」「肝斑」は、更年期女性に多く見られる肌悩みのひとつです。
今まで気にならなかったのに急に濃くなった気がする。今までのスキンケアでは追いつかない。そんな時には、まずは違いを正しく知り、それぞれに合った対策を取ることが大切です。

今回は、「シミ」「肝斑」の違いと原因をしっかり解説したうえで、今日から始められる予防法・改善策・すぐにキレイになれるメイク術まで、トータルでご紹介していきます。

「シミ」と「肝斑」の違いは?

「シミ」とは?

シミとは、一般的に肌にできる色素斑のことを指し、紫外線や加齢、炎症などが原因でメラニンが肌に沈着してできる濃い斑点状の色です。

代表的なのは「老人性色素斑」。これは年齢とともに蓄積された紫外線ダメージが原因で、30代後半から目立ち始め、50代で一気に増える傾向があります。

  • 形状:境界がはっきりした丸いシミ
  • 色味:濃い茶色〜黒っぽい
  • 出やすい場所:頬・こめかみ・手の甲など紫外線を浴びやすいところ
  • 原因:紫外線、加齢、摩擦、炎症(ニキビ跡など)

「肝斑」とは?

肝斑は、左右対称に出るぼんやりした色素沈着です。シミとは異なり境界がはっきりせず、頬や額、口元などに広がるのが特徴です。

  • 形状:ぼやっと広がる色ムラ、左右対称
  • 色味:薄い茶色〜グレーがかった色
  • 出やすい場所:両頬、額、口のまわり
  • 原因:ホルモンバランスの乱れ、摩擦、紫外線

肝斑は特に更年期世代の女性に多く見られ、女性ホルモンのエストロゲンプロゲステロンのバランスの乱れが深く関係しています。

更年期に「シミ」や「肝斑」が増えやすいのはなぜ?

「エストロゲン」減少で起こる肌変化

更年期とは、閉経前後に卵巣の機能が低下して女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少する時期。平均的には45歳〜55歳頃になります。エストロゲンは肌の水分を保ち、ハリをキープしメラニンの過剰生成を抑える働きがあり、分泌が減少することで以下のような変化が起こります。

  • 肌のターンオーバーが遅くなり、メラニン色素が排出されにくくなる
  • メラニンの抑制機能が低下し、シミ・肝斑が濃くなる
  • 肌のバリア機能が落ち、紫外線ダメージを受けやすくなる

つまり、更年期は、「色素沈着しやすく、かつ消えにくい」肌状態になっているということです。

ストレスや睡眠不足も悪化要因に

「エストロゲン」の分泌が減ることで、自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れはホルモンバランスにも影響し、メラニンの生成を促す原因になります。
ただでさえ、更年期は心身ともに変化の大きい時期で、仕事や家庭、親の介護や子どもの独立など、ライフイベントが重なりやすくなります。そのため、心理的ストレスや睡眠不足なども加わり、自律神経のバランスがさらに乱れやすくなります。

ストレスは、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)活性酸素を増やしメラノサイトを刺激することで、色素沈着を引き起こします。睡眠不足は、肌のターンオーバーを乱し、メラニン色素が排出されにくくなるため、シミや肝斑が目立ちやすくなります。

シミ・肝斑の予防&改善策

 1.日焼け止めはマスト

日焼け止めは、夏の時期だけでなく一年中付けることがとても大切です。さらに、帽子・日傘・サングラスと併用するのも効果的です。

また、室内にいるからといって気は抜けません。ブルーライトや窓越しの紫外線に注意が必要です。スマホやLED照明などから発せられるブルーライトは、紫外線と同様に肌の深くまで浸透し、約1時間浴びると色素沈着(日焼け)や、シミの原因になることがあります。そして家の中でもガラスを通過して紫外線は届いています。今日は外出しないからといって紫外線対策をしていないと、うっかり日焼けの原因に繋がってしまいます。

日焼け止めを選ぶ目安は?

日焼け止めは日常生活ではSPF30/PA++程度、炎天下でのレジャーではSPF50+/PA++++程度がおすすめです。

日焼け止めを付けるタイミングは?

日焼け止めを塗るのは外出の15〜20分前がベスト。少し時間を置いてからお出かけしたほうが肌への定着率が高まります。

日焼け止めを朝塗れば、紫外線対策は大丈夫?

「朝たっぷり日焼け止めを塗ったから、これで安心!」なんて紫外線を甘く見てはいけません!たっぷり日焼け止めを塗っても、汗をかけば落ちてしまいます。その後、室内で過ごしていたとしても、窓から差し込む日差しで日焼けしてしまうことも…。紫外線をしっかり防ぐには、日焼け止めのこまめな塗り直しが欠かせません

メイクしている時に日焼け止めを塗り直す場合は?

せっかくきれいにメイクしたのに、その上から日焼け止めを塗りなおすのは抵抗がありますよね。とはいえ、ファンデーションを落として塗りなおすのも面倒。そこで便利なのは、スプレーパウダータイプの日焼け止めです。

【メイク直しの方法】

まずは、優しく油分をティッシュオフ。崩れているメイクの上にそのまま日焼け止めを付けてしまうと、ファンデーションがよれてムラになりやすくなるので注意しましょう。

次に、ファンデーションがよれている部分を優しくなじませます。そうしてから、スプレーやパウダータイプの日焼け止めを付けるとムラなくきれいに付けることができます。
汗をかいた時などは、よりこまめな塗り直しがおすすめです。

2.摩擦レスなスキンケア

過度な刺激や「摩擦」はメラニン色素が過剰に生成され、シミや肝斑の原因になります。特に、洗顔やスキンケアは以下を注意しましょう。

  • クレンジングや洗顔は、やさしく撫でるように洗う
  • 顔を拭く時はタオルでゴシゴシせず、優しく押さえるようにする
  • コットン使用を最小限にして、手で押さえるようにスキンケアをなじませる

マスクや衣類との摩擦、また美顔器を使ったマッサージなども摩擦の原因となることもあるので注意しましょう。

※肝斑の方は特に「こすらない」ことが鉄則です。

3. 食事とサプリで内側からのケア

おすすめの栄養素

  • ビタミンC:メラニンの生成を抑え、できてしまったシミを薄くする効果が期待できます。柑橘類、赤ピーマン、ブロッコリー、イチゴなど。
  • ビタミンE:抗酸化作用があり、ビタミンCの働きを助けます。アボカド、ナッツ類、かぼちゃ、うなぎなど。
  • リコピン:抗酸化作用が強く、紫外線から肌を守り、メラニンの生成を抑制します。トマト、スイカ、柿など。
  • β-カロテン:体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康をサポートします。にんじん、ほうれん草、かぼちゃなど。
  • エラグ酸:ポリフェノールの一種でメラノサイトのメラニン生成を抑制します。ザクロ、ベリー類、ナッツ類などに含まれています。
  • タンパク質:肌のターンオーバーを促し、肌の再生を助けます。肉、魚、卵、大豆製品など。
  • 肝斑にはトラネキサム酸のサプリが有効(医師に相談を)

4.質の良い睡眠&ストレスケア

睡眠不足は肌のターンオーバーを乱すため、メラニン色素の排出が滞ってしまい、シミ・肝斑が濃くなる原因に。またストレスがかかると、コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌され、自律神経やエストロゲンのバランスが崩れます。これがメラニンの過剰生成を引き起こし、シミや肝斑を悪化させる要因になります。

就寝1時間前はスマホやPCを控えましょう。ブルーライトで目を酷使することでメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられてしまい、睡眠の質が低下します。肌のターンオーバーにも悪影響を与えてしまうため、シミ・肝斑だけでなく、肌あれ・ニキビ・くすみなどの肌悩みが起こることもあります。また、アロマや暗めの照明でリラックスすることで睡眠の質が上がります。
ストレスケアには、深呼吸や瞑想、散歩などで自律神経を整えるのも効果的です。

5. 医療的アプローチも選択肢に

皮膚科や美容皮膚科ではレーザー、システインやトラネキサム酸などの内服薬、外用薬などの治療が可能です。肝斑は刺激で悪化するため、自己判断でのレーザー治療は避け、まずは医師に相談をしましょう。

今すぐキレイ”を叶えるメイク術

「効果が出るまで時間がかかるのは待てない、今すぐどうにかしたい!」 そんなときはメイクの力を借りましょう。実は、シミと肝斑でカバーの方法が違います。

「シミ」にはピンポイントカバー

① 下地
オレンジ系ベージュ系でカバー力の高い下地を選ぶと、その後のファンデーションが少量ですみ、自然に仕上がるのでおすすめです。

②ファンデーション
標準色〜少し暗め(黄み寄り)の、カバー力が高めのリキッドファンデーション、またはクリームファンデーションがおすすめです。 明るすぎるとシミが浮くため、トーンを落ち着かせてカバー力をアップしましょう。シミ部分はファンデーションを指でのせ重ねづけし、必要ならその上からコンシーラーを重ねましょう。

③コンシーラー
ピンポイントで高密着&高カバーのクリームタイプのコンシーラーがベストです。色味は肌より少し濃いめのオレンジ〜ベージュ系が◯。白浮きを防ぎ、自然になじみます。軽く叩き込むように馴染ませます。ブラシで仕上げるとより自然にカバーできます。

④フェイス パウダー
コンシーラーをのせた部分に、小さいブラシやパフでパウダーを軽く押さえると、より定着しヨレ防止になります。キープミストも効果的。

「肝斑」には広範囲&薄づきカバー

①下地
イエロー系ライトベージュ系がおすすめ。肝斑やくすみを自然に補正し、全体のトーンを整える効果があります。のばす時、肌の摩擦にならないよう、なめらかに伸びるものを選びましょう。

②ファンデーション
カバー力がありツヤの出るファンデーションを、こすらずに薄くトントン置くようになじませましょう。スポンジ使いもムラになりにくくおすすめ。厚塗りしてしまうと逆に目立ってしまうこともあるのでNGです。

③コンシーラー
イエロー系ピーチベージュ系の色味はくすみを明るく補正する効果があり、肝斑のグレーっぽさを打ち消してくれます。また薄づきで広げやすく、肌になじむリキッドタイプペンタイプが◯。厚塗りすると逆に浮いて見えるので、カバーしすぎずなじませるのがコツ。色ムラをぼかす意識で使いましょう。

④フェイスパウダー
極力薄くこすらずに優しくのせると、ツヤが残ってナチュラルに仕上がります。

更年期の肌とどう向き合っていくか

シミや肝斑が気になっても落ち込む必要はありません。それは、これまでの人生を堅実に歩んできた証。でも、「これ以上増やしたくない」「できれば薄くしたい」と思うなら、今こそ自分の肌と向き合うチャンスです。
まずは、シミと肝斑の違いを正しく知ること。そして、生活習慣やスキンケアを見直し、厚塗りせず自然にカバーできるメイク術を取り入れてみましょう。

更年期は、肌とも心とも向き合う大切なステージ。これからもあなたらしく、前向きに輝くために、「今できること」から、はじめてみませんか?

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