顔のツボを押すと自律神経が整う
脳と近い顔には、自律神経を整えるツボがたくさん存在します。ツボ押しという外部からの刺激によって、健康面・美容面でさまざまな効果を得られるのだとか。イライラや不眠、ホットフラッシュ、むくみなどの更年期特有の不調は、エストロゲンの分泌量の低下によってもたらされる自律神経の乱れが原因です。
足裏と同じように顔のツボを刺激する「リフレクソロジー」によって、血液やリンパ液の循環を促進すれば、自律神経のバランスを整えることができて、更年期のつらい症状を緩和できるのだそうです。
そんな「顔のリフレクソロジー」と鍼灸を組み合わせたオリジナルメソッドを生み出した、美容ジャーナリストで鍼灸師の奈部川貴子さんに、更年期世代の女性を悩ませる症状別の「顔ツボ押し」をご指南いただきました。この記事では、更年期世代の悩みの上位に挙げられる「ホットフラッシュ」と「イライラ」を緩和する顔ツボをご紹介します。
顔ツボ押しの基本
用意するもの
- 鏡(顔全体が映る卓上ミラー)
- 綿棒(先端が尖っていないベーシックなもの)
注意事項
- 入浴中、飲酒時のツボ押しは避ける。
- 過度の刺激は逆効果に。強く押しすぎないこと、1つのツボを長く押し続けないこと。
押し方ポイント
- 指で押す箇所と綿棒で押す箇所がある。
- 綿棒は鉛筆持ちを。
- いきなり綿棒で押すのではなく、鏡を正面に置き指でポイントを探してから綿棒で押す。
- 適度な圧(350〜500gくらいの圧が最適。料理用の計りなどで圧の確認を)でまっすぐに5〜10秒くらい押す。
- あとがついたら指で優しく押し回すと残りにくい。
1.生え際にあるMS線と頭のてっぺんをほぐして自律神経を整える
エストロゲンの減少によって血管運動をコントロールする自律神経が乱れることによって起こるホットフラッシュ。自律神経を整える効果のある「MS線」と頭頂部付近にある「百会」に刺激を与えるのが有効です。
まずは、自律神経のバランスを整える際に使われる「MS線」をほぐします。MS線とは「micro system」の略称で、頭鍼療法で用いるツボを繋いだ治療線のこと。心身を落ち着かせ、活力を高めるといわれています。MS線を押す際は、人差し指〜薬指の腹を線に沿って当て、もう片方の手を上に重ねて圧をかけます。3本の指を使い、点ではなく線で刺激を与えるのがポイント。
①MS1
正中線(顔の真ん中を縦にまっすぐ走る線)上で、前髪の生え際を挟む上下1センチ。神庭を含むエリアで、不眠と精神安定、自律神経の調整に効果を発揮。
②MS3
黒目の中央からまっすぐ上がったところで、生え際を挟む上下1センチ。自律神経を整えるほか、眼精疲労や頭痛、めまいの改善にも効果がある。
③MS4
額の角で骨が凹む部分の上下1センチを。頭維(ずい)という、頭痛の治療でも使われるツボを含むエリア。更年期特有の「なんとなく不調」や婦人科系のトラブルの治療にも使われる。
④百会(ひゃくえ)
両耳を結んだ線と正中線が交わる、頭のてっぺんより少し前にあるツボ。生え際から指7本分奥にあり、少し柔らかく感じる部分。百のツボが交わるという意味をもち、五つの経絡とつながり、多様な効果が期待できる重要なツボ。こちらは綿棒を使ってほぐす。
2.腕のツボ刺激を併せると効果UP
より効果を高めるために、腕にある血液の流れを促し自律神経を整えるツボ、清熱効果のあるツボにも併せて刺激を。外出先などで急にホットフラッシュの症状が出た際のクールダウンにも役立ちます。
⑤内関(ないかん)
手首のシワから指3本分ほど内側にあるツボ。自律神経を整えることで、血行が調整される。イライラや不安を鎮め、消化器系の不快な症状を改善する効果もあるので覚えておきたい。
⑥曲池(きょくち)
ひじを曲げたときにできるシワの端で、押すと少し痛みのある部分。自律神経を整え、清熱効果があり、ホットフラッシュによるのぼせや顔面紅潮などの不調を鎮静する効果が高い。
ホットフラッシュの症状の現れ方や頻度は個人差がありますが、前触れなく症状が出るので、困惑することも多いですよね。
顔ツボ+腕の押しをルーティンにして自律神経を整えること、いざというときは、クールダウン効果のある曲池を刺激して症状を緩和させることで、不快な症状もずいぶん軽減できるのではないでしょうか。
奈部川貴子(なべかわたかこ) KAOYOMIサロン
美容ジャーナリスト、鍼灸師。
世界中の顔の反射区療法やフェイシャルリフレクソロジーを研究し、鍼灸を学びながら独自のメソッドを確立。「KAOYOMI」サロン主催。サロンワークの傍ら、化粧品メーカーでの講習指導、ラグジュアリースパでの技術指導も行う。