生理の1〜2週間前や更年期には、「眠れない」と感じる方と、逆に「日中眠気が取れない」と睡眠に関してお悩みの方は、多いものです。
この時期はホルモンバランスに変化が起きるため、それまでとは違う健康状態を感じることがあります。

特に睡眠は、眠れなくても眠くても辛いもの
生理前・更年期の睡眠のお悩みと解決方法を見ていきます。

生理前・更年期に睡眠の悩みを感じる理由

1. プロゲステロンとエストロゲンの変化

生理前や更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのレベルが変動します。
これらのホルモンの変化は、精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質であるセロトニン量に影響しています。
エストロゲンの低下は間接的にセロトニンの減少を引き起こし、その結果、セロトニンを原料として脳内でつくられる睡眠ホルモン「メラトニン」が不足して睡眠の質が低下する可能性があります。
夜に質の良い睡眠が取れていないと、結果的に日中の眠気を誘発してしまいます。

2. ストレスと感情の変化

生理前や更年期には、ストレスや感情の変化が生じやすくなることがあります。
これは睡眠にも影響を与える可能性があります。
ストレスや不安は、眠りを妨げますし、その状態が慢性化すると、睡眠障害を引き起こす可能性があります。

3. 体温の変化

生理前や更年期には、ホルモンの変化や体温調節に関わっている自律神経バランスの乱れによって体温調節機能が変化します。この体温の変化は、睡眠パターンに影響を与える可能性があります。
プロゲステロンによって体温が上昇することで、夜間に深部体温が下がりづらくなり、日中と夜の体温差が少なくなるため、睡眠・覚醒のメリハリがつかず眠りにくくなったり日中の眠気を感じたりします。

また、これらの要因が複合的に作用することで、慢性的な眠気急激な眠気を感じることもあり、普段の自分と違うことを悩んでより夜に眠れなくなったりし、結果「睡眠負債」を引き起こしてしまう場合もあります。

睡眠の悩みを解消する、最新の3つの方法

睡眠の悩みを解消するのに、有名な方法はいくつかあります。
代表的なものは就寝前に入浴を行ったり、睡眠前のスマートフォンやテレビをやめることや、日中に体を動かしたり、朝日を浴びることが上げられます。
その他にも近年の研究で、分かってきた方法を見ていきましょう。

1. 自分にとって適切な睡眠時間を知る

人によって適切な睡眠時間は異なり、適切な時間を知ることはとても大切です。
睡眠が足りている状態は、“眠気を感じず集中力を保つことができている”ときの睡眠時間が目安になります。


理想の睡眠時間を知る方法として、1週間程度、目覚ましをかけずに自然と目覚めるまで眠る生活を実践してみることです。
ポイントは就寝時間はできるだけ一定にし、自然に眠りにつき、自然と目めが覚めることを繰り返し、それを睡眠日誌として記録することで自分に必要な睡眠時間が自然とわかってきます。

2. 睡眠の質を向上させる食品を意識して摂る

睡眠の質を高める食品はいくつかありますが、その1つがトリプトファンというタンパク質です。
トリプトファンは牛乳から発見されたアミノ酸で、肉や魚、豆腐・納豆などの大豆製品、チーズ・牛乳などの乳製品、卵・ナッツ類にも豊富に含まれています。
昔から眠れないときに、ホットミルクを飲むという慣習がありますが、これにはトリプトファンと、ミルクに含まれるカルシウムが交感神経を抑え、副交感神経を優位にさせてくれる理にかなった方法です。
特にトリプトファンは朝摂取すると、日中はセロトニンに変化し、その約15時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」 に変化します。

その他にも、発芽玄米・発酵食品に含まれるGABAはリラックス効果が期待できますし、エビ・ホタテに含まれるグリシンは深部体温を低下させてくれます。

3. 天然のハーブを活用する

最近の研究では、天然ハーブ「ラフマ」が注目されています。


ラフマは中国新疆ウイグル自治区のタリム盆地を中心とした乾燥地域に自生する、キョウチクトウ科の多年草です。現地では昔からお茶にして飲む習慣があります。
ラフマの葉に含まれる2つの成分、ラフマ由来ヒペロシドラフマ由来イソクエルシトリンは脳内のセロトニンを増やす働きがあり、睡眠の質(眠りの深さ)の向上に役立つことが報告されています。
これらの成分が睡眠中の深い睡眠「ノンレム睡眠」の時間の割合を増やし、睡眠の質を上げることが報告されています。

またリラックス効果のあるカモミールをハーブティーとして飲んだり、安眠効果のあるラベンダーの精油を入れて入浴したり、就寝前にアロマスプレーとして寝具に香りをつけるのもオススメです。

ハーブティーは覚醒作用や利尿作用がないノンカフェインのものが多いこともあり、入眠直前でも安心して飲むことができるのもポイントです。

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その他にも、女性ホルモンの動きを予測したり、睡眠を記録するアプリを活用するのも、自分自身の体調を知る良い方法です。

さらに、女性は出産後は数時間ごとに家事・育児の対応が必要になり、まとまった睡眠が取れない状況になることもあります。そこに生理前や更年期が影響すると、睡眠負債から抜け出せない状態になり、長期に及ぶと体調の悪化も懸念されます。
睡眠不足の期間が長いと、解消するのに何日もかかることが最近の研究でわかっており、例えば、1日あたり1時間の睡眠不足を解消するのに、4日間かかると言われています。

睡眠の重要性を知って、セルフケアを行いしっかりと睡眠時間を確保するように心がけましょう。

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