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気温が低くなる冬は、更年期世代の方には冷えの症状が強く現れるなど、体調が崩れやすい季節です。冷え対策をしても、なかなか身体が温まらないなんて方も少なくないかと思います。
また、手や膝下は冷えているのに、首から上は汗をかいたり。冷えだけではない症状もあるのではないでしょうか。
更年期はホルモンバランスの変化により、身体や心にさまざまな影響を及ぼします。
その中でも「冷えのぼせ」は、手足が冷える一方で顔や上半身が熱くなる不快な症状として悩む方も多いです。また、体温調節しづらい状態になる更年期世代は、季節の変わり目や室温差が大きい時期には、ヒートショックによる健康リスクも増加します。
不快感だけでなくリスクに対しても目を向けて、理解と対策をすることが大切です。
冷えのぼせとホットフラッシュ
体感温度が異なる冷えのぼせと、急なほてりや発汗のあるホットフラッシュですが、主な症状が少し違います。
冷えのぼせの症状
- 手足や膝下などは冷えるが、顔や上半身が熱く火照るように感じる
- 暖房の効いた部屋に入ると、カーッと熱くなり汗をかく
- 気温・運動などの暑くなる条件の後に、上半身が暑くなり汗がどっと出る
- 手のひらや足の裏などにじっとりと汗をかく
ホットフラッシュの症状
- 突然、顔や首、上半身がカッと熱くなり汗をかく
- 数秒から数分程度で収まるが、頻繁に繰り返される
- 実際の体温が上がっていなくても、体が熱く感じる
- 熱感とともに大量の汗をかき、夜間は寝汗も多くなる
どちらも更年期に多く見られ、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による自律神経の乱れが大きく関係しています。
自律神経は血管の収縮や拡張をコントロールして体温調節を行いますが、このバランスが乱れ、身体が環境の変化やストレスに適切に対応できなくなることで、手足の血流が悪くなり冷えを感じ、顔や上半身では血管が拡張して熱を感じるようになり、体温調節の乱れを引き起こします。
体温調節の乱れが引き起こす健康リスク
体温調節の乱れは、更年期の時期に多くの人が経験する問題であり、健康にさまざまなリスクをもたらします。
その中でも「ヒートショック」は特に注意が必要です。
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかることによって起こる健康被害です。
寒い環境に入ると、体温を保つために血管が収縮します。これにより血圧が上昇し、心臓や血管に負担がかかります。そして冷えた身体が暖かい場所に移動すると、血管が急に拡張し、血圧が一気に下がることがあり、この急激な血圧の変動がヒートショックの原因となります。
冷えた脱衣所から急激に温かい浴室に入る場合や、湯船から出た後に寒い環境に戻る時に、血圧が急変することでヒートショックが起こりやすくなるのです。
更年期に自律神経の乱れから体温調節がうまくできなくなると、温度差が大きい場合に身体の体温調節が追いつかず、血圧が急激に変動します。そのためヒートショックのリスクを高めることもあります。特に、高血圧、糖尿病、肥満、不整脈や動脈硬化がある人は影響を受けやすいので要注意です。
すぐにできる入浴時のヒートショック対策
脱衣所と浴室を温める
温度の急激な変化を避けるため、入浴前に脱衣所や浴室を暖房器具で温めることが効果的です。暖房器具がなくても、浴槽にお湯を溜めるときに、シャワーを使って高い位置から給湯すると蒸気で浴室全体が暖まります。
お風呂の温度は低めに設定
お湯の温度が42℃以上になると、心臓に負担をかけることが知られています。38〜40℃程度のぬるめの温度に設定して、胸のラインくらいまで浸かるようにしましょう。
ゆっくりとお風呂から出る
浴槽から出るときに急に立ち上がると、血圧が急激に下がりめまいを起こしたりすることがあるため、ゆっくり立ち上がることを心がけましょう。
食事直後、飲酒時の入浴を控える
食後や飲酒時は血圧が下がりすぎることがあります。食事をとってから30分〜1時間以上経ってからや、飲酒後はふらつきを避けるためアルコールが抜けてから入浴するようにしましょう。寒い時期は、入浴前に温かい飲み物で水分補給すると、体の芯が温まるのでおすすめです。
体温調節の乱れを防ぐために
更年期の体温調節の乱れは、不快な症状だけでなく健康リスクをも引き起こす可能性があります。どちらを予防するためにも体温調節の乱れが深刻化する前に、毎日の生活で自律神経を整えることが重要です。
1.睡眠時間を確保し、規則正しい生活リズムを作る
毎日同じ時間に寝て起き、一定の睡眠リズムを保つことで自律神経のバランスが安定します。しかし、ホットフラッシュなど更年期の症状があると、なかなか寝付けないこともあると思いますが、寝不足で乱れた体内時計は、朝日を浴びることでリセットされます。
朝起きたらカーテンを開けて、毎日同じ時間に朝日を浴びる習慣をつけることで、同じ時間に入眠しやすくなります。
2.無理のない適度な運動を取り入れる
ウォーキングやジョギング、ヨガなどの一定のリズムで行う運動は、副交感神経を活性化します。また、運動によって適度に交感神経が刺激されると、血流が良くなり自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
ストレッチや軽い体操なども血流をよくしてくれるのでおすすめです。
3.朝食を食べる
自律神経と腸内環境の間には密接な関係があり、腸を整えると自律神経のバランスも整いやすくなります。朝の排泄を促すためにも、朝食は起床後1時間以内にとるといいでしょう。
また、腸を整える働きがある食物繊維を豊富に含む食品(いも類、きくらげ、大麦など)などを日常的に食べることもおすすめです。また一日の中で最も体温が低いのが朝なので、朝食に温かいものを摂ることで体温が上がり、体がスムーズに動くようになります。
4.こまめに水分をとる
体内の水分が不足すると、交感神経が過剰に働きやすくなるため、こまめに水分をとり、副交感神経が活発に働くようにして、自律神経のバランスを整えましょう。
特に起床直後はコップ一杯の水を飲むと良いです。腸に過度な刺激を与ないためには、白湯やノンカフェインのお茶など温かい水分摂取を心がけましょう。
5.夜にリラックスする
寝る前の時間帯などにリラックスをすることは、交感神経の活動を鎮め、副交感神経を優位にしてくれるので、自律神経のバランスを整えやすくなります。夜にリラックスすることは、早く眠りにつくためにも、質の高い睡眠を得るためにもとても重要です。
また、就寝前のアロマセラピーも自律神経のバランスを整え、副交感神経が優位になり心身ともにリラックスするのに効果的です。ラベンダーやカモミールなど、ハーブティーとしてもおすすめです。就寝の1〜2時間前に温かいものを飲んで、芯から体を温めると、深部体温が下がるタイミングで入眠しやすくなります。
生活習慣の見直しで体温調節の乱れを改善しよう
体温調節の乱れを防ぐには、自律神経のバランスを整えることが欠かせません。規則正しい生活リズムや適度な運動、リラックス法などを日々の生活に取り入れることで、快適な体温調節をサポートできます。
心身のバランスを整え、日常の質を高めるために、できることから始めてみましょう。