秋から冬にかけて、ふとした瞬間に感じる”肌のかさつき”
「いつもの化粧水が合わない」「急に腕やすねがかゆくなった」「保湿しても追いつかない」そんな小さな違和感が積み重なり、鏡を見るたびに「肌が変わってきた」と感じる方も多いのではないでしょうか。

45〜55歳にかけて訪れると言われている更年期は、心とからだのあらゆるバランスが変化する時期です。その中でも見逃されがちなのが、“肌のうるおい”の変化。
乾燥によるバリア機能の低下、かゆみや炎症などは、単なる外的要因だけでなく、ホルモンや自律神経、血流、栄養状態など、内側のリズムとも深く関わっています。

「昔と同じケアをしているのに、うまくいかない」。
それは、今の体が“違うステージ”に入っているから。
更年期の肌は、「守り方」を少しずつ変えていく必要があるのです。

ホルモンの揺らぎが、肌の“保湿力”を変える

女性ホルモンの中でも特に重要なのが、エストロゲン
このエストロゲンには、肌の中で「コラーゲン」「ヒアルロン酸」「セラミド」といった保湿成分を作り出し、水分保持力と弾力を保つ働きがあります。

しかし、更年期に入るとこのエストロゲンが急激に減少。それにより、皮膚の厚みが薄くなり、角質層のバリアが崩れやすくなります。
皮脂の分泌も減るため、肌表面を守る“天然のオイル膜”が少なくなり、水分が蒸発しやすく、乾燥・かゆみ・小じわといったトラブルが出やすくなるのです。
特に「夜になるとかゆくなる」「乾燥して粉がふく」「首やすねが赤くなる」といった症状は、エストロゲン低下による皮膚の過敏症のサインかもしれません。

「乾燥」「かゆみ」「炎症」の悪循環に陥らないために

乾燥すると、肌のバリアが壊れ、外部刺激が入り込みやすくなります。
刺激を受けた皮膚は炎症を起こし、かゆみを伝える神経が活性化。
かゆいから掻くさらに炎症 乾燥悪化かゆみ増強、というループが始まります

この「かゆみスパイラル」を断ち切るには、早めの保湿と刺激回避がポイント。
掻く前に冷やす、乾燥を感じたらすぐ保湿する、といったシンプルな対応が、肌を守る第一歩です。
また、かゆみを感じる夜間は、体温や血流が上昇するタイミングでもあります。就寝前の熱すぎる入浴やアルコール摂取も、かゆみを誘発する要因に。
寝る2時間前にはぬるめのお湯で短時間の入浴にし、お風呂上がりは5分以内の保湿を習慣づけましょう。

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外側からのケア:摩擦を減らし、やさしく守る

外的ケアでは「何を塗るか」よりも「どう扱うか」が大切です。

洗いすぎないこと

強い洗浄成分のボディソープやピーリング系のスキンケアは避けましょう。
泡で包み、ゴシゴシこすらず、ぬるま湯でやさしく流すのが基本です。

お風呂の温度に注意

熱いお湯(42℃以上)は皮脂を奪い、乾燥を進めます。38〜40℃で10分程度が理想。

保湿は”時間”が勝負

入浴・洗顔後は、タオルで軽く押さえるように水気を取り、まだ湿っているうちに保湿剤を重ねます。化粧水で水分を与えたあと、乳液やオイルで油分のフタを。

衣類と寝具も見直しを

化繊の下着や硬いシーツは刺激になります。コットンやシルクなど肌触りのやさしい素材を選びましょう。

保湿剤は「セラミド」「シアバター」「ワセリン」など、バリア機能を補う成分入りがおすすめです。
かゆみが強い場合は、医薬品、薬用保湿クリームや皮膚科で処方される保湿剤も検討を。

内側からのケア:うるおいを「つくる」生活習慣へ

乾燥・かゆみの根本には、「血流」と「栄養」と「自律神経」の乱れがあります。
外から塗るケアだけでなく、内側の環境を整えることが、肌質の底上げにつながります。

栄養面でのサポート

  • たんぱく質(魚・肉・卵・大豆製品):肌の材料。朝・昼・夜に分けて摂るのが理想。
  • ビタミンB群(豚肉・納豆・玄米など):代謝をサポート。肌の再生を助ける。
  • ビタミンE(アーモンド・アボカド・かぼちゃなど):血行を促し、抗酸化にも。
  • オメガ3脂肪酸(青魚・亜麻仁油など):炎症を抑え、かゆみ軽減にも効果。

体を冷やす食べ物や飲み物(アイス・カフェイン過多)を控え、温かいスープやお茶で内側から温めることも大切です。
黒豆茶・なつめ茶・生姜湯などは、女性の巡りを整える味方。

自律神経のケアが、肌を整える近道

更年期にはホルモンの揺らぎだけでなく、自律神経も乱れやすくなります。
ストレスや睡眠不足は、皮膚の血流を悪化させ、ターンオーバーを遅らせる要因に。

  • 深呼吸や軽いストレッチで副交感神経を優位に。
  • 就寝前のスマホ使用を控え、照明を落とすだけでも体はリラックスモードに。
  • 温かい飲み物で一息つく時間を「夜のルーティン」にすると、翌朝の肌も穏やかになります。

ストレスを感じやすいときこそ、“肌のゆらぎ”も強く出やすい時期。
心を緩めることが、結果的に肌を整える最短ルートなのです。

「肌トラブル=悪いこと」ではない

更年期に訪れる肌の変化は、老化や衰えではなく、体が次のステージへと適応している途中。 乾燥やかゆみは、その過程で生まれる自然なサインです。

「もう前みたいな肌には戻らない」と落ち込む必要はありません。
今の体に合った“うるおいの育て方”を見つけていくことで、肌は再びしなやかさを取り戻していきます。昔よりも敏感になった肌は、実は自分の変化に気づくセンサーでもあります。
小さな変化を丁寧に受け止めることが、これからの自分を整える第一歩。

焦らず、やさしく、自分のペースで。
「変わっていく肌」「新しい自分」を、あたたかく見守っていけますように。

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