更年期には、女性ホルモンの分泌量が減少し自律神経が乱れることで、さまざまな不快症状が現れます。
更年期の症状として代表的な症状は、ほてりやのぼせ、イライラなどですが、実はあまり知られていないものの、更年期に目の不調が現れる方がとても多いのです。
疲れ目、かすみ目、ドライアイなど、更年期に起こる目の不調の原因や特徴、症状、対策法について解説します。
また、本記事で紹介するクラシエメノテックライフ独自の「バランス状態チェック」では、同じ「目の不調」でも、バランスタイプごとに異なる原因を知ることができます。今の自分のバランス状態がどのタイプに当てはまるのかをチェックし、自分に合った対策を見つけましょう。
更年期と目の不調の原因
老眼や眼精疲労、ドライアイなどの目の不調に悩む方は多くいます。しかし、目の不調を引き起こす要素は多岐にわたり、原因の特定が難しいとされています。
その中のひとつに、更年期が原因となる目の不調があります。ここでは、更年期と目の不調の関係、原因について解説します。
更年期の目の不調とドライシンドロームとの関係
更年期とは、閉経を挟んだ前後の約10年間(一般的に45歳〜55歳)をいいますが、更年期を迎える少し前の30代後半頃から、女性ホルモンの分泌量は少しずつ減少していきます。
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つの種類がありますが、エストロゲンは「潤いのホルモン」とも呼ばれ、カラダ全体に潤いをもたらす働きを持っています。
更年期になり女性ホルモンが減少すると、皮膚の潤いの減少、皮膜の柔軟性の低下に加え、粘膜の分泌量も減少するなど、カラダ全体が乾燥する「ドライシンドローム」が現れやすくなります。
ドライシンドロームは、目の水分量や粘膜にも影響し、目の乾きや疲れ目、かすみ目などが起こりやすくなるのです。
更年期の涙の質の低下も影響
涙は、ムチン層、水層、油層の順に三層構造になっており、それぞれがバランスを保つことで涙の安定性を保っています。油は水分が蒸発しないよう目を保護する役割、ムチンはネバネバとした粘膜成分で瞳に水分を密着させる働きがあります。
更年期になり女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少すると、涙の質も変わります。粘膜であるムチンの分泌量が減り、瞳の水分量はあるのに水分を保持できず、目が乾燥したような感覚になるのです。
この結果、目の表面(角膜や結膜など)が傷つきやすくなって、異物感や乾き、充血などの不調が現れると考えられています。
生活習慣の変化も影響
生活習慣として、デジタル機器の長時間使用は、目の不調につながる原因のひとつです。
更年期の症状は、負担がかかっている部分や弱っている部分に生じる傾向があります。オフィスワークに従事していて長時間パソコンで作業を行うような方は、目の不調が出やすい傾向にあるのです。
更年期に起こる目の不調の種類と主な症状
更年期に現れる目の不調には、どのような種類があるのでしょうか。更年期の多くの女性が困っている目の不調について、具体的な症状を見ていきましょう(※)。
※ここでは主に更年期との関係に絞った原因を紹介します。目の不調にはほかの病気が関係しているケースもあるため、症状が強い場合、継続する場合は医療機関を受診しましょう。
目が乾く(ドライアイ)
目が乾いたような違和感が強く、目薬をささずにはいられないようなつらい感覚がある場合、ドライアイの可能性が高いです。
ドライアイは更年期に現れる目の不調の代表的な症状で、ドライシンドロームや涙の質の低下によって起こります。
さらに、エアコンの使用、デジタル機器の長時間使用でまばたきが減ること、コンタクトレンズの使用などで症状を悪化させます。
目がゴロゴロする
更年期の目の不調として、目の中に異物が入ったわけでもないのに、目がゴロゴロする感覚が現れることがあります。
これはドライアイにより目を守る成分が不足して目に小さな傷がついたり、まぶたと瞳がこすれないようにする成分が不足したりすることでゴロゴロするような異物感を感じるためです。
目がかすみやすい(かすみ目)
かすみ目とは、対象物がかすんで見えて全体を把握しづらい状態です。
更年期のドライアイで涙の量が減ると、目の表面に傷ができたり、でこぼこしやすくなったりします。傷やでこぼこがある瞳は、ピントが合いにくく、対象物がぼやけて見えることが増えるのです。
目が疲れやすい(疲れ目)
更年期のドライアイでは、ピントが合わせにくい状態が多くなりますが、ピントを合わせようと常に緊張した状態が続くため、いつも以上に目の疲れが出やすくなります。
また、更年期の年代になると老眼の症状も出始めます。加齢による老眼とドライアイが重なることで、目への負担が増加。疲れ目の悪化とともに、目の調整機能も低下し対象物がぼやけて見えることが増えていきます。
目の不快感が休んでも取れない
更年期は女性ホルモンの減少によって自律神経の乱れが生じます。これにより全身の倦怠感や疲労感が強く現れることが多く、その中のひとつに眼精疲労もあるのです。
更年期の症状の中には寝付けない、眠りが浅い、途中で目が覚めるといった不眠も多く、良質な睡眠が取れないことで、目の回復が遅れ眼精疲労が蓄積する傾向が強まります。
目がヒリヒリする
更年期のドライアイの症状として、目がヒリヒリして、しみるような痛みを感じることもあります。
また、更年期で目を守る成分が減少することで太陽の紫外線による刺激を受けやすくなり、目の炎症や紫外線角膜炎(雪目)を起こしやすくなります。
海やプール、ハイキング、スキーなどの野外レジャー後の目のヒリヒリは、紫外線による目のトラブルも疑いましょう。
目がかゆい
更年期のドライアイの症状として、目のゴロゴロ感や乾燥する感覚ではなく、目のかゆみとして感じる方も多いです。
更年期で涙の量が不足することや、涙の質が低下することで、目の表面にアレルゲンや小さい異物が付着しやすくなったり、涙で除去する能力が低下したりするため、かゆみが生じることもあります。
目がまぶしい
強い光を見ていないのにまぶしく感じたり、周囲の人がまぶしそうにしていないのに自分だけがまぶしく感じたりします。
ドライアイが原因の場合、目の乾燥により網膜が傷ついて目の表面の形が変形。光が乱反射してまぶしく感じるという原因が考えられます。
目の奥の痛み
目の奥が痛むことは、更年期の目の不調としてよく起こる現象のひとつです。
疲れ目の悪化、更年期の自律神経の乱れで起こる筋肉の緊張、頭痛の症状を目の奥の痛みとして感じるケースも多いです。
目がしょぼしょぼする
目がしょぼしょぼする症状も、更年期のドライアイや眼精疲労の蓄積で起こります。目の乾燥や目の疲れが悪化したときに現れやすい症状のひとつです。
病気の可能性も見逃さないで
更年期には目の不調がでやすいのですが、更年期が原因ではなく、「角膜炎」「白内障」「緑内障」「(アレルギー性)結膜炎」「視神経炎」「シェーグレン症候群」などの病気が影響している場合もあります。
目の不調がひどい、悪化する、長引くなど気になる症状がある場合は、自己判断せずに早めに眼科を受診しましょう。
【タイプ別】更年期の「目の不調」の特徴と対策
メノテックライフ独自の更年期に関する研究や生活者アンケート結果に基づいた「バランス状態チェック」では、バランスタイプごとに異なる原因を判定できます。今の自分のバランス状態がどのタイプに当てはまるのかをチェックしてみましょう。
3軸のバランス状態を組み合わせた8タイプの中から、今の自分の状態を判定できます。
【判定】あなたの「バランスタイプ」は?
心身のバランスが乱れる原因が分かれば、バランスを整えるための方法を知ることができます。あなたのバランス状態をチェックしてみませんか?
女性の「目の不調」とバランス状態との関係
メノテックライフでは、漢方理論と世界の伝統療法を融合させた、独自の「虚-実、寒-熱、湿-燥」の3軸・6要素を定義。それらの視点から、個々のバランス状態を判断すると、その人により合ったケアができると考えます。
虚↔実、寒↔熱、湿↔燥はそれぞれ反対の性質で、「寒」は寒がりでこりや痛みを感じやすい状態なのに対し、「熱」は暑がりでほてりを感じやすいなど、異なる性質を持ちます。
どちらかに偏りすぎると、カラダやココロに不調が起きるとされるため、過不足や滞りのないバランスのとれた「中庸」を目指し整えることが大切です。
また、3つの軸はどれかひとつではなく、それぞれに影響し合っているため、バランス状態と3軸の組み合せを把握することが重要といえます。あなたはどのタイプなのか、チェックしてみましょう。
更年期の「目の不調(ドライアイ)」に多い「湿」「燥」タイプの特徴と対策
まずは、目の不調でもドライアイに多い「湿」と「燥」の特徴と対策から見ていきましょう。
湿タイプ
- 水の巡りがよくない
- 水分バランスが過剰
<特徴>
□めまいや頭痛、腰の痛みを感じやすい
□手足や顔などがむくみやすい
□疲れやすい
燥タイプ
- 水分不足
- 乾燥状態
- 喉が渇きやすい
<特徴>
□喉が渇きやすい
□かすみ目、疲れ目を感じやすい
□乾燥肌・カサカサしやすい
<湿・燥の対策>
人体は地球の表面と同様、約70%が水分です。水分の代謝異常で水が停滞して起こるのが「湿」、水分が不足した場合に起こるのが「燥」になります。
湿と燥それぞれが原因で、ドライアイが起こりやすくなります。湿タイプは体内に水分はあるものの巡りが悪く、燥タイプは体内の水分が足りていない状態なため、肝心な目の潤いとして水分が届きません。
湿は夏にドライアイが出やすく、燥は冬に出やすいという特徴があります。
身近な対処法は目薬ですが、「湿」「燥」対策としては、体内の水分の偏りを改善させるクコの実と菊花が知られています。
栄養素では目の表面を保護する働きがある、アントシアニン(ブルーベリー、赤ワイン、ぶどう)、ルテイン(小松菜、モロヘイヤ、ケールなど)が有効で、ブルーライトによる光刺激から目の疲労感を和らげるといわれています。
更年期の「目の不調(疲れ目)」に多い「虚」「寒」「熱」タイプの特徴と対策
つぎに、目の不調でも「疲れ目」に多い「虚」「寒」「熱」の特徴と対策を解説します。
虚タイプ
- 食エネルギー不足
- 気力を維持したい
<特徴>
□ 常に疲れやすく、気力がでないことが多い
□ 食欲不振になることが多い
□ 胃腸や爪が弱い
「虚」は「眼精疲労」の原因となります。
寒タイプ
- 寒がり
- 夏でも温かいものが好き
<特徴>
□ のどがあまり乾かない・頻尿
□ 顔色は青白い方だと思う
□ こりや痛みを感じやすく、温めると改善される
「寒」に「虚」が伴うと、水の巡りが悪くなり「湿」の影響が出やすくなります。
熱タイプ
- 暑がり
- 冬でも冷たいものが好き
<特徴>
□ ほてり・イライラを感じやすい
□ 暑がり・汗をかきやすい
□ のどがかわきやすい
「熱」に「虚」が伴うと、水を失い「燥」の影響が出やすくなります。
<虚・寒・熱の対策>
「虚」はもともと眼精疲労の原因になりますが、「虚」「寒」「熱」が組み合わさると、より発現しやすくなります。
寒タイプは冬に症状が出やすく、熱タイプは夏に出やすいのも特徴です。
今すぐできる疲れ目対策は、目薬と温タオル。
食べ物としては、虚には胃腸を整えて目にもよいとされる「クコの実」がおすすめです。寒にはカラダを温める「生姜」、熱にはカラダの熱を放出する「菊花」がよいでしょう。
【基本】更年期に見られる目の不調におすすめの対策
先の章で紹介した「バランス状態」と並行して試したい、目の不調に対して自分でできる基本的な対策を紹介します。目の不調が悪化する前にできることからはじめてみましょう。
目の不調におすすめのツボ
目の不調を緩和させるツボを紹介します。目の周りはデリケートなため、ツボを押すのではなく、人差し指・中指・薬指の2〜3本の指の腹を当てて優しくさする程度が最適です。ツボ全体を覆うように温かいタオルや目用の温熱剤などで温めるのも効果的でしょう。
①眉毛にそって
眉頭の少し下のくぼみ(攅竹・さんちく)
↓
眉毛の真ん中あたり(魚腰・ぎょよう)
↓
こめかみ付近のくぼみ(太陽・たいよう)を中心とした目尻の骨辺り全体
②目の下側の骨にそって
目頭と鼻の中間点(睛明・せいめい)
↓
目の下側の骨沿い。中間点(承泣・しょうきゅう)
↓
こめかみ付近のくぼみ(太陽・たいよう)を中心とした目尻の骨辺り全体
ハーブティーやアロマでリラックス
目によいとされるハーブのハーブティーを飲むことも目の不調の対策になります。目の不調におすすめのハーブを紹介します。
アイブライト | 古くから目の健康によいとされるハーブ。目の疲れや痛み、かゆみなど、さまざまな目のトラブルに役立つ。 |
ハイビスカス | ポリフェノールの一種で目によいとされるアントシアニンが豊富で、視力低下や疲れ目に効果的。眼精疲労の予防にもなる。 |
ローズマリー | 血流循環を促すことで目の疲れや肩こり、冷え、頭痛、むくみなどの回復にも活躍。頭をスッキリさせて記憶や集中力を高める効果も期待できる。 |
更年期の目の不調は早めの対策が大切
更年期はドライシンドロームや涙の質の低下の影響で、目の不調に悩む女性が増加します。
更年期による目の不調の改善には、バランス状態を整えるよう心がけることが肝心です。ツボやハーブなどのセルフケアも取り入れながら、更年期と更年期による目の不調を上手に改善していきましょう。