更年期になると肌の乾燥に悩む女性が多くなり、いつの間にか肌の潤いだけではなく、ツヤやハリもなくなってきます。

今までは女性ホルモンのエストロゲンがコラーゲンの生成を促し、肌に水分と弾力を与えてくれていましたが、更年期にはその恩恵が少なくなり、乾燥や吹き出物などの肌トラブルが増えてくるのです。

お風呂上りには、足や背中を中心に全身がかゆくなるなど、乾燥を実感するかもしれません。フェイスラインにできる吹き出物や、カラダにできるブツブツなどの肌トラブルで悩む人も少なくありません。

更年期に起こる肌トラブルはどのようなものか、原因は何かを知り、適切なスキンケアを行うことが大切です。肌の乾燥は放置すると更なる肌トラブルの原因にもなるので、早めにケアをしていきましょう。

更年期の肌トラブル!肌荒れが起きる原因は?

更年期に起こる肌トラブルのかゆみで困っている女性

更年期の肌トラブルの原因は、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで起こると考えられています。エストロゲンには潤いを保つ作用があり、 肌にみずみずしいハリを与え、女性の美しさをサポートする働きを持ちます。更年期の肌トラブルと「エストロゲン」との関係から解説します。

更年期は体全体が乾燥しがちに

更年期に減少するエストロゲンは、肌に潤いや弾力を与えるコラーゲンの生成を促します。

エストロゲンは脳からの指令を受けて主に卵巣で生成されるのですが、更年期と呼ばれる40代後半ごろから卵巣機能が低下しはじめ、エストロゲンの分泌量が減ります(※)。

すると、カラダ全体のコラーゲン量も減少し、肌は十分な水分を保持できなくなり、肌の乾燥へつながるのです。

また、エストロゲンは粘膜を守る働きもあるため、肌だけでなく、目、鼻、口、膣の粘膜など、カラダ全体が乾きやすくなります。目の乾燥が進めばドライアイや疲れ目、口の乾燥が進めば口臭につながります。カラダ全体が乾燥に傾くことで、さまざまな不調を引き起こすとされています。

カラダ全体が乾燥し、肌のかゆみや肌荒れだけでなく、目、鼻、口、腟などカラダのあちこちで不調が起こりやすくなることを、「ドライシンドローム」と呼びます。

ドライシンドロームによる乾燥症状は、唾液や涙、皮脂などの分泌腺の機能低下が原因で起こります。更年期以降の女性はドライシンドロームになりやすい傾向にあり、その主な原因はエストロゲンの分泌低下が関係していると考えられています。

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※更年期とエストロゲンの関係

更年期に入るとエストロゲンの分泌が減少します。更年期とは閉経を挟んだ前後の約10年間をいいます。日本人女性は50歳前後で閉経を迎えることが多いため、45〜55歳ごろが「更年期」にあたります。

ただし、30代後半〜40代前半のプレ更年期などと呼ばれる時期から、エストロゲンの減少は少しずつ進んでいるため、人によっては30代後半から、肌の乾燥など更年期に起こる症状が進むケースもあります。

閉経すると、卵巣からのエストロゲンの分泌はなくなりますが、卵巣以外の臓器からはわずかに分泌されます。

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ストレスも影響

唾液や涙、皮脂などの分泌腺の働きは自律神経によって調節されています。 ストレスで交感神経が過剰に働くと分泌腺の機能が低下し、乾燥症状を引き起こしやすくなってしまうと考えられています。

強いストレスを感じると、脳にも影響がおよぶため、脳からの指令で生成されるエストロゲンの分泌量が減り、粘膜の乾燥が進むことがあります。

また、ストレスで交感神経が過剰に働くと血管が収縮するため、 カラダ全体へ栄養や水分を運ぶ機能が停滞することがあり、巡りが悪くなって肌や粘膜の乾燥が出やすくなるのです。

更年期と呼ばれる40代後半〜50代前半にかけては、仕事でのプレッシャーや責任が大きくなったり、プライベートでさまざまな負担が増えたりする時期です。肌の状態は、忙しすぎ・頑張りすぎのストレスがプラスされて、悪化している可能性があるといえるでしょう。

更年期に起こる「肌荒れトラブル」はどんな感じ?

更年期に起こる肌荒れ・肌トラブルで困り原因について悩んでいる女性

更年期にはさまざまな肌のトラブルが起こりやすくなります。肌の乾燥や、かゆみ、吹き出物などいくつもの症状に悩まされるケースがあります。

肌の乾燥・肌荒れ

ファンデーションのノリが悪く、浮くように感じられたり、足のすねや、下着や肌着があたる部分などがカサカサ乾燥したりすることがあります。

肌が乾燥している状態とは、水分の蒸発を防いだり、外敵の侵入を防ぐバリア機能が低下している状態なため、エストロゲンが減少する更年期では、さらに乾燥が進んだり、肌荒れが進むという悪循環に陥ってしまうことも……。

ひどくなると角質層がめくれて粉を吹いた状態になることもあります。

肌のかゆみ・ぴりぴり

肌にかゆみやぴりぴりを感じるのは、肌の乾燥が原因であることが多いです。

水分が不足して、肌のバリア機能が低下すると、洋服の繊維などちょっとした刺激に反応して、かゆみやピリピリ感といった不快な症状を感じることがあります。

肌の乾燥が進むと、今まで使っていた化粧水やクリームでも肌に違和感を覚えたり、ベッドに入ってカラダが温まると背中や腕がかゆくなったりすることも多く見られます。

肌のブツブツ・吹き出物

更年期の肌トラブルは、肌にブツブツとした吹き出物や湿疹として出ることもあります。

更年期の吹き出物は、口の周りなどのフェイスラインに出やすいのが特徴のひとつです。

乾燥で肌のバリア機能が低下しているため、いつもの化粧品などさまざまな刺激が吹き出物の原因になることもあります。

大量の汗をかいた後、脇や肌着があたる部分に、あせもなどができてかゆみが増すケースも多いです。

爪も肌の一部、トラブルが起こりやすい

爪も肌の一部であるため、更年期になると、爪のトラブルも増えます。

爪に入る縦筋が目立ってきたり、爪が欠けたり割れたりしやすくなるため、若いころのようにネイルが楽しめないという声も多く聞きます。

爪の主成分であるタンパク質「ケラチン」や 水分が減少するため、荒れたり割れやすくなっているのです。爪周りが乾燥し、ささくれができやすくなることもあります。

【タイプ別】更年期の「肌荒れトラブル」の特徴と対策         

メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。

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更年期の「肌荒れトラブル」に多い「湿」タイプの特徴と対策

まずは、更年期の肌荒れトラブルで多い「湿」の特徴から見ていきましょう。

湿タイプ

  • 水の巡りがよくない
  • 水分バランスが過剰

<特徴>
□オイリー肌・ニキビできやすい
□手足や顔などがむくみやすい
□舌のコケが厚く、ふちに歯形がつきやすい
□手足や顔などがむくみやすい

肌は乾燥するけど、顔のTゾーンなど一部がオイリーだったり、肌の代謝が悪く湿疹、水疱やニキビなどの吹き出物が出やすかったりしたら「湿」タイプかもしれません。

体内の水の巡りが悪く余計な水分が溜まって過剰になっている状態です。むくみなども出やすい状態です。

フェンネルというハーブは余分な水分や老廃物の排出を促す効果が期待されています。他のハーブと合わせたスパイス、またパウダー状のスパイスとして市販されているので、魚や肉料理の仕上げに使用してみましょう。

この後に紹介するハトムギもデトックス効果がありおすすめです。

更年期の「肌荒れトラブル」に多い「燥」タイプの特徴と対策

燥タイプ

  • 水分不足
  • 乾燥状態
  • 喉が渇きやすい

<特徴>
□乾燥肌・カサカサしやすい
□かすみ目、疲れ目を感じやすい

□舌が薄く、ひび割れている
□喉が渇きやすい

乾燥肌がひどく喉が渇きやすい場合は、「燥」タイプの可能性が高いでしょう。肌荒れやかゆみのある皮膚発疹、ひび割れやすい爪などが特徴です。

体内の水分バランスが乱れ、水分不足の状態にあるため、カラダ全体が乾燥しがちです。

燥タイプにおすすめなのが、カラダの中から温まりリラックス効果が期待できるハーブティーです。

この後に紹介する月桃葉のハーブティーは美肌を促す効果、ジャスミンティーはストレス緩和やホルモンバランスを整えるような効果があるといわれています。自分の好きな香りのハーブティーを見つけて香りを楽しむのもよいでしょう。

更年期の「肌荒れトラブル」に多い「虚」タイプの特徴と対策

次に「虚」タイプの特徴を解説します。

虚タイプ

  • 食エネルギー不足
  • 気力を維持したい

<特徴>
□爪が薄く、もろい
□胃腸が弱い・お腹を壊しやすい
□常に疲れやすく、気力がでないことが多い
□運動をすると、すぐ息切れしやすい

乾燥肌と同時に爪のトラブルが多い場合は、「虚」タイプかもしれません。体内のエネルギーが足りていない状態のため、肌や爪、粘膜にも栄養が届かず、肌荒れなどのトラブルが起こりやすくなっています。

虚タイプの人におすすめの身近な食材として、きくらげ(胃腸の働きをサポート)、しいたけ(気力を養う)、山芋(胃腸を整え、消化を促進する働き)などがあります。

更年期の「肌荒れトラブル」に取り入れたい栄養素・食事

更年期におすすめのハーブティー

更年期の肌の乾燥やトラブルに、カラダの内側からアプローチしてくれるのは食事からとれる栄養素です。体内から肌の潤いをサポートし、みずみずしさを促すような食材を積極的に食事に取り入れましょう。

※食事から摂取する栄養素の効果は数日で出るものではなく、数週間から数カ月といった長い期間続けていくことで効果を感じられるようになります。無理なく楽しみながら続けていきましょう。

ハトムギ

ハトムギは体内の水分バランスを調整してむくみを改善し、老廃物などを排出するデトックスの作用を持つとされ、古くから生薬として漢方薬などにも利用されてきました。

ブツブツなどの吹き出物や湿疹・肌荒れをよくしたり、古い角質を排出して肌のターンオーバーを促しきれいな肌を生成するなど、肌を整えて乾燥で傷んだ肌を改善する効果が期待できます。

月桃葉

月桃(げっとう)は沖縄や東南アジアに自生する、ショウガ科の植物。独特の甘くさわやかな香りと味わいが特徴で、更年期の美肌のサポートによいとされています。

月桃葉には、ポリフェノールが豊富に含まれており、カラダを酸化させ老化の原因となる活性酸素を抑制する効果が期待されています。

月桃のハーブティーは、香りでリラックスしながら美肌のサポートにもなる、更年期におすすめの食材です。

冬瓜

冬瓜(とうがん)という名前ですが、旬は夏。あっさりした癖のない味で他の食材とも合わせやすいのが特徴です。

冬瓜の主な栄養素はカリウムとビタミンC。カリウムには利尿作用があり、過剰に摂取されたナトリウムとともに体内の余分な水分を排出します。高血圧やむくみの改善にも効果的です。

ビタミンCはコラーゲンの生成には不可欠な栄養素ですが水に溶け出てしまうため、冬瓜の栄養素を丸ごと摂取できる煮物などのメニューで取り入れてみましょう。

白きくらげ

白きくらげはビタミンB2やビタミンD、食物繊維を豊富に含んでいて、皮膚や粘膜に必要な水分を与えてくれる食材です。乾燥気味の口や鼻、喉、肺などカラダ全体に潤いをもたらします。

ビタミンB2は皮膚や粘膜の機能を保つ働きをするビタミン。カラダの余分な水分を取り、むくみを解消してくれる働きもあります。

ビタミンDは免疫機能を高める効果があるため、乾燥で弱った肌や粘膜をサポートするような働きが期待できるでしょう。

白きくらげは、味に癖がなく、水でもどして煮込むとトロトロになります。煮物はもちろん、お粥に入れたり、はちみつをかけてデザートとしてもおいしくいただけます。

ハーブティー

ハーブティーはお湯に溶け出した成分や香りの成分が自律神経を整え、カラダの働きを調節するとされています。更年期におすすめのハーブティーを紹介します。

  • オレンジピール:血流を改善し、美肌サポートに
  • ローズマリー:抗酸化作用があり老化予防に、血流をよくして代謝をアップ
  • メリッサ(レモンバーム):イライラを押さえるのに有効、ストレスが続くときに
  • ローズヒップ:多数のビタミンを含み、ビタミンCはレモンの10倍。シミや肌荒れ予防に

※ハーブティーには妊娠・病中に禁止されている種類のものや、利尿作用が強く就寝前に向かない種類のものもあります。飲む前に成分表や注意書きを確認しましょう。

更年期の「肌荒れトラブル」対策とは?

更年期の肌トラブル対策になるスキンケアをして笑顔になる女性

更年期の乾燥やかゆみは、適切なケアで改善されることがあります。正しいスキンケアで肌を保護し、肌への刺激を少なくするような対策が有効です。おすすめの対策を紹介します。

※1カ月前後試しても、効果がない、悪化するという場合は、別の皮膚トラブルの可能性があります。病院の受診や薬剤師への相談をおすすめします。

徹底的なスキンケアと紫外線対策

更年期の肌トラブルでは、今まで使っていたスキンケアアイテムで皮膚が赤くなったり、湿疹ができるというケースがよく見られます。

そのような場合スキンケアを止めてしまうと肌の乾燥がより一層進んでしまうため、一時的に、敏感肌用の商品や刺激の少ないベビー用商品などに切り替えるなどして、スキンケアを続けましょう。

同時に、一年を通して、紫外線対策は重要です。紫外線にさらされた肌は、皮膚のバリア機能が低下したり水分をキープできなくなったりするため、皮膚の状態にあった日焼け止め対策がポイントです。なお、紫外線UVAはガラス越しに室内へ届くため、外出しない日も油断は禁物です。

紫外線を予防できる指針となる「SPF」は数値が高いほど、また「PA」は「+」が多いほど効果が期待できますが、肌への負担も増えるとされています。室内にいるときは敏感肌用やベビー用などの肌への負担が少ない商品を使用するなど、場面に応じて商品を使い分けるのもおすすめです。

入浴と保湿

肌が乾燥しているときは、肌をいたわりながら入浴しましょう。肌が乾燥したり、荒れたりしているときに、注意したいポイントを5つ紹介します。

  • 熱いお湯に長くつからない
  • カラダはナイロンタオルなどでゴシゴシこすらないで、手でやさしくなでるように洗う
  • ボディソープや石鹸は刺激の少ないものを使い、よく泡立ててから泡で洗う
  • お風呂を出てカラダの水分をとるときは、タオルでゴシゴシ拭かずに、ポンポンとタオルの上から軽くたたくように
  • カラダの水分をとったら、キレイな手のまま、すぐ(5分以内)に保湿ケアを

お風呂上りは、水分が失われるスピードが通常より早いので、保湿ケアは素早くすることが大切です。

スマートフォンなど見ながらケアしたくなりますが、スマートフォンには室内外の雑菌などが付着している可能性があるため、それを触った手でスキンケアを行うのは避けるようにして。お風呂上がりのキレイな手で行うのがポイントです。

睡眠

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌の再生が促されます。

成長ホルモンが最も多く分泌されるのは、就寝してから3時間前後といわれています。この時間に深い睡眠がとれるほど、分泌量は多くなると考えられているのです。

スムーズな眠りについて、効果的に深い睡眠をとれるようにするためのポイントを2つ紹介します。

ひとつめは、入浴は就寝90分前くらいまでに終わらせ、ぬるめのお湯につかることです。副交感神経が刺激されるなどしてスムーズに眠りにつけるようになります。

ふたつめは、就寝30分〜1時間前には、ブルーライトなどの刺激が強いスマートフォンやパソコンをオフにしたり、照明を暗めにしてリラックスする時間を作ることです。深くゆっくり眠り成長ホルモンを分泌できるよう工夫しましょう。

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「バランス」を意識して更年期の肌荒れトラブルも上手に改善

更年期には女性ホルモンのエストロゲンの減少が、肌荒れや肌トラブルに影響を及ぼします。

エストロゲンは肌の水分保持や弾力性を高める働きをしますが、更年期以降は減っていってしまうため、自分に合った対策を見つけることが重要です。

更年期の肌トラブルには、十分な保湿ケアと同時に、肌によい食事や質のよい睡眠を意識し、カラダの内側からもケアしていくことがポイントです。

若いころの肌には戻れなくても、キレイな輝く肌には近づけることができます。さっそくできるところからはじめてみましょう。

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