著者 : 新田晃代
ライター
ナチュラルコスメから美容医療の分野まで幅広く精通。 紙媒体やウェブなど幅広いメディアで美容企画を担当するかたわら、コス... [続きを読む]
ナチュラルコスメから美容医療の分野まで幅広く精通。 紙媒体やウェブなど幅広いメディアで美容企画を担当するかたわら、コスメのブランディングやネーミングなどにも携わる。 幼少期より野草に慣れ親しみ、和ハーブライフアドバイザー、薬草料理マイスターの資格を取得。

大人の肌は春に老ける!?
肌の2大天敵、乾燥と花粉から肌を守る方法

空気の乾燥や寒暖差などが肌にストレスを与えがちな3月。さらに花粉などの外的刺激も加わり、春の肌はトラブルを起こしやすいので注意が必要です。さらに更年期世代の肌はホルモンバランスの急激な変化によって、乾燥や肌荒れ、かゆみ、ピリつきなどが出やすくなります。

そんなセンシティブな肌の正しいお手入れ法を白金あおば皮フ科クリニックの院長・森下未奈子先生に伺いました。

春に肌が荒れやすい2大理由は乾燥と花粉

実は四季のなかでも春は肌トラブルが起こりやすい季節。暖かく乾いた空気をもつ移動性高気圧によって、春の大気は冬同様に乾燥しています。さらに、春の風にのって飛散する花粉も肌トラブルの原因に。近年は花粉だけでなく、肌に悪影響を与えるPM2.5、黄砂などの大気汚染物質にも気をつけなくてはなりません。

また、花粉対策として着用するマスクや、ティッシュペーパーの摩擦も肌の刺激に。春は、乾燥+さまざまな外的刺激によって肌のバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れが起こりやすい季節なのです。

更年期世代はエストロゲンの減少も肌荒れの原因に

更年期世代は、女性らしい身体づくりをサポートする女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することによって、コラーゲンやエラスチンの生成量や水分保持機能も低下します。

肌が乾燥してバリア機能が損なわれ、肌荒れやかゆみ、ピリつき、吹き出物などの肌トラブルを招くことに。

センシティブな肌を守る正しいスキンケアの選び方

肌が荒れやすい環境に、ホルモンバランスの変化という要因がプラスされ、更年期世代の春の肌はとてもデリケート。もし、肌の不調やいつもと違う異変を感じたときは、スキンケアの切り替えが不可欠です。

「更年期世代の多くの方が、アンチエイジング対策のスキンケアをご使用だと思いますが、ビタミンCやレチノールなどのエイジングケア成分は、高濃度になればなるほど、肌に刺激を与え症状が悪化してしまう場合も。肌がゆらいでいるときは、低刺激なスキンケアに切り替え、必要なものだけを与えるシンプルなお手入れを心がけることが大切です」(森下先生)

肌荒れなどのトラブルが現れた肌に、どのような成分が配合されたスキンケア製品を選ぶべきかについても教えていただきました。

敏感肌におすすめのスキンケア成分

  1. ヘパリン類似物質
    ヘパリンの「ヘパ」は肝臓を意味します。ヘパリンは肝臓で生成される物質で血液を固まりにくくする抗凝固作用があり、医療現場で血栓の防止などにも用いられています。そんなヘパリンと似た構造をもつのが「ヘパリン類似物質」。水に溶けやすい親水性と、水分子を引き寄せて保持する保水性があるため、高い保湿作用があります。血行促進作用、抗炎症作用も期待できるので、荒れた肌にも安心。
  2. グリセリン
    アルコールの一種でヒトの体内にも存在する成分。水に溶けやすく強い吸湿性があり、外部の水分を取り込んで肌に潤いを与える効果が期待できます。肌への刺激もほとんどないため、肌が敏感に傾いている際にも安心して使える保湿成分です。
  3. セラミド
    私たちの皮膚のバリア機能を担う角層。角層を形成する何層にも重なった細胞同士の隙間を満たす成分がセラミドです。肌に十分なセラミドがあれば、乾燥しにくくキメが整ったふっくらとした肌に。加齢や乾燥によってセラミドは減少してしまうので外から補ってあげることが健やかな肌づくりに必須。 肌がデリケートなときは、「天然セラミド」もしくは「ヒト型セラミド」が配合されたスキンケア製品を選ぶと、刺激を与えることなく健やかな肌を育むことができます。
  4. ナイアシンアミド
    ビタミンB3のこと。美白やシワ改善効果があるとして注目されています。エイジングケア成分は刺激を与えるとお伝えしましたが、ナイアシンアミドだけは例外です。肌荒れを抑え、角層のバリア機能をサポートする働きもあるのでデリケートな肌にも安心して使えます。
  5. グリチルリチン酸
    水溶性のグリチルリチン酸ジカリウムは、カンゾウ(甘草)と呼ばれる生薬に含まれる成分です。低刺激ながらすぐれた抗炎症作用や抗アレルギー作用があるほか、セラミドの働きをサポートする効果も。赤みやかゆみが出た肌におすすめです。

落としすぎ厳禁。洗顔の見直しも重要に

見落としがちですが、デリケートな肌のお手入れでもう一点気をつけたいのが洗顔です。

「すっきり落としたい気持ちはわかりますが、洗浄力の強い洗顔料や、アルカリ性の固形石鹸は肌に必要な潤いや皮脂まで落としすぎてしまいます。そうするとさらに乾燥が進み、肌のコンディションの悪化に繋がります。

洗顔料は弱酸性のものを選び、しっかりと泡立てて肌を擦らないように洗うこと。乾燥が気になる場合は、洗顔料の使用を夜だけにして朝はぬるま湯洗顔を。吹き出物ができてしまった場合は、朝晩2回洗顔料を使用して優しく丁寧に泡洗顔を」(森下先生)

併せて、食生活や睡眠などの生活環境の見直しも不可欠です。また、低刺激なお手入れに切り替えても改善が見込めない場合は、皮膚科医に相談を。


監修 森下未奈子先生
白金あおば皮フ科クリニック院長・日本皮膚科学会皮膚科専門医。大学病院勤務・都内皮膚科クリニックを経て、2023年に開業。ひとりひとりの肌に寄り添い、健やかな肌へ導く親身な診察が人気。「子供〜大人まで診察室では聞けない知識」をテーマに、肌に関する役立つ情報を発信するインスタグラム(@dr_minako.mn.dermatologist)も大人気。プライベートでは二児の母。


新田晃代
ナチュラルコスメから美容医療の分野まで幅広く精通。
紙媒体やウェブなど幅広いメディアで美容企画を担当するかたわら、コスメのブランディングやネーミングなどにも携わる。
幼少期より野草に慣れ親しみ、和ハーブライフアドバイザー、薬草料理マイスターの資格を取得。