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更年期世代の女性たちが多く抱えている、「ニオイ」への不安。
「昔に比べて自分の体臭が変わってきた気がする」
「加齢臭は防ぎたいけど、どうやって対策すればいいのかわからない」
など、女性ホルモンが低下していく更年期以降、自分のにおいが気になるようになったと感じる方が多いのではないでしょうか。
更年期になることが直接の原因ということではなく、更年期特有のホルモンバランスの乱れが間接的に作用し、気になるにおいを強めてしまう可能性があります。
年齢特有のにおいといえば加齢臭も気になるところ。
女性にも加齢臭はあるのか、またそのにおいの原因や対策方法を知っていきましょう。
女性の体臭の変化
若い頃は何もしなくてもにおいが気にならなかった…なんて思っている女性は多いと思います。実は女性は、ピーチのような香りや、ココナッツのような香りなど若い頃特有の甘い香りがすると言われています。
この「甘いにおい」は10代、20代に比べて30代以降で減少するため、プレ更年期世代や更年期世代は、年齢とともに自分のにおいの変化が気になってくるのです。
更年期世代のニオイの原因
更年期の症状に伴うにおい
更年期の主な症状は、
- ほてりやのぼせ、ホットフラッシュなどの「血管の拡張と放熱に関係する症状」
- 気分の落ち込み、イライラ、不眠などの「精神症状」
- 頭痛、肩こり、疲れやすいなどの「さまざまな身体症状」
大きくこの3つに分かれると思います。
この中でも特に「血管の拡張と放熱に関係する症状」と「精神症状」が更年期特有のにおいの原因になります。
「血管の拡張と放熱に関係する症状」は「汗臭」
更年期になると、自律神経の乱れによって「ホットフラッシュ」という、のぼせ・ほてり・発汗の症状が見られます。汗は臭いもの、というイメージがあるかもしれませんが、実はでたばかりの汗はほぼ無臭です。99%は水分でにおいの原因となる物質はほとんど含まれていません。しかし、汗が皮膚の表面でアカや皮脂などと混じり合い、これを皮膚常在菌が分解することでにおい物質が発生し、酸っぱいような不快なにおいが発生します。
また、汗が衣服で湿ると細菌が活発化し、不快なにおいを発することがある為、ホットフラッシュによって生じた汗で、不快な汗臭を感じることもあります。
「精神症状」は「疲労臭」
気分の落ち込みだったり、イライラや意欲の低下、不眠など、生活の乱れやストレスによる疲労でニオイが強くなる原因は2つ。
一つは肝機能低下によりアンモニアが解毒されにくくなるためで、もう一つは疲労物質として知られている乳酸が汗に出ると皮膚常在菌で分解されてジアセチルが生成されるためです。
精神的なストレスや肉体的な疲労がたまると、アンモニアが解毒されずに体内に蓄積し血液中のアンモニアが上昇します。そして、アンモニアガスが汗や呼気から放出されて、におってくるようになります。
このアンモニアガスは「疲労臭」と呼ばれています。
もう一つの原因物質の乳酸は汗から分泌され、皮膚の常在菌の代謝によって、ピルビン酸からアセトインになり、最終的にジアセチルに変化します。このジアセチルは皮脂腺から分泌される中鎖脂肪酸と混ざることで不快なニオイがします。
このニオイは30代後半ごろから発生しやすくなるので「ミドル脂臭」と呼ばれています。
加齢に伴うにおい
年齢を重ねることで気になり始める「ミドル脂臭」や「加齢臭」があります。特に加齢臭は男性に多いと思われがちですが、実は更年期世代の女性にも発生します。
ミドル脂臭
ミドル脂臭の原因は「ジアセチル」という成分で、これは汗に含まれる疲労物質の乳酸が、分解・代謝することで発生します。この「ジアセチル」という物質自体や、「中鎖脂肪酸」が混ざることで発生します。後頭部・頭頂部・うなじを中心に発生し、使い古した油のようなにおいが特徴です。30代・40代の男性に多く感じられるにおいですが、更年期の女性にも発生します。
加齢臭
加齢に伴い発生する中高年に多い特有の体臭として知られていますが、その正体は「ノネナール」という原因物質であることがわかっています。皮膚には皮脂を分泌する皮脂腺と汗を分泌する汗腺があります。においの原因「ノネナール」は、皮脂腺の中の脂肪酸類であるパルミトレイン酸が過酸化脂質や皮膚の常在菌によって分解されたり酸化されたりすることによって発生します。
パルミトレイン酸と過酸化脂質は、加齢によって増加するといわれており、さらに加齢により抗酸化力が衰えてくるので、結果としてノネナールが生じやすい状態が生まれます。
一般的に男性ホルモンの働きにより、男性の方が女性よりも皮脂量が多いとされており、加齢臭の原因が「皮脂」なら、女性は加齢臭をあまり気にしなくてもいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、女性ホルモンには皮脂の分泌や酸化を抑える作用がありますが、更年期を迎えるとホルモン量が減少し、その影響により、女性でも男性ホルモンの量が徐々に優位になり、皮脂量の増加や酸化が進んで加齢臭が生じることが多いといわれています。
更年期世代のためのにおい対策
更年期世代の気になるにおいは、生活習慣を改善することで予防をすることも可能です。
日常生活で取り入れやすいにおい対策を紹介します。
1.抗酸化作用を持つ食品を摂取する
活性酸素を抑える抗酸化作用を持つ食品を摂ることで、過酸化脂質の生成を防ぎ脂質の酸化を抑制し、加齢臭を軽減させることが期待できます。
- ビタミンA レバー・しそ・にんじん・卵・かぼちゃなど
- ビタミンC パプリカ・ブロッコリー・キウイ・セロリ・長芋など
- ビタミンE ごま・アーモンド・かぼちゃ・玉ねぎ・葛など
2.動物性脂質の摂取を控える
脂肪分は過酸化脂質を増やし加齢臭の原因になるため、動物性脂質の多い食品を過剰に摂りすぎないことが重要です。
牛肉・豚肉・バター・チーズや、大量に油を含む揚げ物も、加齢臭を悪化させる原因になります。
3.ストレスを減らす
ストレスや疲れを溜め込んでしまうと女性ホルモンのバランスを崩す原因となります。イライラや気分の落ち込みなどは更年期の症状でもみられるため、自分なりのストレス発散方法を見つけておくことも大切です。
また、においがすることをストレスに感じてしまい、悪循環が起きるケースも少なくありません。
においが気になったらケアをすれば良いので、あまり気にしないことも大切です。
4.こまめに汗をふく
ほてりやホットフラッシュなどの更年期症状は、自分でコントロールすることができませんが事前に備えてストレスなく過ごしましょう。
汗をかいたらこまめに汗拭きシートで拭き取る、服を着替えるなどの習慣を身につけることも大切です。
また、ホットフラッシュの症状を感じた時は、冷たいタオルで首元を冷やすと落ち着いてきます。
5.十分な睡眠をとる
睡眠中は過酸化脂質の生成を促す活性酸素を除去してくれます。
しかし、ただ沢山寝て睡眠のリズムが崩れてしまっては、自律神経の乱れから更年期症状を強く感じてしまうことも。
規則正しい生活を心がけ、良質な睡眠をとるようにしましょう。
6.乳酸の蓄積を抑える
ミドル脂臭の原因成分ジアセチルの元となる乳酸は、酸っぱい食べ物を食べることで減少させることができます。酸っぱい食べ物に含まれるクエン酸は、エネルギー代謝を活発にすることで乳酸を体内で分解して新陳代謝を促進する働きがあります。
また、ストレッチやウォーキングなどの軽い運動で血流をよくすることで、血液中の乳酸濃度を下げることができます。
気にしすぎないことも大切
においに対して、特に日本人は敏感に感じてしまうもの。
しかし、気にしすぎてしまっては、においだけでなく更年期の症状を悪化させてしまう原因にもなりかねません。気になるにおいは様々な対策が可能なので、過度に気にしすぎないことも大切です。
まだまだ働き盛りで人と接することも多い更年期世代。
日々の対策を心がけ、しっかりと予防して毎日を明るく過ごしましょう。