著者 : クラシエ編集部
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「MenotechLife(メノテックライフ)」は、クラシエ編集部が発信する更年期のためのサポート・メディアです。長年の研究やアンケート結果を基に、更年期の身近でリアルな情報を発信し、みなさまが自分らしく前向きに過ごすサポートができれば嬉しいです。

「最近、何をやっても痩せにくくなった気がする…」そんな風に感じることはありませんか?

これまでと同じように過ごしているのに体重が増えたり、お腹周りが気になるようになったりして、どう対処すればいいのか悩んでいる方もいるかもしれません。このような変化は更年期を迎えた女性にとって自然なことなのですが、見た目の変化から気持ちは落ち込んでしまいやすいもの。かといって無理な食事制限などの過剰なダイエットは、更年期症状をさらに感じやすくしたりと悪影響を与えてしまうことも。

また、体型の変化は見た目だけでなく健康面でも影響があり、様々な病気のリスクや身体への負担も気になるかと思います。
更年期世代の身体の変化や対策について、正しい知識を持ち、適切な方法で柔軟に対応していきましょう。

更年期に太りやすくなる理由

1.ホルモンバランスの変化

更年期に体重が増えやすくなる理由の一つはホルモンバランスの変化です。特にエストロゲンの減少は、更年期における体重増加の原因として知られています。

エストロゲンは、体内の脂質代謝を調整する働きがあり、特に脂肪がエネルギーに変換される過程において重要な役割を担っているのですが、更年期になるとエストロゲンの分泌が急激に減少するため、代謝が低下します。これにより、体がエネルギーを消費しにくくなり、以前と同じ食事量でも体重が増加しやすくなるのです。

また、エストロゲンの減少で、脂肪の運搬と連動するLDLコレステロールを抑制する作用が弱まり、太ももや臀部につきやすかった脂肪(皮下脂肪)が、お腹周りに蓄積されやすくなります(内臓脂肪)。そして内臓脂肪が増えるとメタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクが高まり、体型の変化だけでなく健康面にも問題が出てくるため、注意が必要です。

2.加齢に伴う筋肉量の変化

筋肉量は30代以降、加齢とともに少しずつ減少していきますが、更年期になると活動量や成長ホルモンの減少からそのペースが加速します。筋肉は基礎代謝として、安静時でも多くのエネルギーを消費しますが、筋肉量が減少することで基礎代謝量が減り、以前と同じような生活をしていても使われないカロリーが増えてしまい、脂肪として蓄積されるようになっていきます。

また、筋肉量が減ると筋力も低下し、動きに鈍さを感じるようになります。そのことから、運動や日常生活での活動の意欲が低下し、筋肉量の低下と活動量の低下の悪循環が生まれることで、体重増加や脂肪の蓄積を助長してしまうことになるのです。

3.ストレス・睡眠の質の低下

更年期におけるストレスや睡眠の質の低下も、ホルモンバランスや代謝に影響を与え、肥満を引き起こす原因となります。
ストレスを感じると食欲、睡眠欲などをコントロールする大脳辺縁系が興奮し、ドーパミンを分泌することで、食欲をコントロールする「摂食中枢」を刺激して、食欲を増進させます。また、ストレスを感じると分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」が、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を減少させ、セロトニンの満腹感を感じる働きが抑制されるため、食欲が増してしまうのです。
さらにコルチゾールには、身体の細胞を再生・修復する成長ホルモンの分泌を抑える作用もあり、筋肉の再生・修復の働きが抑制されて筋肉量が減り、代謝が低下して太りやすくなってしまいます。

一方、睡眠不足や質の低下は、食欲抑制を司るレプチンの分泌を減少させ、食欲増進を引き起こすグレリンの分泌を増加させます。これらのホルモンバランスの乱れにより、消費エネルギーの低下や食欲増進を引き起こします。さらに、睡眠中に分泌される成長ホルモンの減少により、脂肪燃焼がしにくくなり、脂肪の蓄積につながります
ストレスと睡眠の質の低下は互いに影響し合い、悪循環を生むことで肥満リスクをさらに高めてしまいます。このため、更年期にはストレス管理や質の良い睡眠を確保することが、肥満を予防し健康を維持するために重要なのです。

更年期に痩せる人もいる?

更年期は太りやすいとされていますが、中には痩せる人もいます。

運動習慣があり元々の筋肉量が多い場合や、栄養バランスを意識した食習慣が身についているなど、太りにくいという場合もありますが、前述した更年期特有のホルモンバランスの変化やストレス、睡眠の質の低下などで、自律神経の働きが乱れてしまい消化器官の働きが低下し、食欲不振を引き起こしてしまうタイプの方などです。

→食エネルギーなど自分の今の状態はどんなタイプでしょうか?

詳しくチェックしたい方は「バランス状態チェック」へ

太りやすくなるタイプの方からみると羨ましく思えたりするかもしれませんが、更年期に起こるエストロゲンの分泌の減少で、骨密度にも影響がでやすくなります。特に、痩せている人は骨粗鬆症に注意が必要です
エストロゲンには骨の新陳代謝に際して、骨吸収を緩やかにして骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあるのですが、更年期になりエストロゲンの分泌が低下することで、急激に骨密度が減ってしまいます。その時期に体重が減少すると、骨への負荷が足りなくなることで、骨粗しょう症などのリスクを高めることもあるのです。
また、ダイエットをしていないのに半年に体重の5%を超える体重減少は、別の病気の可能性もあるため、医師に相談して一度検査をすることも大切です。

健康的な体型維持のための対策

1.自分の体質を理解する

定期的な健康診断で、エストロゲンやプロゲステロンの値や、骨密度などをチェックすることも大切です。また、毎日の体重・体脂肪率から、食事、運動、睡眠、ストレスの状況や、体調(ほてり、疲労感、食欲、気分の浮き沈みなど)を記録する、体調管理ノートをつけてみるのも良いでしょう。自分の体調や更年期症状のパターンなどを把握しやすくなります。

2.運動習慣を取り入れる

運動には、有酸素運動無酸素運動の2種類があります。
ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動はカロリー消費や脂肪の燃焼に効果的です。
筋トレに代表される無酸素運動は、筋肉を鍛えることで基礎代謝量を上げることができ、運動をしていない時の脂肪の燃焼を高めてくれます。
筋肉量や筋力が落ちていく更年期以降は両方行うのがおすすめです。

痩せたい!という気持ちがあると、一気にあれもこれもと始めてしまう方もいるかと思いますが、まずは継続することが大切です。続けるのに無理のないところから始めましょう。
また、運動習慣のない方が急に始めるとなかなか習慣化しづらいこともあるので、まずは軽めの散歩だったり、ヨガやストレッチなど、体を動かすことから始めて、徐々に強度を上げていくことがおすすめです。

3.健康的な食習慣を身につける

急に無理な食事制限をすると身体に負担がかかるため、できる範囲で少しずつ改善していくことが大切です。
1日3食、主食副菜主菜をバランスよく食べ、脂質や糖質の摂りすぎや、間食の食べ過ぎに気をつけましょう。

また、食べる順番も大切で、血糖値の急上昇を防ぐことで、炭水化物や脂肪の吸収を抑制してくれるので、副菜から食べ始めるようにしましょう。さらにゆっくりよく噛んで食べることで満腹感を得やすくなります。
それでも食事の間や夜遅くに空腹を感じてしまう時は、カロリーの高くないヘルシーなスープや、ノンカフェインのお茶(ハーブティー)などの温かい水分をとるようにしましょう。

4.ストレスの管理・心のケア

体質の理解のための体調管理ノートに、その日の自分の気持ちや出来事などを書き出して、感情を整理するなども効果的です。自分の体質とともに、感情の変化にも向き合い理解する事で、ストレス状態を把握できます。
本を読む、好きな音楽を聴く、アロマテラピーなど、自分のリラックスできる方法を見つけることも大切です。
また、適度な運動習慣はストレス解消にもつながるため、おすすめです。

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更年期におけるダイエットは、単に体重を減らすことだけが目的ではありません。健康的なライフスタイルを築き、心身のバランスを整える絶好のチャンスです。この時期にしっかり自分の体と向き合い、適切なケアを行うことは、これからの人生をより豊かにするための大切なステップです。

大切なのは今の自分の体と心をしっかり理解し、無理のない方法でケアしていくことです。これまでの自分に対して「頑張れなかった」と思うのではなく、一歩ずつ自分のペースで進めて、無理なく自分らしい理想の体と健康を目指しましょう。

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