雨の日が続いてなんだかどんよりしがちな梅雨の時期。頭痛やめまいがしたり、気分が落ち込んでしまったり、身体的にも精神的にも不調を感じやすい季節です。

そこで今回は、梅雨に起こりやすい体調不良の中で、特に更年期の女性が感じやすい「冷えとむくみ」をピックアップ。梅雨時に起こる冷えとむくみのメカニズムや、対策方法を紹介します。

なぜ起こる?梅雨時の冷えとむくみ

だんだんと気温が上がり、夏を目前に控えた梅雨の時期。汗ばむ日も多くなっているのに、なぜか「冷え」や「むくみ」が気になることはありませんか?その冷えとむくみの原因は、梅雨特有の気象条件が引き起こす「水分代謝の低下」かもしれません。

体にとって大切な水分が悪者に!?

 健康や美容のためにはたくさん水を飲んだ方がいいとよく耳にします。実際に、人間の体は約60~70%が水分で構成されていて、栄養素の輸送、代謝物の排出、体温調節など、水分は生命維持に欠かせない役割を担う重要な存在。これからの暑い季節は、発汗によってたくさんの水分が失われてしまうため、意識的な水分補給が大切です。

しかし、せっかく摂った水分がスムーズに巡らず体内に滞ってしまうと、体調不良を引き起こす原因となってしまうことも。特に、梅雨時の天気や気圧は、体内の水分代謝を低下させる要因がいくつかあり、冷えやむくみをもたらす原因となってしまいます。

梅雨は水分代謝が低下するシーズン

梅雨の時期に体内に水分が溜まりやすい要因は、主に下の4つが挙げられます。

  1. 高い湿度
    梅雨と聞いて思い浮かぶのが、肌にまとわりつくようなジメジメとした空気。空気中の湿度が高く、空気中の水分が増えると、体内の水分が汗となって皮膚から蒸発しにくくなってしまいます。その結果、水分がうまく排出されず体内に溜まってしまいます。
  2. 低い気圧
    梅雨時期は気圧の低い状態が長期間続く傾向があります。気圧が低いと、血管や細胞が拡張するため血液の流れが悪くなり、体内の水分が組織に溜まりやすくなります。
  3. 晴れの日と雨の日の寒暖差
    6月の晴れた日中は気温が上昇して汗ばむほどですが、雨が降ると気温が下がり「梅雨冷え」を感じることも。晴れた日と雨の日で気温差が大きくなると、体がその変化に対応できず、自律神経が乱れてしまいます。その結果、血行不良が起こり、水分の巡りが悪くなってしまいます。
  4. 運動不足
    雨が続くと、お出かけするのが億劫になることはありませんか?また、いつもだったら歩きや自転車で行っていた場所にも車を使ってしまったり、日課となっていたウォーキングや運動をお休みしたり、体を動かす機会がぐんと減ってしまいがち。運動不足になると血液やリンパの流れが悪くなり、細胞や組織内に水分が滞りやすくなってしまいます。
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水分代謝が低下すると、何が起こる?

梅雨の気象条件によって起こる水分代謝の低下は様々な不調を引き起こしますが、中でも女性を悩ませるのが冷えとむくみです。

冷えとむくみの、悪循環な関係

水分代謝の低下によって生じる冷えとむくみは、実は切っても切れない関係。冷えとむくみは、互いに連鎖し合いながら発生し、負のループを描き続けてしまうのです。それでは、水分代謝の低下がどのようにして冷えとむくみにつながり、その後関係し続けるのか、見てみましょう。

STEP1 水分代謝が低下し排出されずに溜まった水分が体を冷やす

STEP2 体が冷えると筋肉が硬くなり、血行不良が起こりさらに水分代謝が低下。体内に水分が溜まり、むくみが発生。

STEP3 むくみにより血管やリンパ管が圧迫されて、さらに血流が悪くなり、冷えが悪化。

このように、体内の水の巡りが悪くなることで身体は冷え、冷えがむくみを生み、むくみがさらなる冷えを生み出す、という悪循環を繰り返してしまうのです。

更年期の女性は特に注意!

梅雨時は「更年期」と「水分代謝の低下」のダブルパンチ

更年期の女性は、女性ホルモンの分泌が急激に減少し自律神経が不安定になっています。そのため、季節を問わず冷えやむくみに悩まされがち。そのような身体の状態で、さらに梅雨時の水分代謝の低下が加わることで、冷えとむくみは、より一層更年期の女性の体を悩ませることになります。

水の巡りの悪さは、冷え・むくみ以外の更年期症状にも影響

更年期症状は、冷えやむくみ以外にも、ほてりや手足のしびれが生じやすかったり、憂鬱な気分になりやすかったりと多岐にわたります。出る症状や強さはその人の身体のバランス状態によりますが、水の巡りがよくないバランス状態の人は、そうでない人と比べて、更年期症状がより出やすいことがクラシエが実施した生活者アンケートによりわかっています。特に顕著なのが、めまいや頭痛。その他にも、胸の動悸や関節痛、肩こり、寝覚めの悪さなど、複数の更年期症状が出やすいのが、体内の水の巡りが悪く水分バランスが過剰な人なのです。

身体のバランス状態は常に一定ではなく、季節や環境によって都度変化するものです。普段は水の巡りがよい人でも、梅雨時は気候や気圧によって水分代謝が低下し水分バランスが過剰に偏ってしまうこともありますので、更年期の女性はより一層体内の水の巡りに注意を払う必要があるのです。

水の巡りをよくするために

目には見えない身体の中の水分バランス。梅雨に冷えやむくみを感じたら、水の巡りをよくすることを意識して日常生活を過ごすように心がけましょう。水分代謝を高めるポイントは主に3つ。天気の悪い日でも手軽にできる対策方法がありますので、気軽な気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。

ポイント① 体を冷やさない

体が冷えると血行不良になり、水分代謝が低下してしまいます。日頃から体を温め、水分をスムーズに巡らすことを意識して過ごしましょう。

  • 温かいものを摂る
    ジメジメと蒸した日は、冷たい食べ物やドリンクでさっぱりしたくなりがち。しかし、冷たいものを体内に取り込むと血流が悪化し、体内の水の巡りも悪くなってしまいます。食事に温かいスープを添えたり、日頃の飲み物は常温やホットドリンクを用意し、日常的に体を温めるように心がけましょう。
    ただし、水分の摂り過ぎは御法度です。余分な水分は体内に溜まって体を冷やす原因となってしまいますので、一度に沢山摂るのではなく、こまめに少しずつ体の様子を見ながら摂取するようにしてください。
  • エアコンの除湿モードを活用する
    梅雨の時期は、肌寒いけれど湿度が高くてベタつきが気になる、という日が多くなります。そういう時は、エアコンの除湿モードをオン。除湿モードは冷房とは異なり、室温は下げずに室内の余分な水分を取り除いて部屋の湿度を下げてくれます。湿度が下がれば湿気によるジメジメした不快感が薄まり過ごしやすくなるはず。体を冷やさずに快適な室内環境を整えられます。
  • 羽織や上着でかしこく体温調節
    晴れた日と雨の日の気温差が激しく、服装選びが悩ましい梅雨の季節。電車や建物の中はクーラーが稼働し始め、雨で濡れた体が冷えてしまうことも。お出かけする際は、薄手の羽織やストールなどを持って、寒いと感じた時にすぐに体温調整ができる準備をしておくと安心です。

ポイント② こまめに体を動かす

運動不足は血液やリンパの流れを悪くさせ、細胞や組織内に水分を滞らせてしまう原因に。負担にならない範囲で体を動かすようにしましょう。血行促進のためには、特に有酸素運動下半身の筋肉を動かすことが効果的です。

  • お気に入りのレイングッズでウォーキング
    雨の日はできるだけ外出を避けたくなってしまうものですが、家にこもりっぱなしでは水の巡りは滞るばかり。家で読むための本を探しに図書館や書店に足を伸ばしたり、おうちで味わうスイーツを買いに行ったり、おこもりタイムを楽しむためにウォーキングしてみてはいかがでしょうか。
    おすすめなのは、お気に入りのレイングッズを揃えておくこと。明るい色味や柄の雨傘や、おしゃれと防水機能を備えたレインブーツ、好みのデザインのポンチョやレインウェアがあれば、お出かけが楽しくなることまちがいなし。ご機嫌な気分で運動不足を解消しましょう。
  • 家の中で手軽にエクササイズ
    家事や仕事の合間でもできるエクササイズを覚えておくと、ちょっとしたすきま時間も運動タイムに変身。梅雨時の運動不足解消の手助けとなります。特におすすめのエクササイズはスクワット。下半身の筋肉を使うトレーニングで、ゆっくりと時間をかけて行うスロースクワットなら有酸素運動の効果が期待できて一挙両得です。
    【スロースクワットのやり方】
    ① 足を肩幅に広げ、つま先は真っすぐ前に向ける
    ② 背筋をしっかり伸ばす
    ③ お尻を軽く後ろに引いた状態で姿勢を崩さないようゆっくり腰を下ろす
    ④ 床と太ももが平行になるまで4〜5秒かけてゆっくりと腰を下ろす
    ⑤ 4〜5秒かけてゆっくりと元の体勢に戻す
    ⑥ ここまでの動作を10回繰り返す(慣れてきたらこれを3セット)
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ポイント③ 水の巡りをよくする食べ物を摂る

水分代謝をアップさせる食材選びのポイントは、主に下の3つになります。

  1. カリウムを多く含む
    バナナアボガドほうれん草など。カリウムは、塩分の排出をサポートしてくれる栄養素。塩分をたくさん摂取すると、体は体内の塩分濃度を薄めようと水分を溜め込んでしまいます。カリウムを摂ることで塩分の排出が促され、水分バランスを整えてくれます。
    (ただし、一部疾患によりカリウムの摂取が制限される場合もありますので、その場合は担当医の指示に従ってください)
  2. 利尿作用がある
    きゅうりとうもろこしレモンなど。体に溜まっている水分を排出してくれる食材は、水分代謝の低下によって起こる冷えやむくみの改善に期待大。ただし、きゅうりは体を冷やす性質もある食材のため、食べる時はねぎやしょうがなど体を温める食材と一緒に食べると体の冷えを抑えつつ、利尿作用が期待できます。
    また、手軽な方法として、ハトムギの入ったお茶を飲むこともおすすめです。ハトムギは体に溜まった余分な水分や老廃物を排出する働きがあり、利尿作用も◎温かいお茶として飲めば、体も温まって一石二鳥です。
  3. 血行を促進する
    しょうが玉ねぎかぼちゃなど。血行がよくなると、体が温まり水の巡りもスムーズに。冷えとむくみの負の連鎖を断ち切るのに役立つありがたい食材です。血液の流れがよくなれば、冷えやむくみ以外の更年期症状もやわらぐ可能性があるので、更年期女性には季節を問わず積極的に摂取したい食材です。

水分を溜め込まないで、梅雨を快適に

更年期の女性にとって、梅雨時は冷えやむくみが出やすい要注意な季節。冷えとむくみが生じる原因は、梅雨の気象条件によって体の水分代謝が低下しているため、体内に水分を溜め込まない生活が大切です。原因がわかれば、やみくもに悩む必要はありません。体の水分バランスが整う食事や運動習慣を身につけて、梅雨を明るく乗り越えましょう!

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