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更年期に見られる症状の代表格が、「ほてり・のぼせ」です。更年期のほてり・のぼせの主な症状や特徴、原因、対策について、一緒に確認していきましょう。
また、本記事で紹介するメノテックライフ独自の「バランス状態チェック」では、同じほてりやのぼせでも、バランスタイプごとに異なる原因を知ることができます。今の自分のバランス状態がどのタイプに当てはまるのかをチェックし、自分に合った対策を見つけましょう。
更年期の「ほてり・のぼせ」主な症状
更年期の「ほてり・のぼせ」の主な症状について、解説します。
顔や上半身が急にほてる・のぼせる
更年期の「ほてり・のぼせ」として多くの方が感じる症状は、顔や上半身にかけて急に熱感がカーッと広がるというものです。 熱感自体は、2分〜4分間程度で治まることがほとんどです。
ほてりやのぼせが起こる頻度は個人や状況で異なりますが、多くて1時間に1回~2回、少なければ1日〜2日に数回程度のこともあります。
汗がひどく出る・多汗
運動したわけではないのに汗がひどく出る、涼しい場所で仕事をしているのに汗の量が異常に多いというのも、更年期の「ほてり・のぼせ」に伴う代表的な症状のひとつです。
発汗量は、汗ばむ程度で収まる、就寝時の多汗で目が覚める、顔から汗がしたたり落ちるなど、個人や状況で異なります。発汗する場所は、頭や首の後ろといった上半身に多いのが特徴です。
ドキドキ・動悸がする・息切れする
更年期の「ほてり・のぼせ」は、以下のような動悸や息切れを伴うことが少なくありません(※)。激しい運動や極度に緊張する場面でないのに動悸がする、胸がしめつけられて息苦しい、胸がどきどきして眠れない、軽い運動でも息切れするといった症状が発現します。
※ほかの病気によって発現することがあります。症状が続く、重いといった場合は、早めに病院を受診しましょう。
カッとなる・イライラする
更年期には体調の変化だけでなく、イライラなどの精神的な不調が起こることが多くあります。
人のちょっとした言動にカーッと熱くなってイライラする、怒りを抑えきれずつい怒ってしまうなど、感情のコントロールが難しくなるケースは、更年期の多くの女性が経験します。
のぼせやイライラで眠れない・眠りが浅い
更年期の不眠はあまり知られていませんが、実際にはとても多くの女性が苦しんでいる代表的な症状のひとつです。
寝つきが悪い、睡眠の質が落ちて眠りが浅い、途中で目が覚める(中途覚醒)といった不眠の症状が出やすくなります。夜間の急なほてりやイライラで熱くなり寝つけないこともあります。
ほてりの後に寒気がする
更年期の症状として「寒気」を訴える女性も多いです。更年期のほてりや動悸の後に、背筋がゾクゾクするような寒気を感じるケースがあります。
上半身は熱くて汗をかくのに、下半身は冷えやすく寒さを感じるという、いわゆる「冷えのぼせ」も更年期に多い症状です。
【タイプ別】更年期の「ほてり・のぼせ」の特徴と対策
メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。
3軸のバランス状態を組み合わせた8タイプの中から、今の自分の状態を判定できます。
【判定】あなたの「バランスタイプ」は?
心身のバランスが乱れる原因が分かれば、バランスを整えるための方法を知ることができます。あなたのバランス状態をチェックしてみませんか?
更年期の「ほてり」と「イライラ」を同時に感じる「実」タイプの特徴と対策
まずは更年期の「ほてり」と「イライラ」を同時に感じる傾向がある「実」のタイプから解説します。
実タイプ
- 食エネルギーが過剰
- 緊張やストレスが多い環境
<特徴>
□ イライラしやすい・緊張する場面が多い
□ つい食べ過ぎてしまう・おやつや間食をしがち
□ お腹が張ったり、便秘になりやすい
実タイプは、緊張やストレスを感じやすく、交感神経が極度に緊張したりたかぶりやすい状態にあります。間食やファストフードなどを好み、栄養過多な状態から不要なエネルギーが体内に滞りやすい傾向です。
イライラやほてりを感じやすいため、イライラとほてりが同時に発現することがあります。
のぼせやイライラし始めたら、手の親指の付け根あたりにある「合谷(ごうこく)」というツボを指圧しましょう。自律神経を整える効果が期待できます。
女性の「ほてり」に多い「湿」タイプの特徴と対策
次に、女性の「ほてり」に多い「湿」のタイプです。
湿タイプ
- 水の巡りがよくない
- 水分バランスが過剰
<特徴>
□ めまいや耳鳴りを感じやすい
□ 雨や台風の時に頭痛を感じやすい
□ 手足や顔などがむくみやすい
水の巡りが悪く滞りやすいため、むくみや疲労などが生じやすくなっています。湿の原因としては、これまでの食生活などさまざまな要因が考えられます。
湿は寒や熱と組み合わさることによって、さまざまな特徴が出やすくなります。水の巡りをよくするためには、ミネラル類を取ることが大切なので、利尿作用のあるハーブティー(ビワの葉、ローズヒップなど)で改善していきましょう。また、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンEの摂取もおすすめです。
女性の「イライラ」に多い「熱」タイプの特徴と対策
女性の「イライラ」に多い「熱」のタイプも見てみましょう。
熱タイプ
- 暑がり
- 冬でも冷たいものが好き
<特徴>
□ ほてり・イライラを感じやすい
□ 暑がり・汗をかきやすい
□ のどがかわきやすい
熱タイプは著しいほてりや寝汗、赤ら顔、のぼせなど、自律神経の中でも活動的な働きを持つ交感神経が緊張しやすい傾向です。カラダの中に熱がこもりやすい状態なので、熱を放出することを意識しましょう。
食材では、カラダを冷やす作用があるトマト、ひじきなどがおすすめです。
更年期の「ほてり」はなぜ起こる?いつまで?
更年期の「ほてり・のぼせ」の原因はなにか、いつまで続くのかという時期の目安について解説します。
更年期の原因は女性ホルモン減少による自律神経の乱れ
更年期の「ほてり・のぼせ」は、女性ホルモンの分泌量の減少によって、自律神経が乱れてしまうことで起こります。
●女性ホルモンの分泌と更年期の自律神経の乱れ・不調の関係●
脳の視床下部が排卵の準備をするように指令し、下垂体から「卵巣を刺激するホルモン(卵胞刺激ホルモン・FSH/黄体形成ホルモン・LH)」が分泌される
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卵巣から女性ホルモンが分泌される
●排卵前:排卵準備のための女性ホルモン「エストロゲン」が分泌
●排卵後:妊娠準備のための女性ホルモン「プロゲステロン」が分泌
↓
妊娠に至らなければ生理がくる
30代後半から卵巣機能の衰えで女性ホルモンの分泌量が低下。脳の指令通りに分泌されないことに脳が混乱し、自律神経が乱れる
↓
生理とは関係ないタイミングで、更年期のさまざまな不調が発現する
更年期にほてりやのぼせが起こる原因
自律神経とは、名前の通り「私たちの意思とは関係なく自律的に働く神経」です。血圧、血流、心拍、呼吸、体温、発汗などの生命活動を維持するための重要な機能をコントロールしているのです。
自律神経には、活発的に活動しているときに優位になる交感神経と、カラダを休めているときに優位になる副交感神経があり、両者のバランスが取れていることで私たちの心身は健康な状態に保たれています。
急なほてりやのぼせ、動悸、多汗といった更年期の症状は、主に交感神経が優位になり過ぎることで自律神経のバランスが崩れ、体温調節や血流の調整がうまくできずに現れると考えられています。
更年期のほてりはいつまで続く?
ほてりやのぼせのピークは一般的に閉経前後の数年間といわれています。閉経後1年ほどすると徐々に症状が軽減される傾向です。
ほてりやのぼせの症状が日常生活に支障をきたすほど強い、動悸や息切れがひどい、閉経後も症状が軽減しないといった場合などは、ほかの病気の可能性もあるので、婦人科など医療機関に相談することをおすすめします。
すぐできる|更年期の「ほてり」におすすめの対策
つらい更年期の「ほてり・のぼせ」の症状を軽減させるための対策を3つ紹介します。
脱ぎ着しやすい服装を意識
基本的には、一枚着よりも重ね着のほうが体温を調整しやすいため、前開きのカーディガンやストールなど着脱しやすい服装を意識しましょう。夏場のトップスは袖口がひろいデザインだと通気性がよく汗をかきにくいのでおすすめです。
汗が目立ちにくい洋服の色は、黒、ネイビー、白。反対に汗が目立つ色は、グレー、ピンク、ベージュなどです。汗が目立つ色はボトムスや小物で使うように工夫するとよいでしょう。
大量の発汗が気になる場合は、吸水性・速乾性、防臭加工のある肌着を選んだり、バッグや会社のロッカーに着替え用のシャツを用意しておくと安心です。
ペットボトルで血管を冷やす
ほてりやのぼせを感じたら、太い血管がカラダの表面近くを通っている「首筋」「脇の下」「太ももの付け根」、外出先でも冷やしやすく血管にも近い「手首」などを、冷たいペットボトルや濡れたタオルなどで冷やしましょう。
血管を冷やすことで、カラダの中をクールダウンさせる効果が期待できます。
汗はそのまま!扇子でクールダウン
扇子やハンディファン(手持ち扇風機)などを使って、風で熱を逃がす方法も有効です。
より効果的なのは、汗を完全に拭きとらない状態、または濡れたタオルや冷感タイプの汗拭きシートで拭いた後に、風をあてること。
汗などの水分が蒸発する気化熱を使って、体温をより効率的に下げることにつながります。
食べ物・栄養|更年期の「ほてり」におすすめの対策
更年期の「ほてり」におすすめの食べ物などについて紹介します。栄養素は単体よりも、お互いに作用し合うことで大きな効果を発揮するため、できるだけバランスのよい食事を心がけましょう。主食と副菜と主菜のバランスは、3:2:1が理想です。
更年期のほてりにおすすめの食べ物・栄養|ビタミンD
ビタミンDは、更年期で交感神経が優位になり過ぎて起こる、ほてり、イライラ、過食を抑える効果が期待できます。
【おすすめ食材】
- 白キクラゲ
一般的に食べられる黒キクラゲにも十分に含まれていますが、白キクラゲにはその7倍ものビタミンDが含まれています。 - 干しシイタケ
- しらす干し
- 鮭・ブリ など
更年期のほてりにおすすめの食べ物・栄養|大豆イソフラボン
大豆の胚芽部分に多く含まれる大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをします。1日の摂取量は多ければよいわけではなく、納豆なら1パック、豆腐なら大きめのパックの1/3〜1/2くらいが目安です。
【おすすめ食材】
- 納豆
- 豆乳
- おから
- 豆腐
- 厚揚げ など
更年期のほてりにおすすめの食べ物・栄養|カルシウム
エストロゲンには骨量を増加・維持する働きがあります。エストロゲンが減少する更年期以降は、急激に骨量が減って骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすくなるのはそのためです。意識的にカルシウムを含んだ食品も取り入れましょう。
【おすすめ食材】
- 牛乳やチーズなどの乳製品
- 魚介類 など
更年期のほてりにおすすめの食べ物・栄養|ビタミンE
ビタミンEには、ホルモンバランスの調整や血流の流れをよくする作用、自律神経を整える作用、神経伝達物質の働きを促す作用などがあります。
【おすすめ食材】
- アーモンド
- かぼちゃ
- ブロッコリー
- モロヘイヤ
- アボカド など
ハーブティーやアロマでリラックス
自律神経やホルモンバランスを整える作用のあるハーブもおすすめです。また、食べ物ではないですが、更年期にはアロマも効果があるといわれています。
休憩時間にハーブティーを飲みながらアロマを焚くなどして、リラックスした時間を過ごしましょう。香りや味には好みがあるため、自分の好みのものを活用するのもおすすめです。
【おすすめのハーブ】
- セージ・ゼラニウム
- チェストツリー
- レモンバーベナ
- レモンバーム など
【おすすめのアロマ】
- ローズ
- ゼラニウム
- ローズマリー
- クラリセージ など
※ハーブティーには妊娠・病中に禁止されている種類や利尿作用が強く就寝前に向かない種類もあります。飲む前に成分表や注意書きを確認しましょう。
自分に合った対策で更年期のほてり・のぼせをケアしよう
更年期の「ほてり・のぼせ」は、急な熱感によるほてり、ほてりによる発汗など見た目にも目立つことがあるため精神的にもつらい症状です。
更年期によるほてりやのぼせの改善には、乱れた自律神経を整えバランス状態をよくしていくことが非常に重要です。
あまりに症状がつらいときは我慢しすぎないことが肝心。誰かと話す、婦人科に行って相談するなどして、ココロが少し軽くなるだけでも、症状が緩和するケースもあります。更年期を上手に受け入れ、うまく付き合っていきましょう。