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日本人女性が閉経を迎える平均年齢は50歳前後といわれていますが、閉経するまでの生理にはどのような変化が起こるのでしょうか?
実は一般的な更年期といわれる40代後半よりも前から、生理周期の変化や経血量に変化が現れはじめるため、30代後半ごろから不安に感じている女性が多くいます。
本記事では、プレ更年期(30代後半から40代前半)から閉経にかけての生理の変化と、更年期の症状や生理痛を和らげるセルフケアの方法について解説します。
また、本記事で紹介するクラシエメノテックライフ独自の「バランス状態チェック」では、同じ「生理の変化や不調」でも、バランスタイプごとに異なる原因を知ることができます。今の自分のバランス状態がどのタイプに当てはまるのかをチェックし、自分に合った対策を見つけましょう。
更年期前になると生理はどう変わる?
更年期は45歳前後からはじまるのが一般的ですが、実は、プレ更年期と呼ばれる30代後半から女性ホルモンが少しずつ減少するといったカラダの変化がはじまり、生理にも変化が起こります。
代表的な例は以下の通りです。
- 頻発月経
次の生理までの期間が24日以内など(※)、生理周期が短くなる - 生理期間の変化
通常7日前後の生理期間が4日など短くなる、反対に少ない経血で10日ほど続く - 経血量の減少
生理1日目~3日目の経血量が以前と比べて減る など
上記のような不安定な期間が続いた後、生理が来るタイミングが2カ月〜3カ月に1回など徐々に間隔があくようになり、やがて「閉経」を迎えます。
生理の変化には個人差があるため、すべてが当てはまるわけではありませんが、生理がどのように変化していくのかを知っておくことで、いざ変化が始まったときに戸惑うことが少なくなります。
この後に、プレ更年期〜更年期前半〜閉経前という生理の変化の流れとともに、それぞれの時期の特徴について詳しく解説します。
※生理周期には個人差がありますが、一般的な生理周期は25日〜38日前後といわれています。
更年期と生理の変化
個人差はあるものの、生理の変化は時期によっていくつかの特徴があると考えられています。「プレ更年期」「更年期前半」「閉経前」ごとの生理の変化について解説します(※)。
※ここでは一般的な生理の変化や特徴などを紹介しますが、個人差があります。夜用ナプキンを日中に何度も取り替える、貧血の症状がある、出血量が少量でも長く続く、不正出血があるなど、今までと異なる・気になることがある場合は、必ず、婦人科を受診しましょう。
プレ更年期の生理の特徴
プレ更年期と呼ばれる30代後半から40代前半は生理不順になったり、更年期のような症状を感じはじめたりする人が少しずつ増えていく時期です。
生理周期では、25日より短い周期で生理が来る「頻発月経」、20代と比べて「経血量の減少」といった症状を訴える方が多いです。
生理期間は5日間前後と短くなる傾向ですが、その後も少量の出血がダラダラと長く続くようなケースや、期間が短くなっても一度の出血量が増加して貧血状態になる方もいます。
【プレ更年期の生理の傾向】
- 生理周期が25日より短くなることが多い
- 出血量が少なくなる傾向
- 生理期間が5日程度と短くなっていく
更年期前半の生理の特徴
更年期の入口とされる40代後半では、多くの女性で生理不順が起こります。
次の生理まで1カ月〜1カ月以上あくなど生理周期が乱れたり、生理期間や経血量が不安定になったりすることもあります。一般的に、経血量は少なくなり、生理期間も4日間程度と短めになる傾向です。
【更年期前半の生理の傾向】
- 生理周期が乱れはじめる
- 生理期間や出血量が不安定になりがち
- 経血量が少なくなる傾向
- 生理期間が4日程度と短くなることが多い
閉経前の生理の特徴
多くの女性に見られる生理変化として、頻発月経が続いた後、生理周期が乱れて生理の間隔が長くなってきたら、閉経が近いといえます。
閉経とは、卵巣の機能が次第に失われ、生理が永久に停止することです。生理が12カ月以上来ない状態が続いたときに、1年前を振り返って閉経と認識します。
生理までの間隔が2カ月、3カ月、半年と徐々にあきはじめ、気づいたら生理が1年間来ていなかったことが分かり、「閉経」に気づくケースも多いようです。閉経の時期には個人差があり、40代で閉経する方もいれば、50代半ばまで生理がある方もいます。
閉経が近いか、すでに閉経しているかについては、婦人科で受けられる血液検査などで判断することも可能です。
【閉経前の生理の傾向】
- 頻発月経のあとに生理周期が乱れて、間隔が徐々に長くなる傾向
- 自然の状態で生理が1年間来ない場合を閉経とみなすのが一般的
- 婦人科などの血液検査で、今の自分の状態を診察することも可能
更年期の生理・体や心に起こる不調とPMS(月経前症候群)との違い
生理の前のイライラや下腹部痛、頭痛が起こるPMS(月経前症候群:premenstrual syndrome)も、女性ホルモンの変動によって起こりますが、更年期に起こる不調とは起こる原因やタイミングが異なります。更年期に起こる不調とPMSの違いについて、整理していきましょう。
PMS(月経前症候群)の特徴
PMSとは、生理が始まる1週間〜10日ほど前から始まるカラダやココロに起こるさまざまな不調を指します。生理開始とともに軽快・消失するのが特徴です。
PMSの原因ははっきりと解明されていませんが、排卵後から月経直前までの期間(黄体期)に多く分泌される女性ホルモンの「プロゲステロン」との関係が深いといわれています。
プロゲステロンは妊娠準備を促すホルモン。体内に水分や栄養を溜めてエネルギーを蓄える方向に働きかけるため、むくみ、過食、眠気などが起こりやすくなると考えられるのです。
更年期の生理と更年期に起こる不調の特徴
更年期に起こるカラダやココロの不調は、PMSのように生理前のときだけに現れるのではなく、不快な症状が毎日続くなど、生理周期に関係なく起こるのが特徴です。
原因は、女性ホルモンの分泌量の変化と脳との関係にあります。
更年期になり女性ホルモンの分泌量が大きく減ることで、女性ホルモンの分泌を司っている脳の視床下部がパニックを起こします。視床下部は、血圧や血流、心拍、発汗、体温などの調節を担当する自律神経をコントロールしている部分。
その自律神経も乱れることで、ホットフラッシュや発汗などカラダやココロの不調が起こると考えられているのです。
生理前〜生理ではないのに、イライラが止まらない、倦怠感が抜けないといった不調が続く場合は、更年期の可能性があります。
●女性ホルモン分泌と更年期の自律神経の乱れ・不調との関係●
脳の視床下部が排卵の準備をするように指令し、下垂体から「卵巣を刺激するホルモン(卵胞刺激ホルモン・FSH/黄体形成ホルモン・LH)」が分泌される
↓
卵巣から女性ホルモンが分泌される
・排卵前:排卵準備のための女性ホルモン「エストロゲン」が分泌
・排卵後:妊娠準備のための女性ホルモン「プロゲステロン」が分泌
↓
妊娠に至らなければ生理がくる
30代後半から卵巣機能の衰えで女性ホルモンの分泌量が低下。脳の指令通りに卵巣から女性ホルモンが分泌されないことに脳が混乱し、自律神経が乱れる
↓
生理とは関係ないタイミングで、更年期のさまざまな不調が発現する
ストレスやダイエットの影響
過度なストレスは女性ホルモンの分泌を抑制することがあるため、きつい仕事やダイエットといったココロやカラダへの過度なストレス状態が続くと、生理不順が起こり、数カ月にわたり生理が止まってしまうこともあります。
更年期による生理不順だけでなく、ストレスやダイエットが生理周期に影響することも認識しておきましょう。
隠れている病気にも注意
更年期による生理の変化には、病気が隠れている可能性もあります。
不正出血や下腹部に激しい痛みがある場合は、子宮の病気(子宮筋腫・子宮頚管ポリープ・子宮頸がん・子宮体がんなど)が疑われます。また、生理周期が乱れたり、生理がこなかったりする場合、甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症)の可能性も考えられます。
生理の症状や痛みには個人差があるため、「いつもの生理とは少し違う」「ここ最近、症状が悪化している」などと感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。
更年期の生理|あなたの「バランス状態チェック」
メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。
3軸のバランス状態を組み合わせた8タイプの中から、今の自分の状態を判定できます。
【判定】あなたの「バランスタイプ」は?
心身のバランスが乱れる原因が分かれば、バランスを整えるための方法を知ることができます。あなたのバランス状態をチェックしてみませんか?
更年期の生理|自律神経を整え症状を和らげる対処法
生理の変化が訪れる、更年期。それに加え、生理痛などこれまでの不快な症状が続くことも少なくありません。これらの症状を和らげるひとつのカギとなるのは「自律神経のバランス」を整えることです。
ここでは自律神経を整えながら、更年期の症状や生理痛を和らげる効果が期待できる3つの方法を紹介します。
睡眠
自律神経が乱れて睡眠不足が続くと、さらに自律神経が乱れて不調をきたすという悪循環に陥る可能性が高まります。自律神経のバランスを整えるためにも、意識して質のよい睡眠を取るようにしましょう。
【質のよい睡眠を取るポイント】
- 就寝2時間~3時間前にはデジタル機器の強い光を避ける
- 就寝1時間~2時間前に38度から40度のお湯に15分程度浸かる
- 就寝前に深呼吸する
- 就寝前に軽いストレッチをする
- 就寝前にカフェインやアルコールを摂取しない
つらい生理痛や更年期の症状などでなかなか寝付けない、眠れないという場合は、我慢しないで婦人科に相談してみましょう。
ツボ・お灸
生理のときに起こる生理痛や下腹部の不快感などに効果的なツボを紹介します。お腹の周辺のツボは押すよりも周辺を温めるように優しく手でさする、市販の貼るタイプのお灸や温感グッズで温めるのが効果的です。
【関元(かんげん)】
おへそから指4本ほど下にあるツボ。温めることで生理痛や不快な症状を和らげる効果が期待できます。
【中極(ちゅうきょく)】
おへそから指6本分ほど下のツボ。生理痛緩和や冷えの改善などの作用があるとされています。
【帰来(きらい)】
中極を中心として、そこから左右に指3本分ほど、移動した左右2カ所に離れたところ。生理痛緩和、婦人科系トラブルの改善に効果があるとされています。
運動
ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの適度な運動は副交感神経の働きを促進し、自律神経を整える効果があります。また、それらを楽しみながら行うことで、ストレスを解消したり、ホルモンの分泌を促進したりする効果も期待できます。
ただし、過度な運動(高強度・長時間の運動)は、交感神経を高ぶらせてしまい自律神経のバランスを乱すことがあるため注意が必要です。
自律神経を整えたり、生理の不調を改善したりするための運動という視点であれば、息が軽く弾むくらいの心地よいと感じる範囲内で行いましょう。
更年期の女性(生理痛・PMS・自律神経やホルモンバランスの乱れ)におすすめの食材
生理痛やPMS、骨粗しょう症など更年期やプレ更年期の女性に積極的に摂ってほしい栄養素と、それら栄養素が含まれるおすすめの食材を紹介します。おいしさを楽しみながら無理のない範囲で食事に取り入れましょう。
生理痛やPMSに大切なビタミン・ミネラル類
ビタミンは五大栄養素のひとつで、欠かすことのできない栄養素です。ビタミンは体内ではほとんど作られないため、食物からの摂取が必須です。ビタミンが不足すると、疲れや唇・肌の荒れ、肩こりなどのさまざまな不調が現れやすくなります。
ビタミンは単体で摂取するよりも総合的に作用しあうことで効果を大きく引き出すため、ホルモンバランスを整えるビタミンEや、健康維持に有用なビタミンB群、カラダ全体の調子を整えるミネラル類をバランスよく摂取しましょう。
【生理痛のときに食べるといい栄養素】
- ビタミン類:ナイアシン、ビタミンE など
- ミネラル:マグネシウム、鉄 など
【PMSのときに食べるといい栄養素】
- ビタミン類:ビタミンB6、ビタミンE など
- ミネラル:カルシウムとマグネシウム、オメガ3脂肪酸 など
【ビタミンやミネラルを豊富に含む食材】
- ビタミンE:アーモンド、ヘーゼルナッツ、モロヘイヤ、カボチャ など
- ビタミンB群:豚肉、レバー類、さば、かつお、玄米、アボカド など
- マグネシウム:アーモンド、くるみ、玄米、海藻類 など
- カルシウム:乳製品、大豆製品、小松菜、モロヘイヤ、ししゃも、干しエビ など
- 鉄(ヘム鉄):あさり(生を加熱・缶詰・水煮)、レバー、さば(焼き・缶詰)、かつお など
- 鉄(非ヘム鉄):調整豆乳、納豆、小松菜、ひじき など
- オメガ3脂肪酸:いわし、さば、さんま など
食事メニューの例として、さばやかつお(ビタミンB群や鉄 など)を主菜に、モロヘイヤや小松菜、あさりが入ったお味噌汁(ビタミンE、マグネシウム、カルシウム、鉄 など)、副菜に納豆やひじき(カルシウム、鉄)というように、一般的な和食が、これらの栄養素を手軽にバランスよく摂取できるメニューといえます。
毎日でなくていいので、生理痛やPMSでつらいときなどに意識して食べてみることをおすすめします。
参考:貧血の予防には食生活を見直そう_e-ヘルスネット厚生労働省
鉄を多く含む食材_山梨県甲府市_
自律神経ややホルモンバランスを整える栄養素
ミネラルには、自律神経やホルモンの働きを調節する働きがあります。また、それ以外にも、更年期に摂取したい γ(ガンマ)-オリザノール、GABA、トリプトファンという栄養素について紹介します。
5大栄養素のひとつであるミネラル
- カルシウム・マグネシウム
体内に最も多いミネラルであるカルシウムは、神経の働きやホルモンの分泌に関与しています。
マグネシウムはカルシウムの吸収を助けるため、カルシウムとともに摂るとよいでしょう。これらミネラルには、骨格や歯の形成や、カラダの調子を整えるといった働きがあります。
更年期以降は骨量が減り骨粗しょう症になりやすくなるといわれています。そのため、ミネラルの中でも、特にカルシウムを積極的に摂ることをおすすめします。 - 亜鉛
亜鉛にはホルモンバランスを整える役割があります。亜鉛不足になると女性ホルモンの分泌量が低下してホルモンバランスが崩れやすくなるため、意識して摂取するとよいでしょう。
【マグネシウム・カルシウム・亜鉛などのミネラルを豊富に含む食材】
- マグネシウム:アーモンド・くるみ・玄米・海藻類 など
- カルシウム:乳製品・大豆製品・小松菜・モロヘイヤ・ししゃも・干しエビ など
- 亜鉛:魚介類(特に牡蠣・うなぎ)・肉類・海藻類・野菜類・豆類 など
ミネラル以外のおすすめ栄養素
- γ(ガンマ)-オリザノール
自律神経の乱れをコントロールする働きを持つのがγ-オリザノールです。 γ(ガンマ)-オリザノールは米ぬか油から発見されたポリフェノールの一種で、 古くから更年期障害の症状の緩和、不安、緊張、抑うつに効果がある医薬品として使用されてきた成分です。 - GABA
γ-アミノ酪酸の略称で、自律神経に働き、リラックス効果があることが知られています。 - トリプトファン
心を安定させるホルモン「セロトニン」の原料となるのが、トリプトファンです。トリプトファンからセロトニンをつくる際にビタミンB6は必要です。自律神経の大敵となるストレスを緩和するには、トリプトファンとビタミンB6を組み合わせて摂るのがよいでしょう。
【γ(ガンマ)-オリザノール、GABA、トリプトファンを含む食材】
- γ(ガンマ)-オリザノール:玄米・米ぬか・米油・コーン油など
- GABA:発芽玄米など穀物・じゃがいも・トマト・漬物など
- トリプトファン:牛乳・チーズ・肉・赤身魚・卵・大豆製品など
女性ホルモンの働きを助ける大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする抗酸化物質です。そのため、女性ホルモン減少による更年期のつらい症状を緩和させる効果が期待できます。
摂取量は1日に40mgから50mgが理想とされています。
それ以外にも、骨粗しょう症の予防になったり、悪玉コレステロールを減らしたりするなどの効果が期待できるといわれているため、積極的に摂取しましょう。
【大豆イソフラボンを豊富に含む食材】
納豆・豆腐・豆乳など
更年期の生理の変化を知って上手に対応していこう
プレ更年期と呼ばれる30代後半のころから徐々に始まる女性ホルモンの減少。それにより、生理にも変化が現れます。生理の周期が遅れたりすると、びっくりしてしまいますが、更年期の生理の変化を知っていれば、自分でしっかり対処することができます。
更年期に起こるつらい症状は、カラダやココロのバランスを整えることで、つらさが緩和すると考えられています。まずは、今の自分の状態を知り、今できることからはじめてみませんか。