著者 : クラシエ編集部
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「MenotechLife(メノテックライフ)」は、クラシエ編集部が発信する更年期のためのサポート・メディアです。長年の研究やアンケート結果を基に、更年期の身近でリアルな情報を発信し、みなさまが自分らしく前向きに過ごすサポートができれば嬉しいです。

皆さんは、11月にブルーにライトアップされた建物を見たことはありますか?

これは、子宮頸がん検診の受診啓発とヒトパピロマウイルス(HPV)ワクチンの正しい知識の理解促進を目指して、世界保健機構(WHO)が主催する「子宮頸がん撲滅 世界一斉イルミネーション」と連動し、日本のランドマークをティールブルーにライトアップするプロジェクトなのです。
2020年WHOでは、子宮頸がんを撲滅するためのグローバル戦略を立ち上げ、世界194カ国の決議で可決、その象徴として賛同した 世界各地100以上のランドマークが、子宮頸がんをなくす活動のテーマカラーであるティールブルーにライトアップされました。
このキャンペーンをさらに国内に浸透させるため、日本でも11月17日、18日に東京都庁、しながわヒカリの水辺プロジェクト、神奈川県庁、横浜市庁、大阪万博記念公園「太陽の塔」、小田原城、高知城、熊本城、さっぽろテレビ塔など全国50ヶ所以上でライトアップが実施されます。

子宮頸がんは、20代から罹患者数が増え、40代が一番多いです。ちょうどその時期は、妊娠・出産時期にも重なることから「マザーキラー」とも言われている深刻な病気です。
プレ更年期世代だけでなく、更年期世代にも大きな影響があります。

11月は子宮頸がん予防啓発月間です。
この機会に子宮頸がんについての理解を深めていきましょう。

子宮頸がんとは

子宮頸がんとは、子宮の入り口にあたる「子宮頸部」で発生するがんのことです。
このがんは、子宮の入り口付近に発生することが多いため、婦人科の診察や検査で早期に発見すれば比較的治療しやすいのですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が重要と言われています。

日本においては、子宮頸がんに罹患する人が多く、年間約11,000人が子宮頸がんにかかり、約3,000人が子宮頸がんで亡くなっています。子宮頸がんは、20代後半から増加しはじめ、特に30代から50代で多くなります。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

子宮頸がんの発症・進行 

仮に、子宮頸がんを引き起こすリスクの高いHPVに感染しても、免疫機能が働くと、ほとんどが身体の外に排出される為、感染したら必ずしも「がん」になるわけではありません。
一部残ったウイルスの感染が続くと、細胞が異常な変化を起こして前がん病変になります。ただし、ウイルスがいなくなれば正常な細胞に戻る可能性もあります。

この段階では、自覚症状がないため、検診を受けないと進行の度合いはわかりません。そしてこの異常な細胞が数年〜数十年たってがん細胞になってから、ようやく症状が出てくるようになります。

子宮頸がんにかかる主なきっかけは、身体内の表面にある細胞(上皮細胞)がHPVへ感染することです。
入ってきたウイルスが長くとどまると、細胞がずっと感染した状態になり、異常な細胞が増えていきます。異常な細胞が上皮の2/3以上になると「高度異形成」、上皮すべてを埋めつくすと「上皮内がん」と呼ばれます。高度異形成と上皮内がんはCIN3*に分類され、子宮頸がんの前がん病変(がんの前の段階)で、治療が必要な状態です。
*CINは子宮頸部上皮内腫瘍の訳で、3つの段階(CIN1, CIN2, CIN3)に分類されます。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんは、通常、初期段階にはほとんど自覚症状がないことで知られています。
そのため、発見されないまま何年もかけて進行してしまう場合があります。
子宮頸がんが進行すると、不正出血や月経不順が見られます。また、性交時に出血があったり、おりものの増加などで症状を感じる方もいます。自覚症状が出にくいからこそ、定期的な検診を受けることや、ワクチン接種で、HPVに感染する前に予防することが重要となります。

尚、ワクチン接種には、一定の程度で副反応が起こるリスクがあるため、有効性とリスクを十分理解した上で、選択するようにしましょう。

検診・予防

子宮頸がん検診には細胞診とHPV検査の2種類があり、子宮の入り口部分の表面を軽くこすって細胞を採取して調べます。

細胞診…採取した細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞など異常な細胞がないかを調べる検査
HPV検査…ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうかを調べる検査

厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、その中で子宮頸がん検診に対して、推奨する年齢を20〜69歳以上としています。
子宮頸がん検診の受診率を年代別に見ると、20代では45.5%と5割に達しておらず、50代以上では年代が上がるにつれて受診率が低くなっており、欧米では70%以上の受診率な国が多い中、日本の受診率はまだまだ低いのが現状です。

出典:健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査報告書

また、予防として子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するHPVワクチンがあります。
HPVは性交渉の経験がある女性なら誰でも感染する可能性があります。
そのため、できる限りウイルスに感染する前のワクチン接種が大切なのです。
尚、子宮頸がんの中には検診で見つかりにくいがんもあるため、ワクチン接種と検診のどちらも受けることが重要です。

HPVワクチンは、平成25年(2013年)から、12歳~16歳を対象に、定期接種が開始されました。定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢(小学校6年~高校1年相当)を超えて、あらためて公費での接種の機会が提供されています。詳しくは厚生労働省や自治体から発信される情報等をご確認ください。また、対象者に該当しない方でも、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。お近くの医療機関などにご相談ください。

正しく知り・正しく予防する

日本では子宮頸がんに関しての認識が低く、検診率は先進国の中で最低ラインです。
多くの国で子宮頸がんがすでに過去の病気になりつつある中、日本の女性にとって子宮頸がんは未だに他人事で、自分自身の問題としてその危険性が十分理解されていません。

子宮頸がんだけでなく、生理のことや更年期のこと、まだ女性の身体に関する正しい知識が多くの人に知られていないということも関係しているかもしれません。
多くの人に理解してもらうために、11月、街中でティールブルーにライトアップされた建物を見た際には、少し意識をして自分の身体に向き合ってみませんか?

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