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更年期を迎えるころの女性の中に、「仕事がつらい」「毎日やる気が出ない」「日常生活にも影響を及ぼしている」と、人知れず悩んでいる方が実はとても多くいることが分かっています。
更年期で仕事がつらい、やる気が出ないと感じる女性のアンケート結果や原因、対処法などについて解説します。
また、本記事で紹介するメノテックライフ独自の「バランス状態チェック」では、同じ原因にも思える「仕事がつらい」「毎日やる気が出ない」といった症状でも、バランスタイプごとに異なる原因を知ることができます。今の自分のバランス状態がどのタイプに当てはまるのかをチェックし、自分に合った対策を見つけましょう。
更年期で仕事がつらい・やる気が出ないのは私だけじゃない
女性の年代 | 疲れやすい(更年期症状) | 更年期障害(※) |
30代 | 54.1% | 9.5% |
40代 | 63.7% | 31.9% |
50代 | 62.9% | 47.4% |
厚生労働省がおこなった「更年期症状・障害に関する意識調査」によると、更年期のなんらかの症状を自覚している女性のうち、「疲れやすさ(症状が強い~中くらい~弱いを含む)」を感じている割合は非常に高く、40代、50代ともに60%を超える結果です(上記図「疲れやすい」の欄)。
その隣にある「更年期障害(更年期の症状により、日常生活に影響を及ぼしている状態)」の自覚がある女性は40代から急増し、50代では47.4%にものぼります。
更年期の症状について、日常生活に影響が出ていることを「相談しておらず、今後も相談しない/したくない」と回答した女性の割合は、50代で55.0%という高い結果に。その理由としてもっとも多いのが「相談しても解決しないと思ったから」、次に「それほど深刻な状況だと思っていないから」という内容でした。
更年期のつらい症状で悩んでいるのに、「いつものことだから」「みんな我慢しているのだろう」などと自分に言い聞かせ、無理して頑張ってしまっている「仲間」は意外とそばにいます。更年期で仕事がつらい、やる気が出ないと悩んでいるのは、あなただけではないのです。
※「医療機関への受診により、更年期障害と診断されたことがある/診断されている」「医療機関を受診はしたことがないが、更年期障害を疑ったことがある/疑っている」「自分では気づかなかったが、周囲から更年期障害ではないか、といわれたことがある」「別の病気を疑って医療機関を受診したら、更年期障害の可能性を指摘された」と回答した方の合計より算出
更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」主な症状
更年期で仕事がつらい、やる気が出ないと感じるとき、ほかのみんなはどんな状況なのでしょうか。これらは複合的に起こることも少なくありません。自分のつらさが、更年期によるものなのかチェックしてみましょう。
仕事がつらい・日常生活がつらい
- 仕事で今までではありえないようなミスやトラブルが重なる
- 仕事や家事を終わらせるのに想定以上の時間がかかる
- 日常生活の中でイライラしたりくよくよ落ち込むことが増える
今までではありえないようなミスが増える、今までのように仕事がさばけないといったことで、「仕事がつらい」と感じる機会が増えたら、更年期が原因かもしれません。
また、日常生活が理想通りに進まずイライラしたり、くよくよして日々の生活がつらく感じるようなケースも、更年期によるココロへの影響の可能性があります。
やる気が出ない・集中力が続かない・無気力
- 朝、目が覚めても起き上がれない
- 集中力が続かない
- 物事への興味関心が低い、新しい物事が覚えにくくなった
朝起きられない、朝目覚めてもやる気が出ないことも、更年期症状の代表的な症状のひとつです。
仕事の集中力が続かない、今まで興味があった趣味や服装、新しい物事への興味や関心がなくなる、新しい物事が覚えにくい、物事に対して無気力になるようなケースも見られます。
カラダもココロも疲れやすい・だるい
- ちょっとした作業でも疲れてしまう
- 休息をしてもだるさが消えない
- 近所に買い物に行くことも面倒に感じてしまう
厚生労働省の調査にもあったように、更年期に「疲れやすい」と感じることは、非常に多くの女性が悩んでいる症状です。
洗濯物を干す、近所に買い物に行くといった今まで普通にできていた作業でも、ぐったり疲れを感じてしまったり、実際に休息を取ってもだるさが抜けずソファーから起き上がれないようなケースもあります。
気分が落ち込む・憂うつ
- 今までなら気にならないささいなことが気になる
- 他人のちょっとした言動にくよくよしたり、涙が出てくる
- 自分の言動を振り返ったり、将来への不安感が強まったりして憂うつになることが多い
ささいなことがひっかかりずっとくよくよする、自分を責めてよく涙が出る、憂うつになることが多い、不安感が強い、このようなつらいココロの症状も、更年期の影響であることが少なくありません。「更年期うつ」という症状もあります。
人がイヤ・人に会いたくない
- 家族のご機嫌を取るのが面倒
- 人と会うのがイヤに感じる
- 人と会う機会を極端に避けるようになった
更年期には、人がイヤになる、人と会う機会を避けるようになるといったココロの変化も多く起こります。今まで我慢できていたパートナーや子どもの言動に対して、怒りが抑えられなくなることも。疲れやすさや倦怠感などが重なり、家にひきこもりがちになることも少なくありません。
更年期に「仕事がつらい・やる気が出ない」の原因とは?
仕事や日常生活に大きな影響を与える更年期。なぜ更年期になると、仕事がつらく感じたり、やる気が出なくなってしまうのでしょうか?更年期との関係から主な原因を解説します。
女性ホルモンの減少で自律神経が乱れる
更年期手前の30代後半頃から、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌量は少しずつ減少します。
更年期にエストロゲンが急激に減少すると、今までとの違いに脳は混乱し自律神経にも乱れが生じます。自律神経とは、血圧、心拍、体温、呼吸、消化、代謝など、人間の生命活動を維持する神経のことで、自律神経は自分の意志でコントロールすることができません。
この自律神経が乱れると、ココロとカラダの両方に不調があらわれやすくなるのです。
もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンの代謝物には、抗不安作用があります。しかし、エストロゲンと同時に減少していくため、不安感や憂うつ感が高まる傾向になります。
女性ホルモンの減少で二次的にセロトニンが減少
女性ホルモンが減少すると、二次的にセロトニンも減少するといわれています。セロトニンとは脳内の「神経伝達物質」で、「不安感を抑え幸せを感じさせる」「記憶や学習、認知機能を促す」「眠りのホルモンであるメラトニンの材料になる」など、さまざまな働きを持っています。
セロトニンの減少によって、不安感が増したり、不眠、物事が覚えられない、やる気が出ないといった症状につながることがあります。
ストレス
一般的に、更年期の世代は多くの責任がのしかかる時期と重なります。仕事での昇進や転職、子どもの進学や独立、さらに親の介護を考え始める方も少なくないでしょう。
このような心身への負荷が大きなストレスとなり、自律神経の乱れを引き起こすことも少なくありません。
【タイプ別】更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」の特徴と対策
メノテックライフでは、更年期に関する研究や生活者アンケートの結果を多角的に分析し、更年期に乱れやすい症状に注目して独自に定義した「虚-実、寒-熱、湿-燥」3軸・6要素のバランス状態を判定する「バランス状態チェック」を考案しました。
3軸のバランス状態を組み合わせた8タイプの中から、今の自分の状態を判定できます。
【判定】あなたの「バランスタイプ」は?
心身のバランスが乱れる原因が分かれば、バランスを整えるための方法を知ることができます。あなたのバランス状態をチェックしてみませんか?
更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」に多い「虚」タイプの特徴と対策
まずは、更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」に多い「虚」タイプの特徴と対策から見ていきましょう。
【虚タイプ】
- 食エネルギー不足
- 気力を維持したい
<特徴>
□常に疲れやすく、気力がでないことが多い
□食欲不振になることが多い
□胃腸が弱い・お腹を壊しやすい
□運動をすると、すぐ息切れしやすい
□爪が薄く、もろい
虚タイプは体内のエネルギーが不足している状態で、疲れやすく体調を崩しやすいタイプです。脳神経系への栄養も低下することにより、体力的な面だけでなく精神的な面でも、仕事がつらい、やる気が出ないといったココロの不調につながります。不眠や不安感などの症状として現れることも多いです。
カラダや脳への栄養を届けるためにはバランスのよい食事が大切ですが、栄養やボリュームのあるものを無理に食べても胃腸に負担がかかるため、食べたいもの、食べられそうなものを少しずつ食べるのがポイントです。
好きな音楽やアロマ、キャンドルなどでリラックスタイムを作りましょう。
更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」に多い「湿」タイプの特徴と対策
次に、「湿」タイプの特徴とおすすめの対策です。
【湿タイプ】
- 水の巡りがよくない
- 水分バランスが過剰
<特徴>
□めまいや耳鳴りを感じやすい
□雨や台風の時に頭痛を感じやすい
□オイリー肌・ニキビができやすい
□手足や顔などがむくみやすい
食生活が原因で体の消化機能が低下して湿に偏ることがあります。湿タイプは体内の水分の巡りが悪く水分バランスが過剰になっている状態のため、むくみや疲れなどが生じやすくなっています。
湿に、上記の「虚」が組み合わさると「仕事がつらい・やる気が出ない」という症状がより出やすくなります。
原因は、体内のエネルギー不足の状態(虚)に加え、水の巡りが滞りやすく疲れも溜まりやすい状態(湿)になるためです。
少しずつ巡りを改善するためには激しい運動より、手軽にできるストレッチやヨガのポーズがおすすめです。無理なく続けられそうな対策で血行を改善し、巡りをよくしていきましょう。
すぐできる|更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」ときにおすすめの対策
更年期の「仕事がつらい・やる気が出ない」ときにおすすめのツボとアロマ・ハーブティーを紹介します。
更年期におすすめのツボ
更年期でつらさやだるさを感じるときは、ツボを押したり、貼るタイプのお灸で温熱刺激を与えるのも有効です。
- 百会(ひゃくえ)
両耳の1番高い場所を結んだラインの頭のてっぺん。万能のツボ。強く押しすぎず気持ちいい程度の刺激が適切 - 丹田(たんでん)
おへそから指3〜4本分くらい下にあるツボ。心身のリラックスやカラダを温める効果が期待できる。貼るタイプのお灸も◎ - 足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側にあるくぼみから指4本分下のすねの骨の外。婦人科系に効果があるとされる - 湧泉(ゆうせん)
足の裏の土踏まずより親指1本くらい指側の中心部。足の裏をぎゅっと縮めたときにくぼむ部分。気力が湧くといわれる。足の甲側など足には多くのツボがあるので、足全体を温める足浴(そくよく)も効果的
アロマやハーブティーでリラックス
休息以外にも、リラックス効果が期待できるアロマやハーブティーを取り入れることもおすすめです。
【更年期の症状におすすめのアロマ】
- ローズ
- クラリセージ
- ローズマリー
- ラベンダー
- グレープフルーツ など
【更年期の症状におすすめのハーブティー】
- ローズヒップ
- リンデン
- オレンジフラワー
- ジャーマンカモミール
- クチナシ
※ハーブティーには妊娠・病中に禁止されている種類や利尿作用が強く就寝前に向かない種類もあります。飲む前に成分表や注意書きを確認しましょう。
更年期を理解して受け入れることが大切
更年期で仕事がつらい、やる気が出ないという症状は、経験のない人たちから見ると、「仕事ができない」「だらしがない」など批判的にとらえられてしまうことも多く、自信を失って仕事を退職したり、家族から批判を浴び続けたりするような状況に追い込まれてしまうケースもあります。
これらの症状は、「自分が悪い」「だらしない」のではなく、更年期という大きな変化の中の「ゆらぎ」が原因。今までのあなたであることに変わりはありません。
今の自分のバランス状態に寄り添い、自分にあった対策を受け入れ取り組んでいくことで、ステージアップした新しい自分ときっと出会えるはずです。無理なく自分のペースではじめの一歩を踏み出してみませんか。